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友達
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手の中でピコンとスマホが鳴った。
画面を見てみると「先に帰るなんて酷い」と出ていたから速攻で消した。
クリスは佐竹や白田達とテーブルを囲い、その周りを女子が覆っていたから声は掛けずに会場を出てきた。
今は細かい確認をしながら真城と駅に向かっている途中だった。
またピコンと携帯が鳴った。
今度は「このままサロンで飲むから帰って来い」だ。続いて「寂しい」「顔が見たい」「薄情者」が来ている。
あのクリスが追って来ないのは本当に忙しいからなのだろう、相手をするより無視した方がいいように思えて尻のポケットにスマホを差し込んだ。
「何?誰?忙しいな」
「え?…誰って…」
「まあ……聞かなくてもわかるけど……なあ……もしかしなくても蓮とクリスは付き合ってる?」
「え……と…」
真城独特の真っ直ぐな目で問い掛けられて少したじろいだ。ずっと遠慮してくれていたのか、その質問をするのは初めてだったが、口調は疑問というより確認に聞こえた。
「………そう見える?……かな…」
「見えるもクソもないだろう、立っても座っても当然のようにペアになってるし、今日だって執行部としての様子見って言うより蓮に会いに来たってのはありありだったじゃん」
「それは……」
それは彼の趣味と位置付けてもいいストーキングの一環なのだが、クリスの為にも、他諸々の事情から詳しい説明は出来ない。
無駄だろうと思いつつ惚けてみた。
「今日は俺達だけでは不安だがら執行部が見に来たんじゃないのかな?」
「蓮にだけ飲み物の差し入れを持って?30人くらいいたのに蓮にまっしぐらだったろ」
「だからそれは……」
「甘々な雰囲気で日焼けを冷やしてもらったり?夕飯の話もよくしてるよな。大体さ、蓮といる時の栗栖さんはおかしいよ。女子から話しかけられても完全に無視してたぞ、そんなによく知っている訳じゃ無いけど普段はもっと愛想を振り撒く感じだと思うけど?」
「そう……なのかな…あんまり知らないけど」
「付き合ってんだろ?」
全てがクリスの主催なのだが真城は微妙に被害者の1人と言える。違うと言い切るには卑怯な気がするし、これは自分にも問うべき話だ。
「………多分……付き合ってる…かな?」
「お前な、多分って何だよ、何でもかんでも人任せなのか?」
「そうだけどそうじゃなくて……」
何だか烏滸《おこ》がましいのだ。
眩い光に包まれているような人が好きだと言ってくれる理由がわからない上に、まず付き合っているかどうかより、知り合いだと公言するのさえ厚かましく思えてしまう。
「俺は誰かと付き合ったりした事も無いし、友達もいないからどう捉えていいかわからないって言うか…」
「え?!俺は?友達じゃ無いの?」
仰け反るくらい派手に驚いた真城には「友達」という括りに対するハードルは足元に転がる小石より低いのだろう。これはクリスと付き合っているかどうかを問われた時と同じ劣等感なのだが真城もまた嫌われている心配などしたことが無い人種なのだ。
「俺と……真城は友達…なの?」
「友達だろ?!飲んだし名前を呼び合ってるしこの所は毎日顔を合わせているし!」
「……そうなのかな…」
「お前酷えな!」
バンっと背中を叩き押されて前のめりになった。
痛くは無いがひたすら驚いて咽せてしまう。
そんな自分が可笑しくて咳に混じって笑い声が出て来た。
「友達…なんだ…」
「そりゃさ、蓮は面白くも何とも無いし役立たずを極めてるし気も利かないし……」
何で友達なんだろう?と疑問を反芻するように顎に手を置き顔を傾けた真城は、時々馬鹿に見えるとか、何も出来ないところにイラつく事があるとか、駄目なところを並べていく。
「………もうその辺でいい…」
目を見て話さない、そもそも不気味な程無口、どれもわかっているのに出来ない事なのだ。
「やめろ」と降参の手を挙げると、1つの曇りも無い顔でハハっと笑った。
「そんな蓮の家に行っていいか?」
「え?!」
「そんな驚く?俺ん家でもいいけど実家だぞ?お前は下宿だろ?今日決まった事を纏めようぜ、手撒きのチラシも作んなきゃだしな」
「そうだけど…」
