そらに光る星~誇り高きぼっちの青春譚~

もやしのひげ根

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39.参戦!

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「セーンパイ!今日もおうちにお邪魔して——」
「ダメだ」
「......って、なんでですか~!」
「お前そんな遊んでばっかでテスト勉強はどうした」
「うっ......。だって1人じゃどうしてもやる気が......。センパイが教えてくれればやる気がでるんだけどなぁ」
「俺は関係ないだろ。1年から赤点取ってるようじゃこの先どうするんだ」
「だ、大丈夫です!勉強なんか出来なくても!センパイのお嫁さんという道が!」
「ねえよ。勉強もダメ、料理も掃除も出来ないんだろ?一方的に世話されるってそれじゃ結婚どころか、もうペットじゃねえか」
「ペット......。でもセンパイのペットなら悪くないかも......えへへぇ」

 やっべえ。こいつもう何言っても効果ないのかよ。ペットって癒されるもんだろ?世話だけしてストレス溜まるって誰も飼わないだろ。

「とにかく勉強は自分でなんとかしろ。次のテスト赤点取ったらお前とは2度と喋らんからな」
「うえええ!?それは横暴ですぅ!私はこれから何を糧に生きていけば......」
「じゃ、頑張れよ。後輩」
「え、ちょっ!元ってなんですか!絶対そんなの嫌ですぅぅぅぅ」

 1人で騒いでいる竹田を放置して先に教室に戻る。ホント、どこにも落ち着ける場所が無くなってしまった。どこで間違ったんだろうな。なんだか最近はトラブルもあってストレスが溜まりっぱなしだ。







 7月に入り、気温もぐんぐん上昇している。うだるような暑さにただ歩いているだけでも汗が流れ出てくる。
 平日だというのにウチで勉強会をやると言われ、買い物をしてから帰宅した俺の目に衝撃の光景が映った。

「......おかえり」
「ソラっちおかえり!」
「お邪魔してます」
「ま~す!」

 迎えたのは4の声。思わず買ってきたものを落としそうになってしまった。

「......おい、なんでお前までいるんだ?竹田ぁ」
「来ちゃった!」

 ダメだ。これ以上構っていたらストレスでハゲてしまいそうだ。落ち着け。落ち着くんだ、俺。俺の代わりに相手をしてくれると思えば......。

「ちゃんと勉強しろよ。あと飯は4人分しか材料無いからな」

 それだけ言って自室へ籠る。着替えてスマホを確認するも通知は無し。いつも通りだ。
 無心で宿題をこなしてスマホで小説を読む。少しでもストレスをどうにかしないと、テストの度に風邪を引いてしまうなんてことにもなりかねない。せっかくあと少しで夏休みなのにそれは勘弁願いたい。
 そう、テストさえ終われば夏休みが待っている。快適な環境で引きこもり放題なのだ。待ってろよ、俺の夏休み......!








 如月と三井はやはり優秀なようで、あかりと竹田は小テストの点も順調に上がっているらしい。俺の家以外で勉強会をしてくれれば言うことないんだがな。
 そしてようやく迎えた期末テスト。俺はいつもよりストレスを抱え込みながらも、あかりの勉強を見る必要がなくなったのでケアレスミスもほぼなく、前回よりマシな点数だった。

「やっと終わった~!」
「あかりちゃんも無事全教科平均以上取れたし良かったね!」
「みんなのおかげ。ありがとう」
「ちぃも赤点無かったです~!ホントにありがとうございましたっ!」
「......で、なんでテスト終わったのにウチに集合してんだ?」
「そんなの、テスト終わったらお疲れ様会やるに決まってんじゃーん!」

 そんなの聞いたことねえぞ。テストから解放されて嬉しいのはいいが、ここに集まる必要はないだろうに。


「あ、ねえそら君、今回は合計何点だった?」
「あ?......1128だ」

 期末テストは中間テストの主要教科に加えて、実技系の4教科が加わって合計12教科に及ぶ。
 各教科の難易度も上がっていくのでテスト返却の際は沈鬱な表情の者が多かった。
 まぁ俺は普段からやっているし自分の勉強に集中できたから平均94点といいほうだった。

「うわ、すっご......。私1057だぁ。やっぱりそら君って頭いいね!」

 いや如月もそれだけ取れてれば十分なんじゃね?他の奴の勉強見てるんだし。

「え!センパイってそんなに頭良かったんですか!?ずるいです!ちょっと私と脳みそ交換しましょうよ!」
「ホント、頭良くて家事も完璧。優良物件だよねぇ」
「......ソラくんはすごい」

 竹田はいつもながら発言がもう頭悪そうだよな。能天気なのは羨ましいが、こいつの思考回路にだけはなりたくない。後の人生が大変そうだ。
 ともあれ、難易度が上がっているのにあかりと竹田の成績もあがったことは良いことだと言える。これで俺が面倒を見ることも減るだろうしな。

 さあ、これで夏休みだ。引きこもりぼっちの本気を見せてやるぜ......!



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