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勇者様、お姉様たちが心配しています!
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「あれ?せいちゃんだけ?ゆうちゃん、また出掛けてるのね」
「れいちゃんのいた国に行くって言ってたわ。そういえば最近多いわね」
「この間は張り紙を見付けてきてくれて助かったけど…ゆうちゃん、家にいる時はずっと部屋に籠もりがちだし、何かあったのかしら」
「れいちゃんがそんなに気にするなんて珍しいわね。ゆうちゃんは今時の若者だからあんなものなんじゃないの?」
「それならいいんだけどね。わたくしもせいちゃんもそれなりに生きて経験も積んでからの転生で、更に年月を重ねて来ているけれど、ゆうちゃんって専門学校生だった時に突然召喚されたって言っていたし、魔王が復活して勇者を召喚したのって5年前ぐらいだったでしょ?とすると、まだ20代半ばか、いってて後半よね」
「そうなるわね」
「ゆうちゃん…この前も結婚からは逃げたいみたいなことを言っていたけれど、本心なのかなって思うのよ」
「ん?」
「わたくしはいいのよ。もう恋愛なんかより自由が欲しくて自分ファーストでいたいんだから。せいちゃんは好きに生きたいって言っていたけど恋愛は視野に入れてるの?」
「う~ん…ハッキリ言って面倒くさい。時間も取られるし、多少のメリットぐらいじゃ合わないわ。それなりに遊んできたけど、この世界の貞操観念の中でそんなこと、無理でしょ?」「無理でしょうね。ま、わたくしたちはそれでいいのよ。ゆうちゃんも本当にそう思っているんならそれでいいんだけど…実は恋してるけど言い出せないでいる、ってことはないのかしら?」
「恋?!」
「もしくは、既に恋人がいて今もその人に会いに行っているとか」
「ははあ、確かに言い出しにくいわね。3人でゆったりまったりこのままずるずる生きていきましょうね、って言ってるんだもんねえ」
「そこまで露骨には言ってないけどね」
「じゃあさ、さり気なく聞いてみる?」
「そうねぇ…」
「ただいま!あのね、お土産にローストビーフ買ってきたんだ!」
「ま、まああ、すごく大きなローストビーフねえ。サラダにするお野菜を畑から摘んでくるわねえ?」
「どうしたの?れいちゃん、何か違うもの食べるつもりで用意しちゃってた?ぎこちないよ?」
「下手ねえ、れいちゃん。ごまかそうとするからよ。正直が取り柄でしょうが。あのね、ゆうちゃんが最近お出掛けが多いのは何でかな?って話してたところだったのよ」
「はあ…慣れないことはするもんじゃないわね。それにしてもこんなに大きな塊だと高かったでしょう?お土産レベルじゃないわね。もしかしてプレゼントなの?宝石とかよりも肉だなんて、ゆうちゃんのことよく分かってるじゃないの」
「へ?誰が?自分で買ってきたんだよ?」
「れいちゃん、先走らないの!彼氏って決まった訳じゃないんだから」
「彼氏?誰に?」
「ゆうちゃん、大切な人がいるのなら教えて」
「れいちゃん?肉見てからおかしいよ?」
「だって、じゃあこんなにしょっちゅう何時間もどこに行っているの?」
「あ~…もういいかな、うん、いっか。あのね、小説書いたのを知り合いに預けたって言ってたでしょ?なんか…その…本になるんだ、よね。えへへ」
「「ええっ!すごいじゃない!」」
「うん、だからこの肉はホントはお祝い。食べながら、実はね、って話そうと思ってたんだ」
「あら、あら、あららら、そうだったのね。勘違いしちゃったわ」
「その打ち合わせとかで出掛けてたんだ。2人に言っちゃってから本になる話が流れたら嫌だなって思って内緒にしてたんだ」
「ってことは、預けた原稿はまだ戻ってこないから、読むのはもっと先になるってことか」
「せいちゃん、楽しみにしてくれてたんだ。ありがと。ゲラはすぐにもらえるみたいだからその時に一緒に読もうよ!」
「わたくしも読みたいわ!どんなお話?」
「まあ、とりあえず無難にこの世界で受けそうな恋愛もの」
「れ…!そ、そうなの…ねえ、ゆうちゃん。ゆうちゃんは恋愛がしたいな~とか思うことはあるの?」
「いくら取り柄だからって直球だね。私も気になるけど。どうなの?ゆうちゃん」
「恋愛か~。3次元ではいらないかな」
「「ん?」」
「ん?ま、先のことは分からないけど、今のところはね!で、もし恋愛するとしても、この世界での結婚は無いなあ」
れいちゃんとせいちゃん(私は別に心配してないよ!byせいちゃん)が心配するまでも無く、ゆうちゃんは自由に柔軟に楽しく生きているのでした。
れいちゃんは前世から足すともう70年以上生きているので、ちょっと老婆心(?)が出てしまったようです。