チラリと頭を過ったのは言うまでもなくクリスの顔だった。しかし、真城には付き合っていると公言したのだ。呼んでなくても部屋に入って来るあの人が当然の顔をして帰って来たとしても問題は無い……のかもしれない。
「嫌なら店は……金が掛かるしな、コンビニのフードコートでも行く?」
「いや、俺の部屋でいいよ、駅から少し歩くけどそれでもいい?」
「勿論」と笑った真城は沢山の友人の真ん中から光で周りを照らす眩しいタイプの人だ。
頑張らなくても隣にいていいと思わせてくれるから肩の力が抜けていた。
しかし、その分空気を読んだり遠慮をしたりはしてくれない、電車に乗ったり歩いている間中開けっ放しのドアを思わせる率直さで考え付く限りの疑問を投げて来た。
「あの」クリスと知り合ったきっかけ、付き合うようになった経緯《いきさつ》、どっちからアプローチしたのか、告白などはあったのかなど、どれもこれも答えにくい質問ばかりだった。
真城ならどう思うか、どう受け取るかを聞いてみたいとは思うが、何があったかをそのまま伝えればクリスがどれだけ変な人なのかを暴露してしまう事になってしまう。誤魔化して誤魔化してアヤフヤにふんわりアレンジを施した。
「本を届けただけ?それで突然飲み屋で告白?何かあったんだろ?」
「何も無いよ、本は直接渡してもいないしすぐに逃げただけ」
「そんな事無いだろ、あの栗栖さんだぜ?」
そこはどうしてなのか本当にわからなのだ。
昔のライブを見て学祭の出し物に引き込もうと画策していたって事はわかっているが、何の利益も無いのだからそれだけにしては「やり過ぎ」の感はある。
「釣り合ってない事はわかってるよ、綺麗な女の人に睨まれたりしてるもん」
「え?睨んで無いだろ?蓮の周りは結構ザワザワしてるように見えるけどな」
「ザワザワ?…って?」
「蓮が1人の時ってさ、なんて言うのかな?歩いて行くと風の筋が見えるような気がする…って感じ?挨拶ひとつでも躊躇するわ」
「え?俺は?臭いの?」
香水なのか化粧品なのかは知らないが、匂いの道を作る女子がいる。
汗はよくかく方である。
洗濯もマメでは無いし、朝起きたままの服で過ごす事も頻繁にある。
炎天下で会場の片付けをした今も汗をかいて乾いて……またじんわりと湿って来ていた。
Tシャツを引っ張って鼻を付けてみると「そうじゃない」と小突かれた。
「でもちょっと臭いような気がする」
「そりゃ今日はお互いに臭いかもなしれないけど、そういう事じゃなくて……領域を侵してはいけないような……孤高の麗人に見えるってかな、全部気のせいだったけど」
「冷人?……あ、それとも幽霊の霊?」
「………お前馬鹿だろ」
「ドイツ語は2回目だけど…」
「それは俺もだけど……もういいよ」
見た目と中身が違いすぎると言われても意味がわからないのだが、詳しく聞く前にアパートに着いてしまった。
いつも臭いのかどうかはわからないが今臭いのは間違いないから速攻でシャワーを浴びた。
断ると思いつつも真城にも勧めたら「そうする」と風呂場に行くからそれなら先に勧めればよかったと後悔した。
初めて行く友達の部屋で躊躇なく風呂を借りるなんて凄いとしか言いようがない。
帰ってくる途中で仕入れたポテトチップスと2ℓのコーラを裏返したビールケースに広げて頭を寄せた。
以前にクリスが言っていた通り、執行部の方で軽音サークルなどが行う独自のライブや、クラシック演奏会、ゲリラ予定のブラスバンドパレードを含めて学祭の音楽ライブを纏めたマップを作る事が決まっていた。しかし、サブステージの運営に拘りのある真城は独自の手撒きのチラシを作りたいと言う。
「やっぱりコンソメが良かったな」
摘んでいるポテチを眺めてから口に入れると美味しいけど少し物足りない。
「そうか?」と手元から顔を上げた真城は薄塩派だった。
「コンソメは飽きないか?ってかさ、前から思ってたけど蓮って時々彼方を漂うな」
「え?ごめん」
「いいけど今は真面目に考えろな、予算はカツカツで使い切ってるんだからな」
「だからさ、執行部の作るマップだけでもよくない?」
「駄目、絶対にサブステージのフライヤーは作る、予算は……この際だから会場の隅で物販でもするか」
「模擬店を出すって事?申請しなきゃ出来ないんじゃないの?もう締め切ってたような気がするけど」
