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第67話 ねえさまのために出来ること ~マリーサイド~
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ねえさまと魔物を倒しに行ってから3日ほどたちました。
しかし一向にねえさまは封印された剣から出てきませんわ。
本当に心配です。
毎日剣に寄りそっていますが、反応もありませんわ。
マリーでは剣に入ったねえさまとやり取りは出来ないですから、余計にもどかしいです。
アグリ……じゃなかったあいつも日々コンタクトを取ろうとしているようですが……
微弱な反応はあるようですが、はっきりとしたことは言ってくれないらしいですわ。
「ゾルダもこんなことでくたばるタマじゃないだろ?
大丈夫だって」
とあいつは言うのですが、やっぱり心配だわ。
そう思って寄り添ってはいるのですが、マリーに出来ることはなく本当にもどかしいですわ。
「マリー、そこでずっと寄り添っていても仕方ないし、魔物でも討伐しにいかないか?」
「はっ?
なんでこんな時に魔物を倒さないといけないのですの?
何を考えているの?」
あいつはねえさまが大変な時に何を言うかと思ったら……
そういう思考になるのはよくわかりませんわ。
「いや……だってゾルダを止められなかったのは俺だし。
俺が強くなれば、多少は話を聞いてくれるかもしれないと思って。
それに、剣の中にいるんだし、俺が剣を使って戦えば一緒に戦っていることになるはず。
戦闘していればうずうずして出てくるんじゃないかな?」
しっかり聞いてもあまり論理的ではないですわ。
でもあいつはあいつなりに考えての行動なのかもしれませんわ。
「わかりましたわ……
マリーにはまだ言っていることはよくわかりませんが、ついて行きますわ。
あなたに死なれたら、ねえさまに怒られてしまいますからね」
「じゃ、行こうか。
ゾルダも一緒にな」
と言って、ねえさまが入っている剣を持ち、魔物たちの討伐に向かっていきました。
道中、急にマリーが復活する前までの話を少しだけあいつがし始めました。
「最初のころは、ゾルダもすぐ魔力切れというかなんというか……
力は圧倒的なんだけど、長続きしなかったんだ。
たぶん封印の影響かなんかだろうね」
あいつは懐かしそうな顔をして話を続けました。
「でも長く一緒にいたからなのか、持ち主の俺が強くなってきたからなのかわからないけど……
そういうこともなくなってきてさ。
戦うのが楽しいのか、どんどん魔物を倒すようになってきて」
ねえさまは以前から強い相手がいればいるほど笑いが止まらずにさらに力も発揮する方ですから。
たぶん封印が解かれて戦えるようになったのは嬉しいのだと思いますわ。
「その話と今回の行動と何が関係あるの?」
「これはマリーにも言えることなんだけど……
封印の仕組みはよくわからないけど、俺と関わることで封印の効果が薄れているのは確かだと思う。
それが絆なのか俺のレベルなのか……
とにかく、今自分が出来ることをやっていこうってことかな」
人族と言うのはいろいろと考えますわね。
マリーというか魔族はやりたいことをやるのモットーですから。
深く考える魔族もいますが、だいたい短絡的というか直感で動きますわ。
本能の赴くままに。
「マリーはねえさまが心配なだけです。
だから近くにいるだけです。
それに何の効果がなくてもやりたいからやっているだけですわ」
「それもいいとは思うけど……
俺も心配してないわけじゃないけど、心配してもゾルダが良くなるわけじゃないし。
次にゾルダが出てきたときに、もっとゾルダが存分に動けるようにしたい。
今、俺として出来ることは強くなることだと思った。
だから、魔物を倒しまくって強くなるしかないと思ったんだ」
そういうことなのですね。
封印のカギがあいつにあることは確かだと思いますわ。
ただ仕組みはわからない。
分からないなりに考えた結果ということなのかもしれませんわ。
「わかりましたわ……
あなたがねえさまを心配していることは本当だと思いますので……
お手伝いさせていただきますわ」
「マリー、ありがとう」
あいつは屈託のない笑顔でお礼を言ってきました。
「あんたのためじゃないんだから。
ねえさまと私のためにあなたを鍛えるってことなんだから。
勘違いしないでくださる」
「はいはい。
わかっているよ」
「わかっていればいいですわ。
さあ、早く行って魔物をさっさと倒していきましょう」
そしてマリーとあいつはギルドからもらった情報をもとに様々な魔物たちを狩っていきました。
あいつのことを時折サポートしながら、分担したり、時には一緒に倒したりしました。
かなりの数を倒したと思います。
あっという間に夕方になりました。
「ふぅ……
今日はこれぐらいで終わりにしようか」
あいつもそれなりにレベルアップしたみたいです。
これでねえさまが復活して来れば、今回のようにはならないのではないかと思いますわ。
ただレベルアップすることが封印のカギであればの話ですが……
「それにしても、あなたはこれが無駄になることがあるかもとは思わないの?
だって、レベルアップが封印のカギって決まったわけではないのに……」
「そうだね。
でも俺が強くなるのはゾルダもマリーもより助けられるってことだからいいんじゃないかな」
あいつはやれることをやっているだけなのかもしれませんが……
なんだか回りくどいし面倒なことしているように感じますわ。
でもそれがあいつなのかもしれません。
「ところで、戦っている間のねえさまの反応はどうでしたか?」
「うーん。
なんか戦い方が気に食わないのか、言葉にならないような反応はちょくちょくあったかな」
「ねえさまはあなたの戦い方がじれったんでしょうね」
「そうかもな。
ゾルダほど圧倒的な力がある訳じゃないし、そう思われてもしかたないよ」
あいつは苦笑いしながらそう答えていましたわ。
もっとねえさまのためにしっかりしてもらわないといけないのに。
呑気な方ですわ。
しかし一向にねえさまは封印された剣から出てきませんわ。
本当に心配です。
毎日剣に寄りそっていますが、反応もありませんわ。
マリーでは剣に入ったねえさまとやり取りは出来ないですから、余計にもどかしいです。
アグリ……じゃなかったあいつも日々コンタクトを取ろうとしているようですが……
微弱な反応はあるようですが、はっきりとしたことは言ってくれないらしいですわ。
「ゾルダもこんなことでくたばるタマじゃないだろ?
