君は所詮彩り

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5 揺らぎの少年

揺らぎの少年 5 聖人

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気がつくと聖人がいた。
聖人は俺から三智を引き剥がすと俺をタオルみたいなもので包み強く抱き寄せた。三智は他の人に羽交い締めにされ何か判らないことを叫んでいた。

「ま、聖人……」

ぼやけた目で聖人をとらえる。靄がかかって見えていた景色の中で聖人だけはっきりと見えた気がした。



急に自分の状況が気になりだした。
俺のやたら熱い顔は発情で赤らんでいるんだろう。
垂らした涎や三智に舐められた涎、流した涙や鼻水でぬれた顔はぐちゃぐちゃだろう。股も自分自身があふれさせた体液と三智の体液と泥でべちべちゃだ。

「うああぁああぁああぁ」

聖人を見て俺は叫ぶ。
視界は歪みぼやける。

「もう、大丈夫、大丈夫」

聖人は俺の背中を落ち着くようどんどん叩き意識を向けさせた。

「聖人ぉ……」

聖人を確認してほっとする。
もう大丈夫って安心する。
でもその聖人特有の涼しげな匂いを吸い込むと俺の身体はまたかぁっと熱くなる。
さっきまで三智が揺さぶり続けていたあそこが、ずきんと疼きだす。

「うっ……」

身体を起こすと奥から俺の体温で温んだ体液がどろりと流れ、足を伝い落ちてくる。
磯臭い生臭い匂いに混じった消毒液のような臭いが鼻につく。

「ひっ……」

また悲鳴をあげる。
中で何回も出された三智の体液。
嫌なはずなのに動きに感じて感じまくった俺の中からあふれ出た体液。
混じりあったそれが俺に現状を突きつけているように感じる。
それが中から流れ出る感触に、小さな快楽を見出して震える自分もいた。


そして今度は聖人に発情し猛烈に欲しがる俺の身体。喉がごくりとなり、俺の奥が穴が更なる刺激を求め勝手にひくひくとうごめいている。


俺の全身から見えない触手が伸びて聖人のモノに触れたがってる。
三智とは違う聖人のあれを今、穴に挿れられたらどれほど気持ちがいいのだろうか。
聖人は三智より体格も大人だし、俺がどこを気持ちよがるのかわかっている。



ぱたたっと淫水が落ちた。

ふと我に変える。
俺って、こんな淫乱だったのか。
こんなに好きモノだったのか。
こんな勝手なやつだったのか。
自分の意志を無視して、三智と散々やりつくしたのに。聖人に触れればまた異様な熱を持ち聖人の性器を欲する。


俺は自分自身に絶望する。


気がつくと涙が流れていた。
俺は何で泣いているんだろうか。
泣きすぎで良く分からなくなっていた。
頭はずきずき痛み、身体はガタガタ震え、股はじんじんと熱くなっていた。


聖人はおかしくなって泣き続けている俺を背負って下山し、車に乗せマンションに連れていった。熱い風呂に入れ泥や体液にまみれた身体を洗い流し中を洗った。


俺は聖人の唇を求める。
聖人は優しく唇を吸いこねまわす。
合間に大きく息をして聖人の唇をくちゃくちゃと鳴らす。俺にこれが平常なんだと言い聞かせるかのように。


中を掻き出す聖人の指が前後に蠢くたびに泣くどころじゃなくなって俺は、熱く乱れる。じくじくした刺激に動く指。切なくてたまらない。甘い嬌声を上げ聖人にすり寄った。


頭はもうそれしか考えられない。
熱いモノで空虚な穴を埋めて内臓を引きずり出して欲しい。
聖人で埋め尽くして三智の痕跡を全部どこかにやって欲しい。


「今回はいやだっていってもやめないですからね」

俺はうんうんと泣きながら頷いた。
聖人は全部分かってる。
俺と三智の間に起きたことも。


ヒート時のオメガとアルファの着床率を。俺がアフターピルを使っても妊娠することを。


堕胎ができないオメガ男性の子どもは養子に出される事が多いときく。


理不尽な妊娠の結果、どれほどの子どもたちが親の手元から離れていったのか。


聖人が俺に触れる。
俺の乳首をはむ。
俺は感じて熱い
舐め回されてもだえる。
性器に手を回される。
俺のいやらしい性器は俺の先走りでびちょびちょだ。
中に入った指先がぐるり動くといやらしい水音がした。
俺はかすれる声で聖人を求め、熱さを飲み込んだ。





俺と聖人とヒートの熱が引くまでやりまくった。聖人と抑制剤を飲まないセックスは初めてだった。












俺は翌年に女の子を産んだ。
色白の赤子で俺に良く似ているとみんな言う。俺もそんな気がした。


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