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第3話 僕と彼の差
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柳田は部室に入ると、上植さんの向かいの席に座った。いつもの定位置だ。そして、ドサッとバッグを机の上に置いて、こっちを見た。
「なぁぁ、こまごめぇ、そんな考え込んでどうした?あん?変な奴らにでも付きまとわれたかぁ?」
「うん、よく分かったね。お察しの通り、僕と上植さんがお昼を食堂の外で食べてる時に、視線というか、殺気を感じたんだ。」
「ほぉ、そんで?お前、個聖を使ったのか?」
「そうだよ。」
全く、相変わらず柳田は話の理解が早いな。
「だから柳田も、学内に居るときは、気をつけた方がいい。」
政府の監視官が僕らを疑って、狙ってくるかもしれないからな。
「ふん、俺はお前みたいなチンケじゃねぇよ、舐めんじゃねぇ。俺は、最強だ。」
そうだったな。柳田の個聖は、僕の『空間移動(テレポーション)』や上植さんの『再上映(リバイバル)』と違って戦闘向きだ。
「なぁこまごめぇ、俺と模擬戦闘の訓練しようや。あん?」
唐突になんだよ。あんまり乗る気じゃないんだけどな。まぁでも、今後のこともあるし、少しなら…。
「うん、まぁ、そうしたいなら、するか。」
柳田はそう来ると思ったぜ、という顔で笑った。
その時、ずっとスマホをいじっていた上植さんが、スマホを机の上に静かに置いてこっちを見た。
「ちょっと、柳田くん、駒込くん嫌がってるでしょ!そんな訓練しなくていいよ。駒込くんは十分強いもん!」
彼女は真剣な目で柳田に向かって言った。
「ちっ。まぁ少しだけだぁ、かみうえぇ、こいつも乗る気だし、いいだろうよぉ」
「駒込くん、無理しなくていいからね、、。」
そういって上植さんは、少し心配そうな顔をしていた。
「柳田、少しだけだよ。」
「あぁ、上等だ」
かくして、模擬戦闘訓練をすることになった。模擬訓練を行う場所は、部室の中にある20畳ほどの広々とした空き部屋だ。扉を開けて中に入る。
「じゃあ、始めようかぁ、こまごめぇ」
「うん、そうだね。」
「じゃあ、ふたりとも、準備はいい?」
そう言って、上植さんが声をあげた。
「ルールの確認だけど、相手の致命傷になることは避けること、それと相手が降参と言ったらその場で終了すること!あと、個聖の使用は許可します!」
「了解だぁ!!!」
「うん。」
「それでは、、、訓練開始!」
二人が訓練開始の祈りを捧げ始める。
『主なるひとつの神よ、我が命に加護を与えられん。』
その瞬間、柳田は上段の回し蹴りを入れた。顔狙いか。それと同時に、僕は『空間移動(テレポーション)』を使って、背後に移り、攻撃は空を蹴った。
「くそぉぉ!こまごめぇ、これならどうだぁ!!!くらいやがれぇ!」
ヒュッという音と共に黒い何かが顔めがけて飛んできた。僕は咄嗟に床に手をつき、受け身の体制をとり、それを避ける。
壁にあたり、ポトッと落下した。よく見ると壁が少し欠けていた。
「危なかった…。」
床に落ちた黒いそれは、柳田が身につけていたカーディガンのボタンだった。
「柳田、個聖を使ったんだね。」
「ちっ、うぜーなぁ、ヒョロヒョロと避けやがって、次は本気で行くぞぉ!!」
「ちょっと、柳田くん!…駒込くんをケガさせたら、私、あなたを許さないから」
上植さんが、僕を心配してくれた。
「ふっん、わーかってるってぇ!!こんなんじゃ、お前は死なねぇよなぁ!!!」
そういって、柳田は組手の構えをして、右からパンチを繰り出した。