大丈夫だって」
とあいつは言うのですが、やっぱり心配だわ。
そう思って寄り添ってはいるのですが、マリーに出来ることはなく本当にもどかしいですわ。
「マリー、そこでずっと寄り添っていても仕方ないし、魔物でも討伐しにいかないか?」
「はっ?
なんでこんな時に魔物を倒さないといけないのですの?
何を考えているの?」
あいつはねえさまが大変な時に何を言うかと思ったら……
そういう思考になるのはよくわかりませんわ。
「いや……だってゾルダを止められなかったのは俺だし。
俺が強くなれば、多少は話を聞いてくれるかもしれないと思って。
それに、剣の中にいるんだし、俺が剣を使って戦えば一緒に戦っていることになるはず。
戦闘していればうずうずして出てくるんじゃないかな?」
しっかり聞いてもあまり論理的ではないですわ。
でもあいつはあいつなりに考えての行動なのかもしれませんわ。
「わかりましたわ……
マリーにはまだ言っていることはよくわかりませんが、ついて行きますわ。
あなたに死なれたら、ねえさまに怒られてしまいますからね」
「じゃ、行こうか。
ゾルダも一緒にな」
と言って、ねえさまが入っている剣を持ち、魔物たちの討伐に向かっていきました。
道中、急にマリーが復活する前までの話を少しだけあいつがし始めました。
「最初のころは、ゾルダもすぐ魔力切れというかなんというか……
力は圧倒的なんだけど、長続きしなかったんだ。
たぶん封印の影響かなんかだろうね」
あいつは懐かしそうな顔をして話を続けました。
「でも長く一緒にいたからなのか、持ち主の俺が強くなってきたからなのかわからないけど……
そういうこともなくなってきてさ。
戦うのが楽しいのか、どんどん魔物を倒すようになってきて」
ねえさまは以前から強い相手がいればいるほど笑いが止まらずにさらに力も発揮する方ですから。
たぶん封印が解かれて戦えるようになったのは嬉しいのだと思いますわ。
「その話と今回の行動と何が関係あるの?」
「これはマリーにも言えることなんだけど……
封印の仕組みはよくわからないけど、俺と関わることで封印の効果が薄れているのは確かだと思う。
それが絆なのか俺のレベルなのか……
とにかく、今自分が出来ることをやっていこうってことかな」
人族と言うのはいろいろと考えますわね。
マリーというか魔族はやりたいことをやるのモットーですから。
深く考える魔族もいますが、だいたい短絡的というか直感で動きますわ。
本能の赴くままに。
「マリーはねえさまが心配なだけです。
だから近くにいるだけです。
それに何の効果がなくてもやりたいからやっているだけですわ」
「それもいいとは思うけど……
俺も心配してないわけじゃないけど、心配してもゾルダが良くなるわけじゃないし。
次にゾルダが出てきたときに、もっとゾルダが存分に動けるようにしたい。
今、俺として出来ることは強くなることだと思った。
だから、魔物を倒しまくって強くなるしかないと思ったんだ」
そういうことなのですね。
封印のカギがあいつにあることは確かだと思いますわ。
ただ仕組みはわからない。
分からないなりに考えた結果ということなのかもしれませんわ。
「わかりましたわ……
あなたがねえさまを心配していることは本当だと思いますので……
お手伝いさせていただきますわ」
「マリー、ありがとう」
あいつは屈託のない笑顔でお礼を言ってきました。
「あんたのためじゃないんだから。
ねえさまと私のためにあなたを鍛えるってことなんだから。
勘違いしないでくださる」
「はいはい。
わかっているよ」
「わかっていればいいですわ。
さあ、早く行って魔物をさっさと倒していきましょう」
そしてマリーとあいつはギルドからもらった情報をもとに様々な魔物たちを狩っていきました。
あいつのことを時折サポートしながら、分担したり、時には一緒に倒したりしました。
かなりの数を倒したと思います。
あっという間に夕方になりました。
「ふぅ……
今日はこれぐらいで終わりにしようか」
あいつもそれなりにレベルアップしたみたいです。
これでねえさまが復活して来れば、今回のようにはならないのではないかと思いますわ。
ただレベルアップすることが封印のカギであればの話ですが……
「それにしても、あなたはこれが無駄になることがあるかもとは思わないの?
だって、レベルアップが封印のカギって決まったわけではないのに……」
「そうだね。
でも俺が強くなるのはゾルダもマリーもより助けられるってことだからいいんじゃないかな」
あいつはやれることをやっているだけなのかもしれませんが……
なんだか回りくどいし面倒なことしているように感じますわ。
でもそれがあいつなのかもしれません。
「ところで、戦っている間のねえさまの反応はどうでしたか?」
「うーん。
なんか戦い方が気に食わないのか、言葉にならないような反応はちょくちょくあったかな」
「ねえさまはあなたの戦い方がじれったんでしょうね」
「そうかもな。
ゾルダほど圧倒的な力がある訳じゃないし、そう思われてもしかたないよ」
あいつは苦笑いしながらそう答えていましたわ。
もっとねえさまのためにしっかりしてもらわないといけないのに。
呑気な方ですわ。
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