反薄明光線

balsamico

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邦陽

戸惑い

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就寝前に春臣の部屋に呼ばれた。
春臣は勉強していたようだった。部屋に入ると勉強中に掛けているメガネ姿のままだ。


顎でこっちに来いと机の横に呼び寄せられた。僕を見る目がちょっと意地悪そう。
不機嫌みたいだ。
 
「お前。ヨシなんかに揉まれて気持ちよくなってんじゃねーよ」

春臣の手が伸びてぐいっと僕の股間を掴んできた。パジャマのズボンの上からぐりぐり強く揉まれる。

「い、痛い」

僕の悲鳴を聞いて春臣の手の力が弱まる。緩急つけて優しく揉みしだかれた。


昼間に2回も出したのに僕のそこはすぐ大きくなった。速攻の反応に凄く恥ずかしくて顔を背ける。
 
「もっと気持ちよくしてやるから、脱げ」

春臣の指示は絶対だった。
言うことを聞かないと後で何倍にもされた仕返しをくらう。それとしつこかった。
忘れた頃に何度も蒸し返してくる。


逆らわずに従う。
これはこれまで春臣と一緒にいた中で学んだことだ。だから言うことを聞いてズボンや下着を脱ぐ。


……でもそれは僕にとって都合のよい言い訳で、本当は昼間に表舞台に現れた僕の欲望が、触ってほしい、また気持ちよくして欲しいって強く願っていた。その気持ちを見透かされた気がした。

 
下着は高ぶった性器でつかえ、脱ぎにくかった。
下半身だけ裸になって露出したそれは、いかにも触ってほしいと言わんばかりに半分上を向いていた。


春臣は自分の手のひらに唾液を吐き出すと、手のひら全体で僕の性器を包んだ。強弱をつけてゆっくりと上下する。


手のひらから伝わる春臣の体温、適度な圧、直に他者に与えられる刺激に僕の性器は反応し、大きさや硬度を増していった。
 

手の動きでひきつれるような痛みが走った。痛みに反射的に力が入ってしまう。

「皮が剥けてないから根元に引っ張れ。で、中も洗え」


そう言って握ったまま先端を軽くなでられた。急に背中がぞくぞくするような鋭くて強い快楽が訪れる。そしてあっという間に春臣の手を汚してしまった。
 
「ご……ごめんなさい」

「またやってやる。この時間頃に来い」

自分の手を拭いながらこっちにティッシュを箱ごと放ってきた。受け取って表面に付着したものを拭った。

「……うん、おやすみなさい」

急いでズボンをはいて部屋を後にした。
 


春臣がどうしてあのような行為をしたのか意図が分からず戸惑った。
気持ちが良かったし、皮を引っ張った意味が分からなかった。再度誘う理由も。


それはいつか部屋を訪れる時にでも聞けばいいやとそのまま寝てしまった。
 


翌朝、朝食の場で春臣と顔を合わせても、これまでと全く変わりの無いそっけのない態度だった。自分も合わせてそ知らぬふりをした。

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