「……っっ!!!!」
何が起きたか分からなかった。
あたり一面、真っ暗になって視界から柳田の姿が消え、僕は意識を失った。
「なぁぁ、こまごめぇ、そんな考え込んでどうした?あん?変な奴らにでも付きまとわれたかぁ?」
「うん、よく分かったね。お察しの通り、僕と上植さんがお昼を食堂の外で食べてる時に、視線というか、殺気を感じたんだ。」
「ほぉ、そんで?お前、個聖を使ったのか?」
「そうだよ。」
全く、相変わらず柳田は話の理解が早いな。
「だから柳田も、学内に居るときは、気をつけた方がいい。」
政府の監視官が僕らを疑って、狙ってくるかもしれないからな。
「ふん、俺はお前みたいなチンケじゃねぇよ、舐めんじゃねぇ。俺は、最強だ。」
そうだったな。柳田の個聖は、僕の『空間移動(テレポーション)』や上植さんの『再上映(リバイバル)』と違って戦闘向きだ。
「なぁこまごめぇ、俺と模擬戦闘の訓練しようや。あん?」
唐突になんだよ。あんまり乗る気じゃないんだけどな。まぁでも、今後のこともあるし、少しなら…。
「うん、まぁ、そうしたいなら、するか。」
柳田はそう来ると思ったぜ、という顔で笑った。
その時、ずっとスマホをいじっていた上植さんが、スマホを机の上に静かに置いてこっちを見た。
「ちょっと、柳田くん、駒込くん嫌がってるでしょ!そんな訓練しなくていいよ。駒込くんは十分強いもん!」
彼女は真剣な目で柳田に向かって言った。
「ちっ。まぁ少しだけだぁ、かみうえぇ、こいつも乗る気だし、いいだろうよぉ」
「駒込くん、無理しなくていいからね、、。」
そういって上植さんは、少し心配そうな顔をしていた。
「柳田、少しだけだよ。」
「あぁ、上等だ」
かくして、模擬戦闘訓練をすることになった。模擬訓練を行う場所は、部室の中にある20畳ほどの広々とした空き部屋だ。扉を開けて中に入る。
「じゃあ、始めようかぁ、こまごめぇ」
「うん、そうだね。」
「じゃあ、ふたりとも、準備はいい?」
そう言って、上植さんが声をあげた。
「ルールの確認だけど、相手の致命傷になることは避けること、それと相手が降参と言ったらその場で終了すること!あと、個聖の使用は許可します!」
「了解だぁ!!!」
「うん。」
「それでは、、、訓練開始!」
二人が訓練開始の祈りを捧げ始める。
『主なるひとつの神よ、我が命に加護を与えられん。』
その瞬間、柳田は上段の回し蹴りを入れた。顔狙いか。それと同時に、僕は『空間移動(テレポーション)』を使って、背後に移り、攻撃は空を蹴った。
「くそぉぉ!こまごめぇ、これならどうだぁ!!!くらいやがれぇ!」
ヒュッという音と共に黒い何かが顔めがけて飛んできた。僕は咄嗟に床に手をつき、受け身の体制をとり、それを避ける。
壁にあたり、ポトッと落下した。よく見ると壁が少し欠けていた。
「危なかった…。」
床に落ちた黒いそれは、柳田が身につけていたカーディガンのボタンだった。
「柳田、個聖を使ったんだね。」
「ちっ、うぜーなぁ、ヒョロヒョロと避けやがって、次は本気で行くぞぉ!!」
「ちょっと、柳田くん!…駒込くんをケガさせたら、私、あなたを許さないから」
上植さんが、僕を心配してくれた。
「ふっん、わーかってるってぇ!!こんなんじゃ、お前は死なねぇよなぁ!!!」
そういって、柳田は組手の構えをして、右からパンチを繰り出した。
「……っっ!!!!」
何が起きたか分からなかった。
あたり一面、真っ暗になって視界から柳田の姿が消え、僕は意識を失った。
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