「そこはほら、サブステージの予算に込み込みで押し込んだら何も言われないと思うけど」
「どうだろう」
学祭は万もいる学生の他に外部からも客が集まる為、勝手に紛れ込んで商売をする業者や許可もなく勝手に飲み物などを売る学生も出てくる。
他にも怪しげな宗教や政治団体への勧誘を見張りを兼ねて執行部の一部で自警団が発足しているのだ。
「見つかったら怒られそうだけど」
「ちゃんと計画に練り込んで報告しとけば行けるって、ライブにはワンドリンクが付き物だろう?」
「そうなの?でもコンビニも自販機もあるのに定価より高かったら誰も買わないだろ」
「ペットボトルや缶のまま売るわけないだろ、紙コップに氷を入れて飲み物を入れるんだ、安い量販店でなら2ℓ160円くらいで売ってるから一杯100円にすると800円から900円の利益が出る」
「………ん?……うん…」
いつも思うが真城は本当にテキパキと考えて、テキパキと動く人だ。
つまり100杯くらい飲み物を売ればチラシ代はペイ出来ると真城は言うが、そもそも素人バンドの発表会に100人も見にくる人がいるのかがどうかが疑問だった。
「ガラガラだったりして」
「ギチギチに詰めれば1000人くらいは集まれる会場だぞ、集めるさ、その為のフライヤーだ。」
「やるぞ」と手を持ち上げられたから何だと思ったら腕を叩き落とす勢いでバチンと打ち付けた。
それは生まれて初めてのハイタッチだったのに口をついて出て来たのは「痛え!」だった。
「ごめん」と笑った真城はもう一回という仕草で手を挙げてくれたのだが、そこにとんでもないトラブルが舞い込んできた。
破裂したかのような音を立ててドアが開いたかと思えば、ドカドカと靴のまま踏み込んで来たクリスが、ドスの効いた声で「何をした!」と真城に掴みかかった。
あまりにも唐突で驚いたのは2人ともだったが、対人反射神経のいい真城は何を怒られているのかも把握しないままでも「何もしてない」と両手を挙げた。それでもクリスは止まらない。
「じゃあ何をするつもりだ!何のつもりだ!魂胆は?!蓮は僕のもんだぞ?!」
「クリス?!何言ってんの?!」
何をどんな風に妄想すればそんな結論になるのか全く理解の範疇には無いが、止めないと手を上げる心配をする程憤慨している。
もつれる2人の間に「やめて」と割り込むと「黙っていろ」と押し返された。
「クリス!何してるんだよ」
「何してんのは蓮だろう?何で部屋に入れてんの?やらしい事されたらどうすんの?!誰かと仲良くするなんて無いだろ!部屋に僕以外を入れるなんて初めてだろ!」
「………………いつも1人で悪かったな」
あまつさえ不法入手した鍵で部屋に入っていた奴が何を言うのだ。
「俺たちは友達だ」と先んじて言える人種にボッチだという事を悟られる恥ずかしさなんて……黙っていても沢山の人に囲まれるクリスにはわからないのだ。
「クリスが俺の事をどう思っているかよくわかったよ」
呆気に取られて口が空きっぱなしになっている真城の腕を掴んで「行こう」と引っ張った。
誰の部屋なのかは置いといて、出て行く事で怒っている事をアピールするつもりなのだが、いつもいつもキレるポイントを間違うクリスだ。
ムッと眉を寄せ「これは僕のだ」と物を取り返すように抱き上げられた。
真城が見ているのだ。当たり前なのだが「離せ」と暴れた。
「クリスの馬鹿!自分の部屋に帰れよ、体操服を着て寝ればいいだろ!」
「着るよ!」
「勝手にしろ!」
10センチくらい背の高さが違うにしても軽く持ち上げれてしまう事実にも腹が立っていた。
握った拳で手当たり次第に肩とか腕をドカドカと叩いているのに嬉しそうにする変態だ。
この際だから顔を殴ってやろうかと思ったのだが、そこで「待って」と真城が割って入った。
「すいません栗栖さん、俺が悪いんです」
「真城は悪く無いよ、クリスが馬鹿なだけだ」
「いや、男3人だからわかりにくいけど蓮を女の子として仮定してみろよ、栗栖さんから見たら俺は一人暮らしをしている彼女の部屋に上がり込んでた事になるだろ?」
「いや……え?……」
「それは誰だって嫌だろうし怒りますよね」
真城の問い掛けに深く頷いたクリスは反省したのかと思えば「じゃあ今すぐ帰れ」とは何事だ。
「どっちかと言えばクリスが帰れば?俺達はまだまだやらなきゃならない事があるんだよ、大体何してんの?今から呑むってLINEしてきただろ」
