僕の分断面、その欠片と

balsamico

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僕の分断面

僕の欠片 1

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「お前に俺の何がわかるっていうんだよ。いまの俺のことすら、知らないくせに!」

さっきまで泣いていたのか、目が赤い。いもじゃは吐き捨てるようにいう。


しばらく整髪に行っていないのか、いつもより髪がもっさりしている。メガネごしに上気しているのがわかる。ニキビ跡が余計に赤くなっている。小鼻は皮脂でぬるんでいるように見えた。


頬に手を添える。彼を抱き寄せ、皮膚のすべらかな凹凸に唇をよせ甘噛みをする。
いもじゃは肩をしゃくりながら体を預けてきた。


首筋、耳を甘噛みし、頬に頬をすり寄せる。なんでこんなに惹かれるんだ、醜いのに。
いもじゃの顎を引き口づける。首筋に顔を寄せる。体温に混じりほんのり感じられる家のにおい。自分の腕の中のいもじゃの肌は、なんて、心地がよいんだ。
 




いもじゃは信ちゃんが言うほど醜くないよ。
信ちゃんが醜いとか勝手に言い続けてるから、そんな気がするだけだよ。酷いよね。あのあだ名だって信ちゃんが付けたんでしょう。


僕は可愛いって、家族や周りに猫可愛がりされている自覚がある八森本家の次男坊。小顔で目がでかいからアイドル顔って言われるけど、権利者に媚びて使い捨てにされるアイドルになる気なんてないから。ここではみんなが大事にしてくれるから十分満足してる。


信ちゃんは弟の僕のことが大好き。僕が褒めそやした相手には、対抗心を燃やし嫉妬する。
信ちゃんにいもじゃの事を最初に褒めたのは、たぶん僕。


ある日、僕は信ちゃんの前でいもじゃを褒めた。
イイヤツだなって思う場面があったんだ。たぶん動物とか植物に優しくしてたとかね。


信ちゃんは僕が、褒め、認めた相手が、とくに運動もできない、気も利かなくて面白くもなく、街から来たくせに垢抜けていない、取り柄のないように見えるいもじゃだったから余計に腹立たしかったみたいだ。


いもじゃには嘉之よしゆきってちゃんとした名前があるのに、にきび痕がでこぼこになっていて、いもやじゃがいもに似ているからいもじゃだと。
信ちゃんが言い出して皆に広がった。先生まで一緒に言う始末だ。


この地域は八森姓の親戚ばかり。
八森姓を持っている分家筋で、他所で育ち近年引っ越してきたばかりのいもじゃには、学校や集落で通用する僕らの家である八森本家の権威や威光は通じなかった。


いもじゃは信ちゃんの嫌がらせにほとんど反応しなかったし、(もしかしたら分かっていなかった)、いもじゃ自身の反応も信ちゃんが想定していた反応ではなかった。


いもじゃの手応えの無さに信ちゃんの嫌がらせはエスカレートしていく。
周りの同級生が手を引く中、長年信ちゃんだけが一人いもじゃに固執していた。


信ちゃんは普段僕のいうことをきくのに、いもじゃへの嫌がらせを何度も止めるよう言っても、いもじゃへの執着をやめない。
いもじゃをからかい出してから、信ちゃんは変わってしまった。




髪はくせ毛が混じりもっさりしているのに、服の下の肌はきめが細かく滑らかだ。
濃色がくすみ襟ぐりがよれたトレーナーを脱がすと、着古して黄ばんだタンクトップが現れた。

「もう、止めろよ」

汚れたマットの上に倒し、タンクトップを上にめくり上げた。
姿を現したぷにっとした薄茶色の乳首。寒さでつんと立ち上り、形が鮮明になっている。
それはとても扇情的に感じられて、エロ漫画で見たようにちゅぷりと吸い付いた。

「ふっ……」

いもじゃは鼻からくすぐったくて切なそうな息をもらす。いもじゃのくせに気持ち良さそうにするなんて生意気なんだよ。


乳首に噛みついた。いもじゃは悲鳴を上げる。
スエットズボンの中に手を入れるといもじゃの性器は芯を持ちはじめていた。
滑らかな性器をこすりたてるとより硬くなる。


こっそり通販で取り寄せ、舐めるように繰り返し見たゲイ雑誌。そこで得た知識で、いもじゃの後ろの窄みを触ってみた。


家から持ってきた瓶入りの茶色の軟膏を指ですくいとった。香料でほのかに香る指をいもじゃの中に入れる。

「それ、いやだ」

嫌がるいもじゃを無視して、ぐりぐりと指を中に入れ押し広げた。

「やだ、気持ち悪い」

軟膏が半分位に減ったとき、いもじゃをマットに押し付けて、中に押し入った。
入り口がきつくて苦しい。
いもじゃも顔をしかめて苦しそうだ。

「い、痛い」
「緩めろよ」
「そ、そんなのどうやるんだよ! 」

いもじゃの性器をそろりと撫で上げた。締め付けが少し緩んだ気がしたので、その隙に中に押し進めた。

「いゃぁ、痛い」

中は熱くてきつい。ある程度中に入ったら突き当たったので侵入を停止してしばらく馴染ませた。


自分の下にいるいもじゃは腕で顔を隠している。手を退かせると顔は赤らみ目尻に涙がにじんでいた。

「み、見るなよ」

顔が赤らむとあばたが浮き上がって醜い。肉厚の唇は噛み締められていたようで赤く濡れていた。


いもじゃが少し身じろぎすると汗の酸っぱくて苦い臭いがたちのぼってくる。


発熱する肉体。発汗する肉体。
いもじゃの肉体が、生々しさを伴ってそこにあった。


熱い息が漏れる唇を塞ぐ。
ぬるつく唇を吸い、逃げる舌を舌で絡め取る。


ぐちゃぐちゃと水音をたてて口内を攻め立て、併せて緩やかに腰を動かした。
抵抗が大きく抽挿には力がいった。それでも温かかい肉の輪にぎゅっと締め付けられ、擦られたら、少し痛いけど気持ちがいい。

 
反対にいもじゃはぎゅっと目をつぶっている。
動く度に、あ、あっ、あっと声が漏れる。苦しそうだ。


いもじゃの萎えかけていた性器を擦る。少し撫でると大分硬さを取り戻した。
いもじゃはそれでも顔をしかめて、ううっと呻いている。


目の周りが息むから真っ赤だ。
あばたの上をにじむ涙が球を作り、頬を伝い落ちていった。


それをみた僕の中で何かが頂点を成した。
顔を隠す、いもじゃの体内で、僕の性器は大きくぶるりとふるえ白濁を吐き出した。しばらく中でびくびくと小刻みに揺れていた。


吐き出し終えると何物でもない沈黙が場を支配した。
何の立場もない、関係性が名義されていない自分たちに、こんな時に交わす言葉は見つからなかった。


いもじゃの背中は白く、尻も白い。
穴周りにまばらに毛が生えた尻から性器を引き抜くと、白と透明が混じった体液がつーっと垂れ落ちていった。


体液は穴と周りの皮膚と毛を濡らし、むき出しの電球に照らされ、てらてらと淫靡に光っていた。


自分の赤らんだ性器には残った白い軟膏がべったりと残り、少しの排せつ物が付着していた。

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