君は所詮彩り

balsamico

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2 聖人

聖人2

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姉や聖人の男女間強姦や性描写があります。近親相姦ではありません。

苦手な方はご注意下さい。

   ――――――――



家に近づく道路でふといい匂いを嗅いだような気がした。


道ばたの雑草が吐き出す草いきれに混じる、甘ったるい花のようで果物のようで脂っぽい匂い。
それが蝶がふわりと舞うような気まぐれな風に運ばれ、僕の鼻腔をくすぐる。



家に近づくにつれて、だんだん濃くなる匂い。
かすかに高い声が聞こえた気がした。


今日はこれから公園で晴海たちと遊ぶ約束をしていた。
晴海が街のデパートで買ってもらったカードゲームで遊ぶという話だった。


教室でも頻繁に話題に上っているゲームで、どのようなシステムか分からなかったので、実物を体験できるのはとても楽しみだった。
早く宿題を終わらせて晴海たちに合流しようと思った。


いつもどおり家の玄関は開いたままだった。
タタキでカラフルな運動靴を脱いで上がり、ランドセルを玄関横の部屋に放り出した。


奥で物音がする。くぐもった声が聞こえる気がした。
部活で忙しい姉が帰宅するには早すぎる時間だ。


むっとする甘い匂いがぶわっと押し寄せてくる。
匂いに色をつけたらこの部屋は何色かがうずまいているに違いない。
この甘ったるい匂いを嗅いでいると頭がぼうっとしてきた。


音は台所の隣の部屋からだ。この辺りの匂いはとくに強い。
頬に熱を感じる。のぼせてきたみたいだ。



のぞいてみると靴下を履いた足が見えた。
足は小刻みに揺れていた。


よく見えるように角度を変えると、姉を押さえつけた男が下半身をむき出しにして
姉の足の間に腰を打ち付けていた。


これは、なんだ?
目の前で起こっていることがよくわからなかった。
僕の頭は混乱していた。
僕はしばらく動けず、目の前の光景をただ呆然と眺めていた。



これは何かの物語の一部で、姉が生け贄になりモンスターに喰らわれているどこかの別世界の話のように思えた。


自分の手で足をなでると、そこには確かな触感があった。


現実だと認識すると、戸惑いと怯えから僕は無意識に後ずさってしまった。そして隣に立て掛けてあった掃除機にぶつかる。
ガタンと大きな音をたて無情に倒れる掃除機。


男が動きを中断させ、振り返った。


ぎらぎらした目をした肩周りに肉がついた若くて強そうな男。
顔は赤らみ、鼻は膨らみ、瞳は欲望で濡れていた。



男は僕の姿を認めると眉をひそめて

「これは俺のだ。邪魔をするな」

と吐き捨て行為を継続した。


強い男の声は僕の中枢まで到達した。
その言葉は僕の心臓を経由し全身を縛り付ける。
僕はそのまま動けなくなった。


姉の口からは苦痛のうめきと咆哮が混じったような声がもれた。


小柄な姉は蛙のように足を開かされ男を受け入れさせられていた。
白くて細い体を、筋肉が張った体が揺さぶり、ぶつけ、突き上げる。


汗のにおい。雄の匂い。生ゴミの匂い。血の匂い。酸っぱい匂い。
ここには濃厚な甘い匂いがあふれ、雑多な匂いと混じり合い、僕はくらくらと酔いそうだった。


二人から目が離れなかった。
男と姉のつなぎ目からは白が混じった透明な液体が漏れ、男の動きに合わせて水音を立てていた。


男の荒い息づかいと肉がぶつかり合う音。
それらが僕の耳の鼓膜を振動させるたびに僕の中のどこかが痛み、腐り、発酵している気がした。


体が熱くてたまらない。頭がガンガンする。息が荒くなる。


僕の下半身に新しい生物が生まれ、どくどくと脈をうっている。
しめつけから解放されたいのに下着で拘束されている。


立っているのが苦痛で台所の床にへたり込んだ。
服の上から足の間で暴れるものを押さえつけた。熱くて硬い。


今この状況で確実に僕の味方なのはこの熱い生物だけのような気がした。



肉体のぶつかり合う生々しい音を背に、股間をぎゅうっと強くにぎり込むと何かが限界点を越えた。


尿道を駆け上がる急激な尿意。
僕は切迫する尿意に耐えられず下着を濡らした。僕の生き物はびくびくと震えていた。


僕は稲妻に打たれたかのような衝撃で呆けていた。
場違いで不愉快な甘くて重い余韻に体が支配されていた。
                    

                                         
僕はこの場面に何もできない無力さと、腰奥から湧き上がるいっこうに引かないずくずくいう熱と、漏らしてしまった羞恥に打ちひしがれ泣いていた。


これらは母さんの帰宅まで続いた。


母さんは男をみると叫び声をあげた。そして罵りながら男にポットやゴミ箱を投げつけ、身近にあったいろんなものを投げつけていた。
男は服を手に取り逃げ出していった。


残された姉はぐったりしていた。腰辺りの床には大量の白く濁った液溜まりができていた。中に血が混じっていた。


母さんは名を呼んで姉を抱き寄せると首元を確認した。

「ああぁ・・・・・・!!」

母さんの嘆きが響く。その視線の先には噛まれた後があった。


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