6 / 42
6.突撃!隣の——
しおりを挟む
「えっと、すみません。怖かった、ですよね......」
「え、ああ、はい。まあ」
「ケガとかしてませんか?」
「それは大丈夫です。ありがとうございます」
「本当にすみません。まさかこんな朝っぱらから押しかけてくるとは思ってなかったし、合い鍵のこともすっかり忘れてました」
「合い鍵......。いえ、西成さんのせいじゃないです。それにしても、本当にお話の通りの方でビックリしました」
「毎度気に入らないことがあるとあんな感じです。今日はやけにあっさりと引き下がったので逆に少し怖いですが」
「これ以上何も無いといいですけど......」
「と、とりあえず朝ですし、管理人さんに連絡してみましょうか!さすがにもう起きてるでしょうし」
時計を見ると9時過ぎといったところ。俺は自分のスマホを東雲さんに貸して管理人さんに電話してもらった。
電話はすぐに繋がったようで、事情を話すと30分くらいで来てくれるとのことだった。
電話を終えた東雲さんは、俺にスマホを返した後なにやらキョロキョロしていた。
「あれ?そういえば、私なんでベッドに......?」
そこはあまり気が付かないでほしかった。
「いや、ゲームしてたら寝ちゃったんで、起こすのもどうかと思って運んだんです」
これはもう正直に話すしかないだろう。別にやましいことはないしな。
「あ......すみません、わざわざありがとうございます」
「と、とりあえず管理人さんが来るまでに朝ごはんにしましょうか」
なんとなく気まずくなりかけた空気を変えようと提案する。朝食は昨日コンビニで買っておいたので問題はない。2日酔いの体にインスタントの味噌汁が沁みわたる。
一緒に食べてゆっくりしていると、すぐにインターホンが鳴る。2人で出ると、来たのは50代の気の良さそうなおじさんだった。改めて事情を話すとあっさりとマスターキーを使って開けてくれた。
東雲さんが、鍵を探したけど見つからなかったことを謝罪とともに伝えると、気にしなくていいと言われた。それどころか、不安なら有料になるが鍵を交換したほうがいいと助言してくれた。俺はてっきり鍵を紛失したら弁償とか言われると思っていたのに、そこは負担しなくていいのが意外だった。
管理人さんは鍵を開けたらこれまたあっさりと帰っていった。土曜日の朝っぱら申し訳ないとも思うが、対応も早くていい感じの管理人さんで良かったと思う。ホッとしたような東雲さんから頭を深く下げながら改めてお礼を言われて別れた。
俺は部屋に戻るとそのままベッドにダイブする。頭痛いし今日はベッドで惰眠を謳歌しよう。なんだかほんのり甘いようないい香りがする。そのおかげもあってか、ぐっすりと深い眠りに落ちた。
——ピンポーン。
なんだ?誰か来た?誰かさんのせいで寝てるときでも音にはわりと敏感になってしまっているのですぐに目が覚めた。このまま寝ていたい気もするが、気だるさの残る体を起こして玄関に向かう。
のぞき穴から見てみると、そこには今朝までこの部屋にいた隣人の姿が。ドアを開けると、外は暗くなっていた。そんなに寝ていたのか。
「あ、こんばんは。すみません、もしかして寝てましたか?」
「ええ、まあはい。絶賛爆睡中でした」
何も気にせずつい出てしまったけど、もしかして寝癖でもついているのだろうか。
「どうしましたか?なにか忘れ物でも?」
寝癖があったら恥ずかしいのでとっとと要件を済ましてしまおう。
「いえ、そういうわけではないんですけど......西成さんお夕飯どうするかなと思いまして」
「夕飯?あー、特に何も考えてないですけど」
今の今まで爆睡していたしな。言われてみれば朝食以来食べていないからお腹が空いてるような気もする。そもそも何もないから買い物行かなきゃ。
「あの、もしよければ、ご飯作ったのでご一緒にどうですか......?」
「え、わざわざ作ってくれたんですか?」
「昨日たくさんご迷惑おかけしちゃったので、なにか少しでもお礼がしたくて」
「いや、迷惑ってほどじゃないですよ。久しぶりに誰かと一緒にゲームできて楽しかったですし」
「そう言っていただけると嬉しいです。私も西成さんと一緒に過ごせて楽しかったです」
上目遣いで喋りながら微笑む東雲さん。なんだこれ。デートの帰り道か?
