反薄明光線

balsamico

文字の大きさ
上 下
4 / 24
邦陽

戸惑い

しおりを挟む
就寝前に春臣の部屋に呼ばれた。
春臣は勉強していたようだった。部屋に入ると勉強中に掛けているメガネ姿のままだ。


顎でこっちに来いと机の横に呼び寄せられた。僕を見る目がちょっと意地悪そう。
不機嫌みたいだ。
 
「お前。ヨシなんかに揉まれて気持ちよくなってんじゃねーよ」

春臣の手が伸びてぐいっと僕の股間を掴んできた。パジャマのズボンの上からぐりぐり強く揉まれる。

「い、痛い」

僕の悲鳴を聞いて春臣の手の力が弱まる。緩急つけて優しく揉みしだかれた。


昼間に2回も出したのに僕のそこはすぐ大きくなった。速攻の反応に凄く恥ずかしくて顔を背ける。
 
「もっと気持ちよくしてやるから、脱げ」

春臣の指示は絶対だった。
言うことを聞かないと後で何倍にもされた仕返しをくらう。それとしつこかった。
忘れた頃に何度も蒸し返してくる。


逆らわずに従う。
これはこれまで春臣と一緒にいた中で学んだことだ。だから言うことを聞いてズボンや下着を脱ぐ。


……でもそれは僕にとって都合のよい言い訳で、本当は昼間に表舞台に現れた僕の欲望が、触ってほしい、また気持ちよくして欲しいって強く願っていた。その気持ちを見透かされた気がした。

 
下着は高ぶった性器でつかえ、脱ぎにくかった。
下半身だけ裸になって露出したそれは、いかにも触ってほしいと言わんばかりに半分上を向いていた。


春臣は自分の手のひらに唾液を吐き出すと、手のひら全体で僕の性器を包んだ。強弱をつけてゆっくりと上下する。


手のひらから伝わる春臣の体温、適度な圧、直に他者に与えられる刺激に僕の性器は反応し、大きさや硬度を増していった。
 

手の動きでひきつれるような痛みが走った。痛みに反射的に力が入ってしまう。

「皮が剥けてないから根元に引っ張れ。で、中も洗え」


そう言って握ったまま先端を軽くなでられた。急に背中がぞくぞくするような鋭くて強い快楽が訪れる。そしてあっという間に春臣の手を汚してしまった。
 
「ご……ごめんなさい」

「またやってやる。この時間頃に来い」

自分の手を拭いながらこっちにティッシュを箱ごと放ってきた。受け取って表面に付着したものを拭った。

「……うん、おやすみなさい」

急いでズボンをはいて部屋を後にした。
 


春臣がどうしてあのような行為をしたのか意図が分からず戸惑った。
気持ちが良かったし、皮を引っ張った意味が分からなかった。再度誘う理由も。


それはいつか部屋を訪れる時にでも聞けばいいやとそのまま寝てしまった。
 


翌朝、朝食の場で春臣と顔を合わせても、これまでと全く変わりの無いそっけのない態度だった。自分も合わせてそ知らぬふりをした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜

車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第2の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

家族になろうか

わこ
BL
金持ち若社長に可愛がられる少年の話。 かつて自サイトに載せていたお話です。 表紙画像はぱくたそ様(www.pakutaso.com)よりお借りしています。

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

処理中です...