ちなみにせいちゃんは30代で過労死して、転生してから10数年は前世の記憶が無かったのでその間が相殺されていて、長く生きている実感がそんなには無いようです。
「れいちゃんのいた国に行くって言ってたわ。そういえば最近多いわね」
「この間は張り紙を見付けてきてくれて助かったけど…ゆうちゃん、家にいる時はずっと部屋に籠もりがちだし、何かあったのかしら」
「れいちゃんがそんなに気にするなんて珍しいわね。ゆうちゃんは今時の若者だからあんなものなんじゃないの?」
「それならいいんだけどね。わたくしもせいちゃんもそれなりに生きて経験も積んでからの転生で、更に年月を重ねて来ているけれど、ゆうちゃんって専門学校生だった時に突然召喚されたって言っていたし、魔王が復活して勇者を召喚したのって5年前ぐらいだったでしょ?とすると、まだ20代半ばか、いってて後半よね」
「そうなるわね」
「ゆうちゃん…この前も結婚からは逃げたいみたいなことを言っていたけれど、本心なのかなって思うのよ」
「ん?」
「わたくしはいいのよ。もう恋愛なんかより自由が欲しくて自分ファーストでいたいんだから。せいちゃんは好きに生きたいって言っていたけど恋愛は視野に入れてるの?」
「う~ん…ハッキリ言って面倒くさい。時間も取られるし、多少のメリットぐらいじゃ合わないわ。それなりに遊んできたけど、この世界の貞操観念の中でそんなこと、無理でしょ?」「無理でしょうね。ま、わたくしたちはそれでいいのよ。ゆうちゃんも本当にそう思っているんならそれでいいんだけど…実は恋してるけど言い出せないでいる、ってことはないのかしら?」
「恋?!」
「もしくは、既に恋人がいて今もその人に会いに行っているとか」
「ははあ、確かに言い出しにくいわね。3人でゆったりまったりこのままずるずる生きていきましょうね、って言ってるんだもんねえ」
「そこまで露骨には言ってないけどね」
「じゃあさ、さり気なく聞いてみる?」
「そうねぇ…」
「ただいま!あのね、お土産にローストビーフ買ってきたんだ!」
「ま、まああ、すごく大きなローストビーフねえ。サラダにするお野菜を畑から摘んでくるわねえ?」
「どうしたの?れいちゃん、何か違うもの食べるつもりで用意しちゃってた?ぎこちないよ?」
「下手ねえ、れいちゃん。ごまかそうとするからよ。正直が取り柄でしょうが。あのね、ゆうちゃんが最近お出掛けが多いのは何でかな?って話してたところだったのよ」
「はあ…慣れないことはするもんじゃないわね。それにしてもこんなに大きな塊だと高かったでしょう?お土産レベルじゃないわね。もしかしてプレゼントなの?宝石とかよりも肉だなんて、ゆうちゃんのことよく分かってるじゃないの」
「へ?誰が?自分で買ってきたんだよ?」
「れいちゃん、先走らないの!彼氏って決まった訳じゃないんだから」
「彼氏?誰に?」
「ゆうちゃん、大切な人がいるのなら教えて」
「れいちゃん?肉見てからおかしいよ?」
「だって、じゃあこんなにしょっちゅう何時間もどこに行っているの?」
「あ~…もういいかな、うん、いっか。あのね、小説書いたのを知り合いに預けたって言ってたでしょ?なんか…その…本になるんだ、よね。えへへ」
「「ええっ!すごいじゃない!」」
「うん、だからこの肉はホントはお祝い。食べながら、実はね、って話そうと思ってたんだ」
「あら、あら、あららら、そうだったのね。勘違いしちゃったわ」
「その打ち合わせとかで出掛けてたんだ。2人に言っちゃってから本になる話が流れたら嫌だなって思って内緒にしてたんだ」
「ってことは、預けた原稿はまだ戻ってこないから、読むのはもっと先になるってことか」
「せいちゃん、楽しみにしてくれてたんだ。ありがと。ゲラはすぐにもらえるみたいだからその時に一緒に読もうよ!」
「わたくしも読みたいわ!どんなお話?」
「まあ、とりあえず無難にこの世界で受けそうな恋愛もの」
「れ…!そ、そうなの…ねえ、ゆうちゃん。ゆうちゃんは恋愛がしたいな~とか思うことはあるの?」
「いくら取り柄だからって直球だね。私も気になるけど。どうなの?ゆうちゃん」
「恋愛か~。3次元ではいらないかな」
「「ん?」」
「ん?ま、先のことは分からないけど、今のところはね!で、もし恋愛するとしても、この世界での結婚は無いなあ」
れいちゃんとせいちゃん(私は別に心配してないよ!byせいちゃん)が心配するまでも無く、ゆうちゃんは自由に柔軟に楽しく生きているのでした。
れいちゃんは前世から足すともう70年以上生きているので、ちょっと老婆心(?)が出てしまったようです。
ちなみにせいちゃんは30代で過労死して、転生してから10数年は前世の記憶が無かったのでその間が相殺されていて、長く生きている実感がそんなには無いようです。
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