「そ、それで、私の部屋にご飯用意してあるので良ければ......」
え、ご飯って東雲さんの部屋なの!?ひと晩一緒に過ごしたとはいえ、そんな簡単に男を部屋にあげて大丈夫か?まあ、ご飯はあくまでもお礼だし、もう作ってあるというのならありがたく受け取るとしよう。
「分かりました。ありがたくいただきます。ちょっと着替えてきますね」
急いで部屋の中に戻って簡単に着替える。鏡で見てみるとやはり寝癖が飛び出している。そりゃあ寝てたってわかるわけだ。手ぐしで治る程度だが、それでも見られるというのは恥ずかしい。
戻ると玄関では東雲さんが待っていた。てっきり先に部屋に戻ったと思っていたが、律儀に待ってていてくれたようだ。
「すみません、おまたせしました」
「いえいえ、じゃあ行きましょうか」
いざ、突撃!隣のお夕飯!いや、なんか違うけど。
「え、ああ、はい。まあ」
「ケガとかしてませんか?」
「それは大丈夫です。ありがとうございます」
「本当にすみません。まさかこんな朝っぱらから押しかけてくるとは思ってなかったし、合い鍵のこともすっかり忘れてました」
「合い鍵......。いえ、西成さんのせいじゃないです。それにしても、本当にお話の通りの方でビックリしました」
「毎度気に入らないことがあるとあんな感じです。今日はやけにあっさりと引き下がったので逆に少し怖いですが」
「これ以上何も無いといいですけど......」
「と、とりあえず朝ですし、管理人さんに連絡してみましょうか!さすがにもう起きてるでしょうし」
時計を見ると9時過ぎといったところ。俺は自分のスマホを東雲さんに貸して管理人さんに電話してもらった。
電話はすぐに繋がったようで、事情を話すと30分くらいで来てくれるとのことだった。
電話を終えた東雲さんは、俺にスマホを返した後なにやらキョロキョロしていた。
「あれ?そういえば、私なんでベッドに......?」
そこはあまり気が付かないでほしかった。
「いや、ゲームしてたら寝ちゃったんで、起こすのもどうかと思って運んだんです」
これはもう正直に話すしかないだろう。別にやましいことはないしな。
「あ......すみません、わざわざありがとうございます」
「と、とりあえず管理人さんが来るまでに朝ごはんにしましょうか」
なんとなく気まずくなりかけた空気を変えようと提案する。朝食は昨日コンビニで買っておいたので問題はない。2日酔いの体にインスタントの味噌汁が沁みわたる。
一緒に食べてゆっくりしていると、すぐにインターホンが鳴る。2人で出ると、来たのは50代の気の良さそうなおじさんだった。改めて事情を話すとあっさりとマスターキーを使って開けてくれた。
東雲さんが、鍵を探したけど見つからなかったことを謝罪とともに伝えると、気にしなくていいと言われた。それどころか、不安なら有料になるが鍵を交換したほうがいいと助言してくれた。俺はてっきり鍵を紛失したら弁償とか言われると思っていたのに、そこは負担しなくていいのが意外だった。
管理人さんは鍵を開けたらこれまたあっさりと帰っていった。土曜日の朝っぱら申し訳ないとも思うが、対応も早くていい感じの管理人さんで良かったと思う。ホッとしたような東雲さんから頭を深く下げながら改めてお礼を言われて別れた。
俺は部屋に戻るとそのままベッドにダイブする。頭痛いし今日はベッドで惰眠を謳歌しよう。なんだかほんのり甘いようないい香りがする。そのおかげもあってか、ぐっすりと深い眠りに落ちた。
——ピンポーン。
なんだ?誰か来た?誰かさんのせいで寝てるときでも音にはわりと敏感になってしまっているのですぐに目が覚めた。このまま寝ていたい気もするが、気だるさの残る体を起こして玄関に向かう。
のぞき穴から見てみると、そこには今朝までこの部屋にいた隣人の姿が。ドアを開けると、外は暗くなっていた。そんなに寝ていたのか。
「あ、こんばんは。すみません、もしかして寝てましたか?」
「ええ、まあはい。絶賛爆睡中でした」
何も気にせずつい出てしまったけど、もしかして寝癖でもついているのだろうか。
「どうしましたか?なにか忘れ物でも?」
寝癖があったら恥ずかしいのでとっとと要件を済ましてしまおう。
「いえ、そういうわけではないんですけど......西成さんお夕飯どうするかなと思いまして」
「夕飯?あー、特に何も考えてないですけど」
今の今まで爆睡していたしな。言われてみれば朝食以来食べていないからお腹が空いてるような気もする。そもそも何もないから買い物行かなきゃ。
「あの、もしよければ、ご飯作ったのでご一緒にどうですか......?」
「え、わざわざ作ってくれたんですか?」
「昨日たくさんご迷惑おかけしちゃったので、なにか少しでもお礼がしたくて」
「いや、迷惑ってほどじゃないですよ。久しぶりに誰かと一緒にゲームできて楽しかったですし」
「そう言っていただけると嬉しいです。私も西成さんと一緒に過ごせて楽しかったです」
上目遣いで喋りながら微笑む東雲さん。なんだこれ。デートの帰り道か?
「そ、それで、私の部屋にご飯用意してあるので良ければ......」
え、ご飯って東雲さんの部屋なの!?ひと晩一緒に過ごしたとはいえ、そんな簡単に男を部屋にあげて大丈夫か?まあ、ご飯はあくまでもお礼だし、もう作ってあるというのならありがたく受け取るとしよう。
「分かりました。ありがたくいただきます。ちょっと着替えてきますね」
急いで部屋の中に戻って簡単に着替える。鏡で見てみるとやはり寝癖が飛び出している。そりゃあ寝てたってわかるわけだ。手ぐしで治る程度だが、それでも見られるというのは恥ずかしい。
戻ると玄関では東雲さんが待っていた。てっきり先に部屋に戻ったと思っていたが、律儀に待ってていてくれたようだ。
「すみません、おまたせしました」
「いえいえ、じゃあ行きましょうか」
いざ、突撃!隣のお夕飯!いや、なんか違うけど。
11
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる