1 / 3
乙坂聡一編/0
しおりを挟む
その日、少年は滅多に見る事のない現場に立ち会った。
人が殺された。
真昼間の路地裏に幼い少年は友達と秘密基地を造ろうと町中から壊れたレンガや廃棄された空き缶などの廃資材を持ち込むことになっていた。
重い物軽い物とまちまちで見つけた為か軽い廃資材を重点的に集めた少年の前には誰かが横たわり、その誰かを抱きかかえるように両膝を折っている人影が在る。
「だれ? 」
少年は尋ねる。少年にとっては、誰かが襲われていることが問題なのではない。誰かがそこにいることが問題なのである。
秘密基地……。つまり、秘密裏に造られ関係者以外にはその存在自体が秘匿される領域でなければならない。
両膝を折っている影が少年の存在に気づくと動きがピタリと止まった。
急に立ち上がり出した時、もう一方の誰かの顔が明瞭になる。
少年の友達に似ている。
ゴロンと顔が少年の方に傾くと、 まるで作り物のように……骨だけの顔と赤く染みた皮膚の顔が歪に共存していた。
「ヒッ⁉︎ 」
その惨状を見て、初めて少年の顔に恐怖が宿る。
少年は咄嗟に声を上げる。幸いに、ここからなら表の道路までそれほど距離は無く、大声であれば届くだろう。
しかし、
「だっ‼︎ 」
だれか助けて……。少年の願いは音として発することすらままならずに潰えた。
人が殺された。
真昼間の路地裏に幼い少年は友達と秘密基地を造ろうと町中から壊れたレンガや廃棄された空き缶などの廃資材を持ち込むことになっていた。
重い物軽い物とまちまちで見つけた為か軽い廃資材を重点的に集めた少年の前には誰かが横たわり、その誰かを抱きかかえるように両膝を折っている人影が在る。
「だれ? 」
少年は尋ねる。少年にとっては、誰かが襲われていることが問題なのではない。誰かがそこにいることが問題なのである。
秘密基地……。つまり、秘密裏に造られ関係者以外にはその存在自体が秘匿される領域でなければならない。
両膝を折っている影が少年の存在に気づくと動きがピタリと止まった。
急に立ち上がり出した時、もう一方の誰かの顔が明瞭になる。
少年の友達に似ている。
ゴロンと顔が少年の方に傾くと、 まるで作り物のように……骨だけの顔と赤く染みた皮膚の顔が歪に共存していた。
「ヒッ⁉︎ 」
その惨状を見て、初めて少年の顔に恐怖が宿る。
少年は咄嗟に声を上げる。幸いに、ここからなら表の道路までそれほど距離は無く、大声であれば届くだろう。
しかし、
「だっ‼︎ 」
だれか助けて……。少年の願いは音として発することすらままならずに潰えた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
七つの不思議のその先に願い事1つ叶えましょう
桜月 翠恋
ホラー
オカルトサークルという名目で今日も怖い話の好きな仲のいい8人が集まり今日も楽しくお話をする
『ねぇねぇ、七不思議、挑戦してみない?』
誰が言ったのか、そんな一言。
この学校の七不思議は他と少し違っていて…
8人が遊び半分に挑戦したのは…
死が待ち受けているゲームだった……
11:11:11 世界の真ん中で……
白い黒猫
ホラー
それは何でもない日常の延長の筈だった。
いつものように朝起きて、いつものように会社にいって、何事もなく一日を終え明日を迎える筈が……。
七月十一日という日に閉じ込められた二人の男と一人の女。
サトウヒロシはこの事態の打開を図り足掻くが、世界はどんどん嫌な方向へと狂っていく。サトウヒロシはこの異常な状況から無事抜け出せるのか?
だから、私は愛した。
惰眠
ホラー
一生に一度の本気の愛情を注ぐ。愛するから愛されるわけではないことはわかっている。それでも愛するのって素敵でしょ?すべてを捨てでもいいと思えるほど私にとって貴方は魅力的だってこと、少しはわかって。彼女は精一杯の思いを込めて、愛を捧げた。彼女は一途だった。
貴方も私の心の中を覗きたいみたいね。
もっと狂ってしまえばいいのに。
村の籤屋さん
呉万層
ホラー
小笠原諸島に属するある島に、子宇女村はある。
子宇女村は小さく、特徴のない田舎の村のようでいて、その実大きな特徴があった。
籤屋が出没するのだ。
ただの籤屋ではない。賭けたモノに応じて、様々な利を得ることができる籤を轢かせる、不可思議な存在だ。
籤屋は禁忌とされており、村で引く者は少なかった。
村役場に努める青年・伊藤健太郎は、村における数少な例外だった。
賭ける物は、僅か百円だったが、健太郎が毎日くじを引くことで、島は大きな変化にさらされるのだった。
あるある
ちょこぼーらー
ホラー
よくある怪談話。
あなたはこれ、聞いたこと、ある?
小説家になろうでも掲載。
前後と蛇足っぽいタイトル回収の全3話。
ホラー大賞に参加します。
よろしければぽちっと1票お願いします!
前中後+αになりました。
一話完結で書き始めたはずなのに……。
あるある!
5分で読めるブラックユーモア
夜寝乃もぬけ
ホラー
ようこそ喫茶『BLACK』へ
当店は苦さ、ユニークさ、後味の悪さを焙煎した
【5分で読めるブラックユーモア】しか置いておりません。
ブラックな世界へとドリップできる極上の一品です。
※シュガー好きな方はお口に合いませんので、どうぞお帰り下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる