そらに光る星~誇り高きぼっちの青春譚~

もやしのひげ根

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25.フラグ建築士

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 週が明ければ、授業ではテストが返却されて解説の時間だ。教室内はテスト前とは違ってざわついている。
 相手と点数を比較して喜ぶ者、落ち込む者、わざわざ赤点だったー!とアピールする者。いや、なんでそんなことアピールする必要があるんだ?理解ができない。
 日曜日に自己採点した結果、おそらくあかりは赤点はない。はずだ。......ないよな?俺はもちろん問題ない。いつもどおりの結果だろう。
 あかりはテストが返却されるたびにビクビクしていた。が、結局赤点は1教科も無かった。
 計8科目で、あかりは合計324点。化学に至っては32点とギリギリすぎるがまぁ今回は赤点さえ免れればいい。
 1番時間をかけてた数学が52点と半分も取れていたしな。とにかく分からなくても解答欄を埋め尽くせという戦法が上手くいったようだ。
 俺はというと合計745点。平均で93点。ケアレスミスが目立ったが今回ばかりは仕方ない。テスト中に目の前でそわそわされれば集中もできねえしな。
 ま、これで面倒事もなくて一安心だ。早く帰って寝よう。

「か、神谷君、テストどうだった......?」

 油断していると、突如隣からかかる声。え、なんでそんなウキウキした顔してんの?

「あ?別にフツーだよ」
「普通って何点だったの!?」
「..........合計で745だ」

 そんなん知ってどうすんだよ。

「わ!勝っちゃった!私ね、合計762点!」
「..........さよか」

 そういえばこいつ優等生だったんだっけ。ストーカーのイメージ強すぎて忘れてたわ。ま、至極どうでもいい情報だな。別に勝負してねえし。

「反応薄くない!?」
「はいはいすごいすごい。俺は体調がよろしくないんだ」
「え、大丈夫..........?」

 大丈夫じゃないから話しかけんなよ。前の席ではいつの間にか三つ編みがあかりと話している。次回からはこいつにあかりの面倒見てもらおう。普段から基礎を固めさせれば授業にもついていけるようになるはずだ。

「あかりん、赤点無くて良かったねー!これでお買い物デートだね!」

 げ、忘れてた。まぁいつするとは言ってないしな。そのうちだそのうち。

「わ、わたしもテスト勝ったから買い物一緒に行きたい!」
「そんな約束してねえ。第一、お前とはこないだ行っただろ......う、が......」

 あっと思ったときにはもう遅い。三つ編みが目を光らせてこちらをロックオンしていた。

「へ~?2人はそういう仲だったんだ~?これはあかりんも頑張らないとだね~?」

 おい、勘違いしてんじゃねえ。前のお前も黙って頷いてんなよ。

「わ、わたしたち、仲いいもんね!そそそそ、そら、くん!」
「ハァ......」

 おーい、呼んでるから相手してやれよ、そそそそそら君とやら。




 さーて、昼飯の時間だ、といつもの場所で食べようとするとドアがバーン!と勢いよく開いた。

「ふっふっふ。完!全!復!活!あなたのちいちゃんが帰ってきましたよー!」
「あっそ。そのまま帰れば?あと静かにしろよ。うるさい」

 なんかどこぞの戦隊ヒーローみたいなポーズ取ってるけどどうした?変身でもするのか?
 ともあれドアが壊れたらここが使えなくなるから物は大切に扱っていただきたい。

「ああ、久しぶりのこの感じ!やっぱりいいですね!」
「今日はやけにテンション高いのな」
「あったりまえじゃないですか!あの憎きテストが終わって、さらになんと!赤点が1つしかなかったのです!」
「いや、1つあったのかよ。自慢するようなことじゃねえからな?」
「ふふん。3つは覚悟していたのでいいんです!」

 目標低すぎだろ......。まだ1年生だってのにどうすんだよ。ま、他人のことなんてどうでもいいや。

「あ、そういえば。もうすぐ体育祭ですね!」
「あー、そういやそんなのあったなぁ」
「でも珍しいですね。6月にやるなんて」
「だよなぁ。なんでこれから梅雨って時にやるんだか」
「センパイは何の種目に出るんですか?」
「さあな。全員参加のやつと、あとはテキトーに余ったのだろ」
「むう。せっかく同じやつに出ようと思ったのに......。あ、じゃあ決まったら教えてくださいね!私の活躍する姿を1番近いところでお見せしちゃいますから!」
「はいはい、気が向いたらな」

 まぁ教えないんだけどな。

 それにしても体育祭か。めんどくせーんだよなぁ。
 団結とかどうでもいいし気温もだんだん上がっているから動くと汗かくし。大勢に見られながら運動して何が楽しいんだよ。ただの羞恥プレイだろ。


 あーあ、台風でも直撃して中止になればいいのに。

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