「そんなの蓮が帰れば帰るに決まってるだろ」
ドヤ顔で言い切るクリスを見て「愛されてんな」と感心している真城だが真相は少し意味違うのだ。執行部の飲み会を抜けてきたのはいいとしても、多分踏み込んで来た時よりもっと早くから部屋の外にいたのだと思う。
ストーキングはもはやクリスの趣味なのだ。
その場は何かと上手い真城が取り繕ってくれたお陰でやらなければならない打ち合わせは続ける事が出来たのだが、剥き出しの本性を隠そうともしないクリスは始終真城を睨んでいた。
クリスという人は自分の都合が悪い時は何もなかったように振る舞う達人だった。
何も悪く無い真城に酷い態度を取った夜は一言も口を効かなかったから怒っている事は十分にわかっている筈なのに、返事無しのまま普通に話しかけて来るし当たり前という態度でお風呂に入って当たり前に泊まっていく。
そして朝になったら「海に行こう」だ。
もうその話は無くなっていると思っていたから喧嘩の最中だった事も忘れて慌てたのだが、クリスが決めた事から逃れる術なんか無かった。
何よりも、車を運んできてくれた同い年くらいの若い社員らしき人に「個人的な目的なのに勝手をして申し訳ない」と、深く頭を下げている所を見せられて何も言えなくなっていた。
しかも、クリスが車と口にした時に想像した豪華なオープンカーなどでは無く、質実剛健と言えるくらい無機質な8人乗りの白いバンだった。
質素なシートは薄っぺらく、パイプの見える後部座席は折り畳んで荷物を運べる仕様になっている。
高そうな食べ物を用意したり、趣味だと言い切り服や物を買ってしまったりはするが、実は贅沢な生活をしている訳では無いと知っている。
「座り心地が悪くてごめん」と苦笑いを浮かべるクリスだが、それは華やかな表の顔の裏側に隠している暇さえあればひたすら本を読む努力家の素顔と同じに見えた。
「ストーキングの努力はもう少し惜しんでもいいと思うけど…」
小さな呟きだったのに耳聡く拾って「何か言った?」と聞いたクリスは、ハンドルを握りながら付けっぱなしになっていたFMラジオから流れる流行り歌を口ずさんでいた。
例の無理矢理な告白付きの飲み会から否応無く一緒にいるが、音楽を聴いているような様子は無いのにどの曲もよく知っている。
普段ならそんな事はしないが流れるメロディから半音外してクリスの歌に合わせた。
普通の乗用車では聞こえないチャリンチャリンと内装の何かが揺れて鳴る音やエンジンの唸る声、風を切る疾走感が相まって気持ちが良かった。
誰にも遠慮のいらない閉じ込められた空間で流れに合わせるだけでいい。昔から纏わりつくようについて回った音楽がいつもこんな風だといいのに思う。
フフっと笑い声を立てたクリスが「幸せだね」と笑った。
丁度その頃に数多の人々がはしゃぎ回るビーチが見えてきたのだが、そこは素通りして人気のない地味な岩場で車を止めて何をしようとも言わない。もうラジオは無いのに緩くメロディを刻みながら湧いては消える波を見ていただけだった。
ビーチに出ても遊び方がわからない、どうはしゃいだらいいのかがわからない、そんなつまらない奴の事を全てわかってくれているのだしたら、幸せなのかもしれないと思えた。
画面を見てみると「先に帰るなんて酷い」と出ていたから速攻で消した。
クリスは佐竹や白田達とテーブルを囲い、その周りを女子が覆っていたから声は掛けずに会場を出てきた。
今は細かい確認をしながら真城と駅に向かっている途中だった。
またピコンと携帯が鳴った。
今度は「このままサロンで飲むから帰って来い」だ。続いて「寂しい」「顔が見たい」「薄情者」が来ている。
あのクリスが追って来ないのは本当に忙しいからなのだろう、相手をするより無視した方がいいように思えて尻のポケットにスマホを差し込んだ。
「何?誰?忙しいな」
「え?…誰って…」
「まあ……聞かなくてもわかるけど……なあ……もしかしなくても蓮とクリスは付き合ってる?」
「え……と…」
真城独特の真っ直ぐな目で問い掛けられて少したじろいだ。ずっと遠慮してくれていたのか、その質問をするのは初めてだったが、口調は疑問というより確認に聞こえた。
「………そう見える?……かな…」
「見えるもクソもないだろう、立っても座っても当然のようにペアになってるし、今日だって執行部としての様子見って言うより蓮に会いに来たってのはありありだったじゃん」
