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第3話 ぼろ部屋

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ん。今なんと?

「み、水商売の職業でSS級とは…すごいですわ…その…ね。色々上手いんでしょうね…」

え?いやいや女王さんよ…。
そんなルックスはイケてるけど、逆にイケメン過ぎて告白なんてする子が居なくて未だに童ぴーだからね?そんなスキルないからね?

「…嬉しくないんですが」

女王の顔がぴくぴく引きつっていて、彼女も困惑しているようだ。

とりあえずステータスを見てみよう…
もしかしたら、TUEEEEでるかもしれない。



――――――
名前 一ノ宮 楓
職業 『SS級ホステス』(水商売)
ホステスとしてのLv、0
性別 男性
種族 人間

Lv、1
HP 50/50
MP20/20
筋力 40
防御力 20
魔力 10
運 100

ユニークスキル
『甘い誘惑』

スキル
会話上手

※『甘い誘惑』(相手は性別や種族を問わず相手を自分に興味を惹かせ従者にも出来る)

――――――――――

うん。
ステータス、普通すぎてゴミだね。
それに『甘い誘惑』ってなに?
俺に何させたいわけ?

勇者は俺だ!とか張り切ってたから余計にショックが響くね…。
それに俺だけ、戦闘職じゃないし…。
夜の仕事だし…。

「それでは!皆さん!級事に部屋を別れさせていただきます!一ノ宮さんだけは居残っていただきます」

え…俺だけ。居残り?
はぁ…もう異世界とかどーでもいい。
早く魔王でもとっとと倒して日本に帰せ…

クラスメイト達はサッサと級事に別れていく。
部屋の中は女王と俺。そして兵士達だけになった。

「貴方には、退出を願う。勝手に呼んだそのお詫びの印として、金貨20枚ととっておきの職場へ話を通しておこう」

兵士の1人に金貨が20枚、どさっと入った袋と紹介状を渡されていた。

「とりあえず、もうすぐで日も落ちる。今日はここに泊まるがいいわ。だけど明日の昼にはもう外へ追い出しますから、覚悟しときなさいよ」

「…はい」

兵士に案内された部屋は、「ボロ」それ以外の言葉が出ない部屋だった。
布団は異世界のはずなのに、敷布団。
それも、枕なんてもんはない…。
トイレはこの部屋の隅っこに設置させれているだけ。

「お前が立ち入れる場所のみだ」

まだ、金貨と今日泊まれる場所と働く先があるだけマシなのか…
そう思い、今は自分の心を癒すことにした。

この部屋にきて、2時間が経とうとしていた頃────
「ゴンゴンゴン」と乱暴に扉を叩くノックの音がした。

「なんですか」
俺は扉に向かって言った。

扉から出てきたのは、クラスメイト、「黒木 すばる」とその仲間たち2人だった。
すばる、彼自身は体格もよく筋肉もそれなりに付いている。ただ口が悪い。
他の二人はただのモブ達だけど、よくある問題児三兄弟みたいに、こいつらの一人はデブで横に長くて、もう一人は骨みたいに細くて縦に長い。

その問題児三兄弟のうちの一人、黒木すばるが仁王立ちして俺を見下ろす。
「よう、みんなのアイドル、楓さんよ。楓さんはこんなところで、1日を過ごすんですかぁー?僕なんてA級魔剣士だからスィートルームに泊まってるんだぜ?」
「あとさ、お前。俺の彼女を奪ったこと、忘れてる訳ないよな?ここにいる2人もそうだ。お前に彼女を取られたんだ!!」
黒木すばるは顔を真っ赤にして怒鳴り散らかすと、手でモブ二人に合図をした。
「よし、お前らやれ!」

そうして、3人は俺を囲んで何かを唱え始めた。何かを唱え終わった時、俺は金縛りにあったみたいに体が動かなくなっていた。
これが魔法というものなのか…。
声を出す事も出来ない。本当に金縛り状態ですごい。
魔法に感心していると、問題児三兄弟が俺に殴るやら、蹴るやらで至る所をやつまてくる
物凄く、痛い!!!
だけど、魔法のせいなのか全く声を出す事ができない。
「お前はもう少し、自分の行動を見直せつっーの!」
「自分はイケメンだ!とか思ってるんだろ?このクズが!」
「この顔だけのやつが!」
図星を突かれる言葉が心にも突き刺さる。
それからはあまりの痛みで意識が遠のいて意識を失っていた。

目を覚ました時あいつらは居なくなっていて
鏡と手紙が残されていた。
手紙を開く…
(こんど、同じことをしてみろ。命はないと思え。その印に顔に傷を付けてやった。これでお前のルックスも終わりだな。ざまぁあ)

俺のルックスが無くなる?
それは本当に困る。俺は外面は良いけど、驚くほど性格が悪い。もし、外面が汚れてしまったら俺は終わる
急いで鏡で自分の顔を確認する。

「…っ」

そこには殴られ青く腫れた自分の顔があった。もはやそれにはイケメンの俺の顔の面影はない。それに頬の部分にナイフでズバっと切ったのか血が流れている。

痛い…体全身が痣や内出血で大量だ。

もう、就職とか無理だろう。
骨とか折れているかもしれない。
それなら死んだ方がマシなのかもしれない
そう思った。

「コンコン」またドアを叩く音がなった。

また、あいつらみたいなヤツらか…
もう今度こそは死ぬな…
俺は心のどこかで死ぬという決意した



しかし、ドアから現れたのは、男でもなく、女の子だった。誰だっけ…名前が思い出せない…。

「あの…楓くん…」とドアから小さく顔を出す名前を知らない彼女。
「って!!え!!どうしたの?!大丈夫?!まさか黒木のやつが…っ」
「今治すからね」
彼女は俺の顔やそのざまをみると、駆け寄るようにはこっちに走ってきた。


「…」

「ハイヒール!」と彼女が唱えると、俺の体全身が暖かい光に包まれた。
徐々に回復している気がする。
その光りによって、俺の体にあった、痣や内出血は癒えていく。顔にあったタンコブやナイフで傷つけられた頬をも無くなっていく…。

「あ、ありがとう…」

「ううん!一応これでもS級聖女なのです!
ちなみに、私は小林 美晴っていいますっ!話した事なかったから…記憶にないかもしれないけど…」

小林 美晴…か…。

「んじゃ、私はそろそろ行くね!ちゃんと鍵掛けて置くんだよー」

「あ。ちょっと待って」
呼び止めてしまった。どうしよう…
「そ、その…本当に助かった。ありがとう」

「うん!」

彼女は太陽なうな笑顔を見せると部屋を去っていった。






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