メンヘラ疫病神を捨てたら、お隣の女子大生女神様を拾った。

もやしのひげ根

文字の大きさ
上 下
30 / 42

30.パーティーといえば......

しおりを挟む


「第1回!餃子パーティー!ぱちぱち~!」

 そんな早乙女さんの宣言で開始された餃子パーティ。......いや何それ。
 土曜日の夕方に呼ばれて東雲家にお邪魔してみれば東雲さんと早乙女さんがいて、テーブルの上には餃子の皮と大きなボウルが3つ並んでいた。

「餃子パーティですか。いきなりですね」

 苦笑するしかない。それに、第1回ということは2回目とかもあるのだろうか。

「ホントはさ~、タコパが良かったんだけどたこ焼き器なんて持ってないからさ~。餃子ならホットプレートで焼きながら食べれるじゃん?」
「友梨と食材は買ってきたからあとは包んで焼くだけなの」
「さ、誰が早く綺麗に包めるか勝負だよ~!あたしこのエビ担当ね!」

 言うが早いか、エビの入ったボウルを抱える早乙女さん。たしかにエビなら簡単に包めそうだしな。

「じゃあ、私こっちのやるから西成さんはこのツナマヨお願いしていい?」
「了解」

 東雲さんのはおそらく普通の餃子のタネだろう。挽き肉や白菜のようなものも入っているのが確認できる。
 しかし餃子にツナマヨか。餃子を手作りするのも初めてだがこういった変わりダネも初めてだ。
 市販のものは大体が生姜とかカレーとか味が変わるだけで具材自体はそこまで変わりないものがほとんどだしな。

 やり方が分からないので隣の東雲さんが作るところを見させてもらう。
 スプーンで皮の上にタネを乗せて器用に包んでしまう。うん、分かってはいたけど器用だしすごいな。
 真似して包んでみるが具が多すぎて上手く包めなかった。欲張りすぎたか。量を減らしてリトライするも上手くいかない。

「端をつまんで、もう片方の手で折りたたんでいくんだよ」

 俺の失敗を見ていた東雲さんが今度はゆっくりと作りながら解説してくれる。なるほど。
 いくつか作っていると慣れてきて形も良くなっていく。

「出来たー!」

 そしてそれぞれの餃子が作り終わった。食べるだけじゃなくて、作ってみるのもなかなか楽しいな。
 というか東雲さんは言わずもがなだけど、デコレーションされた爪で普通に作ってるあたり早乙女さんも器用なのかな。

 さすがに一気に焼くと冷めてしまうので、まずは各味を3分の1ずつホットプレートに並べて焼いていく。
 焼く係は早乙女さんに任せて、俺と東雲さんはご飯や付け合せなどを運ぶ。
 数分もすればいい匂いが漂い、タイマーが鳴るや否や早乙女さんが蓋を開ける。



「「「いただきます」」」


 まずは1番手前にあるツナマヨだ。
 え、うま。ツナマヨというとおにぎりに入ってるイメージしかないから、温めたら美味しくないんじゃ?と疑っていたがとんでもない。
 これはついつい箸が進んでしまうな。

「西成さ~ん、ほらほらあたしが作ったエビも食べてみてよ~」

 早乙女さんが俺の取り皿に乗せてくる。いや、当然食べるつもりだけど順番にね?
 1口食べてみると……、

「……これはエビとチーズ?」
「そ!いい組み合わせっしょ!」
「へぇ、美味しいですね」

 プリっとしたエビとトロリとしたチーズが合わさって面白い。

「……西成さん、私も食べて?」

 顔をあげれば東雲さんが箸で餃子を摘んだまま俺に差し出していた。
 うん、日本語はちゃんと使おうね?『私のも』もしくは『私の餃子も』だよね。
 いや、違う意味に聞こえてしまうのは心が汚れている証拠だ。女神様よ、我が心を清めたまへ......。

 とりあえず受け取ろうとお皿を持つけど東雲さんは置こうとしない。……ん?

「落ちちゃうから早く食べて?」

 視界の端では早乙女さんがすっごいニヤニヤしてる。
 ......そういうことか。仕方ない、と覚悟を決めてそのまま口に入れる。

「……どう?」
「…………すごく、美味しい。大葉が入ってると食べやすいね」

 待ちきれないとばかりに聞いてくるので懸命に咀嚼して飲み込んでから答える。
 正直、味はあまり分からなかった。

「ふふ、良かった」

 顔を赤らめている東雲さん。恥ずかしいならあまりやらないでいただきたい。俺の顔も確実に赤くなっているだろう。
 唯一、早乙女さんだけは呆れたような顔をしていた。

「あ~、なんだかおなかいっぱいだな~。胸焼けしそうだわ」
「え、まだ全然食べてないのに困るよ!西成さんと二人じゃ食べきれないし……」
「はぁ、ブラックコーヒー買って来といて良かったわ」

 餃子にコーヒーって合うのだろうか。



 焼いては食べ焼いては食べを繰り返す。
 タネは定番の肉餃子、エビ、ツナマヨの3種類だが、大葉やチーズを入れるだけでまた違った食感や味わいになって面白い。
 更には焼く際に餃子の周りにチーズを置いておけば、チーズの羽根を生やした餃子が出来上がる。パリッパリッで美味しかった。
 こういった飽きないアレンジを思いつくのも東雲さんのすごいところである。



 いつもは料理が出来上がってからお邪魔してたけど、教えてもらいながら一緒に料理をするというのもいいかもしれない。
 今度、東雲さんの許可が下りたら早めにお邪魔して見学してみようかな。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

処理中です...