「それは……」
それは彼の趣味と位置付けてもいいストーキングの一環なのだが、クリスの為にも、他諸々の事情から詳しい説明は出来ない。
無駄だろうと思いつつ惚けてみた。
「今日は俺達だけでは不安だがら執行部が見に来たんじゃないのかな?」
「蓮にだけ飲み物の差し入れを持って?30人くらいいたのに蓮にまっしぐらだったろ」
「だからそれは……」
「甘々な雰囲気で日焼けを冷やしてもらったり?夕飯の話もよくしてるよな。大体さ、蓮といる時の栗栖さんはおかしいよ。女子から話しかけられても完全に無視してたぞ、そんなによく知っている訳じゃ無いけど普段はもっと愛想を振り撒く感じだと思うけど?」
「そう……なのかな…あんまり知らないけど」
「付き合ってんだろ?」
全てがクリスの主催なのだが真城は微妙に被害者の1人と言える。違うと言い切るには卑怯な気がするし、これは自分にも問うべき話だ。
「………多分……付き合ってる…かな?」
「お前な、多分って何だよ、何でもかんでも人任せなのか?」
「そうだけどそうじゃなくて……」
何だか烏滸《おこ》がましいのだ。
眩い光に包まれているような人が好きだと言ってくれる理由がわからない上に、まず付き合っているかどうかより、知り合いだと公言するのさえ厚かましく思えてしまう。
「俺は誰かと付き合ったりした事も無いし、友達もいないからどう捉えていいかわからないって言うか…」
「え?!俺は?友達じゃ無いの?」
仰け反るくらい派手に驚いた真城には「友達」という括りに対するハードルは足元に転がる小石より低いのだろう。これはクリスと付き合っているかどうかを問われた時と同じ劣等感なのだが真城もまた嫌われている心配などしたことが無い人種なのだ。
「俺と……真城は友達…なの?」
「友達だろ?!飲んだし名前を呼び合ってるしこの所は毎日顔を合わせているし!」
「……そうなのかな…」
「お前酷えな!」
バンっと背中を叩き押されて前のめりになった。
痛くは無いがひたすら驚いて咽せてしまう。
そんな自分が可笑しくて咳に混じって笑い声が出て来た。
「友達…なんだ…」
「そりゃさ、蓮は面白くも何とも無いし役立たずを極めてるし気も利かないし……」
何で友達なんだろう?と疑問を反芻するように顎に手を置き顔を傾けた真城は、時々馬鹿に見えるとか、何も出来ないところにイラつく事があるとか、駄目なところを並べていく。
「………もうその辺でいい…」
目を見て話さない、そもそも不気味な程無口、どれもわかっているのに出来ない事なのだ。
「やめろ」と降参の手を挙げると、1つの曇りも無い顔でハハっと笑った。
「そんな蓮の家に行っていいか?」
「え?!」
「そんな驚く?俺ん家でもいいけど実家だぞ?お前は下宿だろ?今日決まった事を纏めようぜ、手撒きのチラシも作んなきゃだしな」
「そうだけど…」
チラリと頭を過ったのは言うまでもなくクリスの顔だった。しかし、真城には付き合っていると公言したのだ。呼んでなくても部屋に入って来るあの人が当然の顔をして帰って来たとしても問題は無い……のかもしれない。
「嫌なら店は……金が掛かるしな、コンビニのフードコートでも行く?」
「いや、俺の部屋でいいよ、駅から少し歩くけどそれでもいい?」
「勿論」と笑った真城は沢山の友人の真ん中から光で周りを照らす眩しいタイプの人だ。
頑張らなくても隣にいていいと思わせてくれるから肩の力が抜けていた。
しかし、その分空気を読んだり遠慮をしたりはしてくれない、電車に乗ったり歩いている間中開けっ放しのドアを思わせる率直さで考え付く限りの疑問を投げて来た。
「あの」クリスと知り合ったきっかけ、付き合うようになった経緯《いきさつ》、どっちからアプローチしたのか、告白などはあったのかなど、どれもこれも答えにくい質問ばかりだった。
真城ならどう思うか、どう受け取るかを聞いてみたいとは思うが、何があったかをそのまま伝えればクリスがどれだけ変な人なのかを暴露してしまう事になってしまう。誤魔化して誤魔化してアヤフヤにふんわりアレンジを施した。
「本を届けただけ?それで突然飲み屋で告白?何かあったんだろ?」
「何も無いよ、本は直接渡してもいないしすぐに逃げただけ」
「そんな事無いだろ、あの栗栖さんだぜ?」
そこはどうしてなのか本当にわからなのだ。
昔のライブを見て学祭の出し物に引き込もうと画策していたって事はわかっているが、何の利益も無いのだからそれだけにしては「やり過ぎ」の感はある。
「釣り合ってない事はわかってるよ、綺麗な女の人に睨まれたりしてるもん」
「え?睨んで無いだろ?蓮の周りは結構ザワザワしてるように見えるけどな」
「ザワザワ?…って?」
「蓮が1人の時ってさ、なんて言うのかな?歩いて行くと風の筋が見えるような気がする…って感じ?挨拶ひとつでも躊躇するわ」
「え?俺は?臭いの?」
香水なのか化粧品なのかは知らないが、匂いの道を作る女子がいる。
汗はよくかく方である。
洗濯もマメでは無いし、朝起きたままの服で過ごす事も頻繁にある。
炎天下で会場の片付けをした今も汗をかいて乾いて……またじんわりと湿って来ていた。
Tシャツを引っ張って鼻を付けてみると「そうじゃない」と小突かれた。
「でもちょっと臭いような気がする」
「そりゃ今日はお互いに臭いかもなしれないけど、そういう事じゃなくて……領域を侵してはいけないような……孤高の麗人に見えるってかな、全部気のせいだったけど」
「冷人?……あ、それとも幽霊の霊?」
「………お前馬鹿だろ」
「ドイツ語は2回目だけど…」
「それは俺もだけど……もういいよ」
見た目と中身が違いすぎると言われても意味がわからないのだが、詳しく聞く前にアパートに着いてしまった。
いつも臭いのかどうかはわからないが今臭いのは間違いないから速攻でシャワーを浴びた。
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摘んでいるポテチを眺めてから口に入れると美味しいけど少し物足りない。
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「え?ごめん」
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「どうだろう」
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「ガラガラだったりして」
「ギチギチに詰めれば1000人くらいは集まれる会場だぞ、集めるさ、その為のフライヤーだ。」
「やるぞ」と手を持ち上げられたから何だと思ったら腕を叩き落とす勢いでバチンと打ち付けた。
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破裂したかのような音を立ててドアが開いたかと思えば、ドカドカと靴のまま踏み込んで来たクリスが、ドスの効いた声で「何をした!」と真城に掴みかかった。
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「じゃあ何をするつもりだ!何のつもりだ!魂胆は?!蓮は僕のもんだぞ?!」
「クリス?!何言ってんの?!」
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「クリス!何してるんだよ」
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「………………いつも1人で悪かったな」
あまつさえ不法入手した鍵で部屋に入っていた奴が何を言うのだ。
「俺たちは友達だ」と先んじて言える人種にボッチだという事を悟られる恥ずかしさなんて……黙っていても沢山の人に囲まれるクリスにはわからないのだ。
「クリスが俺の事をどう思っているかよくわかったよ」
呆気に取られて口が空きっぱなしになっている真城の腕を掴んで「行こう」と引っ張った。
誰の部屋なのかは置いといて、出て行く事で怒っている事をアピールするつもりなのだが、いつもいつもキレるポイントを間違うクリスだ。
ムッと眉を寄せ「これは僕のだ」と物を取り返すように抱き上げられた。
真城が見ているのだ。当たり前なのだが「離せ」と暴れた。
「クリスの馬鹿!自分の部屋に帰れよ、体操服を着て寝ればいいだろ!」
「着るよ!」
「勝手にしろ!」
10センチくらい背の高さが違うにしても軽く持ち上げれてしまう事実にも腹が立っていた。
握った拳で手当たり次第に肩とか腕をドカドカと叩いているのに嬉しそうにする変態だ。
この際だから顔を殴ってやろうかと思ったのだが、そこで「待って」と真城が割って入った。
「すいません栗栖さん、俺が悪いんです」
「真城は悪く無いよ、クリスが馬鹿なだけだ」
「いや、男3人だからわかりにくいけど蓮を女の子として仮定してみろよ、栗栖さんから見たら俺は一人暮らしをしている彼女の部屋に上がり込んでた事になるだろ?」
「いや……え?……」
「それは誰だって嫌だろうし怒りますよね」
真城の問い掛けに深く頷いたクリスは反省したのかと思えば「じゃあ今すぐ帰れ」とは何事だ。
「どっちかと言えばクリスが帰れば?俺達はまだまだやらなきゃならない事があるんだよ、大体何してんの?今から呑むってLINEしてきただろ」
「そんなの蓮が帰れば帰るに決まってるだろ」
ドヤ顔で言い切るクリスを見て「愛されてんな」と感心している真城だが真相は少し意味違うのだ。執行部の飲み会を抜けてきたのはいいとしても、多分踏み込んで来た時よりもっと早くから部屋の外にいたのだと思う。
ストーキングはもはやクリスの趣味なのだ。
その場は何かと上手い真城が取り繕ってくれたお陰でやらなければならない打ち合わせは続ける事が出来たのだが、剥き出しの本性を隠そうともしないクリスは始終真城を睨んでいた。
クリスという人は自分の都合が悪い時は何もなかったように振る舞う達人だった。
何も悪く無い真城に酷い態度を取った夜は一言も口を効かなかったから怒っている事は十分にわかっている筈なのに、返事無しのまま普通に話しかけて来るし当たり前という態度でお風呂に入って当たり前に泊まっていく。
そして朝になったら「海に行こう」だ。
もうその話は無くなっていると思っていたから喧嘩の最中だった事も忘れて慌てたのだが、クリスが決めた事から逃れる術なんか無かった。
何よりも、車を運んできてくれた同い年くらいの若い社員らしき人に「個人的な目的なのに勝手をして申し訳ない」と、深く頭を下げている所を見せられて何も言えなくなっていた。
しかも、クリスが車と口にした時に想像した豪華なオープンカーなどでは無く、質実剛健と言えるくらい無機質な8人乗りの白いバンだった。
質素なシートは薄っぺらく、パイプの見える後部座席は折り畳んで荷物を運べる仕様になっている。
高そうな食べ物を用意したり、趣味だと言い切り服や物を買ってしまったりはするが、実は贅沢な生活をしている訳では無いと知っている。
「座り心地が悪くてごめん」と苦笑いを浮かべるクリスだが、それは華やかな表の顔の裏側に隠している暇さえあればひたすら本を読む努力家の素顔と同じに見えた。
「ストーキングの努力はもう少し惜しんでもいいと思うけど…」
小さな呟きだったのに耳聡く拾って「何か言った?」と聞いたクリスは、ハンドルを握りながら付けっぱなしになっていたFMラジオから流れる流行り歌を口ずさんでいた。
例の無理矢理な告白付きの飲み会から否応無く一緒にいるが、音楽を聴いているような様子は無いのにどの曲もよく知っている。
普段ならそんな事はしないが流れるメロディから半音外してクリスの歌に合わせた。
普通の乗用車では聞こえないチャリンチャリンと内装の何かが揺れて鳴る音やエンジンの唸る声、風を切る疾走感が相まって気持ちが良かった。
誰にも遠慮のいらない閉じ込められた空間で流れに合わせるだけでいい。昔から纏わりつくようについて回った音楽がいつもこんな風だといいのに思う。
フフっと笑い声を立てたクリスが「幸せだね」と笑った。
丁度その頃に数多の人々がはしゃぎ回るビーチが見えてきたのだが、そこは素通りして人気のない地味な岩場で車を止めて何をしようとも言わない。もうラジオは無いのに緩くメロディを刻みながら湧いては消える波を見ていただけだった。
ビーチに出ても遊び方がわからない、どうはしゃいだらいいのかがわからない、そんなつまらない奴の事を全てわかってくれているのだしたら、幸せなのかもしれないと思えた。
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考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
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