庭師見習いは見た!お屋敷は今日も大変!

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庭師見習いは見た!お屋敷は今日も大変!

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「おーい!マイクとフレッド!この肥料を第3温室まで持って行っといてくれ!この台車使っていいぞ!」

「「はい!」」

僕とフレッドはこの冬の終わりから伯爵家の庭師見習いになった。
春の大繁忙期に向けて少しでも戦力になるように、先輩に仕込まれている。

僕はもともと居た施設でも一通りのことはやってきたし、長身で成人済みに間違えられるほど体格がしっかりしているから肥料の袋を運ぶくらいのことに台車なんていらないけど、問題はフレッドなんだよな。

何をしたのか知らないけど取り潰しになった子爵家の三男坊であるフレッドは、もう文官として働いていた長男や、騎士団に入団した次男のような知力、体力が共に無く、温室の場所もまだ覚えてないし肥料の袋も持てない。

サラサラの金髪に綺麗な新緑の瞳、色白で小柄でフラフラぽよぽよしているフレッドと初めて会った時は吹けば飛ぶような風情でものすごく心配したけれど、庭師の親方は厳しいけれど優しい人だった。

「無いもんはしょうがない。体力はこれから付けろ。覚えられないなら工夫しろ。絵や字は書けるんだろう?努力するなら置いてやる。嫌なら他を探せ」

庭師の朝は早いから朝練は無理だけど、夕方に少し早足で散歩しながらメモを取るフレッドの姿は真剣だった。
末っ子でおっとりしていて素直で、まだ年若いせいか元貴族らしい嫌らしさの無い頑張り屋のフレッドは周りの人たちに気に入られていた。

「肥料の姿を台車に乗せたいんだけどまだ1人で持てないから手伝ってもらえるかな?」

申し訳なさそうにキュッと眉を寄せて頼んできたフレッドに、僕は笑って応えた。

「いいよ。じゃあ、台車のストッパー掛けて」

「うん!それは覚えた!」



朝が早くて午前中忙しい分、お昼ご飯の後の休憩が長い。
ほとんどが昼寝をするが、逢い引きをするために抜けていく人もいる。
同じ屋敷のメイドだったり外の女の人だったりするみたいだけど、黙認で誰も何も言わない。
仕事に支障をきたしたらそんな訳にはいかないんだろうけどね。

なんて僕がのんきなことを言ってられたのも昨日まで。
厨房に持っていく野菜を洗っていた僕は、近付いてきた洗濯メイドの女の子に誘われてしまったんだ。

「ちょっとだけでいいから2人だけで話したいの。お昼ご飯の後に渡り廊下の裏で待ってるね」

「え?僕?僕に言ってる?」

長身でがっしりしていると言えば聞こえは良いが、黒目黒髪モサモサ頭の地味男だという自覚はある。
天使みたいなフレッドと一緒にいるせいか、死神みたいだとか言われてるこの僕に?

「うん。だって優しいし…それに……カッコいいよ?じゃ、じゃあ待ってるからね!」

や、優しい?カッコいい?なんかヘンな間があったけど?疑問形だったけど?目が泳いでた気がするけど?…ホントに?



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