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アナタが居なければ
第三話
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フェーゲラインから面白い話を聞きました。今現在でも北方大陸付近では、極めて微量の魔力が残っているそうです。しかしそれは術が発動出来る魔力の一割にも満たないものらしいのです。
そしてその魔力を調査するために、帝国は北方大陸へと兵を動かしましたが、結果は知っての通り。それ以来北方大陸には近付くことすらしていないそうですが、もしかすると術が発動出来るかもしれません。
推測の域を出ませんが、神が絡んでいるのかもしれません。フェーゲライン曰く、何処かに濃い魔力が溜まっており、そこから漏れているのかもしれない、という事を言っていました。
まぁ、それよりも今はバルトロマイの方が先決ですね。
北方大陸へと向かう為、ティーゲルの戦車に乗って移動して居るのですが、どうにも空気が悪いですね。まぁ、それは私がこの世界の私ではなく、この世界の私が消えたと言われると、こうなってしまうのも仕方ないことなのかもしれません。
「あんたら喧嘩でもしたのか?」
「まぁ、そんな感じ、ですかね」
その空気を見かねたティーゲルはやれやれ、と言った感じでこちらを見つつ、そう聞いてきました。
異世界から私は来ました、なんて事を言えるはずも無く、はぐらかしましたがバルトロマイはボーッと遠い目をしていました。声をかけようとしましたがそれも出来ず、戦車の上には再び気まずい雰囲気が流れ始めました。
──アシュタドラ、波止場──
「ティーゲル大佐、物資の積み込み作業及び人員の配置が完了致しました。命令があればいつでも出航可能です」
帝国海軍の軍艦は見慣れたものと思いましたが、これは凄いですね。戦艦ユスティーツ、とある鍛冶屋が作り上げた世界最強の軍艦、全長はおよそ二百五十メートルもあるそうです。こんなものが向こうの世界で作られでもしたら、太刀打ち出来ませんよ。
「しっかし、帝国もよくこれを使うのを許可してくれたな」
「そんなに貴重なものなのですか?」
「そりゃおめぇ、莫大な資金や人員をかけ続けた代物だからなぁ、いわば帝国の象徴的存在だな」
それを使わせるという事は、この北方大陸への再出兵は帝国の威信がかかっていると見てもいいのでしょう。それほどにこの任務は重要視されているということですね。
それにしてもティーゲルはキョロキョロと、誰かを探すかのように辺りを見回していました。誰を探しているのですかね、と見ていると帝国軍の馬車が目の前に立ち止まりました。
中から現れたのはフェーゲラインとレオンハルトの二人でした。
「待たせてしまったか。ユスティーツの使用許可に少々手間取ってしまってな……此度の北方大陸出兵、私も同行する事となった。レオンハルト少将もな」
「……アンタが無理矢理連れてこさせたんでしょう」
やれやれ、と言った感じでレオンハルトはユスティーツに乗り込み、フェーゲラインは一つの紙を私に手渡してきました。
中に書かれていたのは件の術に関しての事でした。これは? と聞くと、どうやら保険だそうです。
「もし術の発動が可能であれば、私が発動する予定だが……物事はそう上手くいかんものだ。あそこでは何が起こるかわからん、その為の保険だ」
一理ありますね、と私はその紙を握り締めて船に乗り込みました。北方大陸には二日ほどで辿り着くらしいです。その間に、これを全て覚えるとしましょうか。
私達も船に乗り込むと、すぐに舫いが解かれユスティーツは北方大陸へ向けて進み始めたのです。
ユスティーツが進み始めてから数時間後、私は艦内の一室のベッドの上で、先程渡された紙に集中していました。
「……なぁ、マリア……さっきは、その、なんだすまねぇ」
「急にどうしたんですか? そんなしおらしい貴方は見た事がありませんが?」
「……俺が素直に謝ってるつうのにてめぇは相変わらず可愛くねぇな、二十八歳にもなってまだ高飛車お嬢様か」
「いえいえ、五十代手前の方に、ケツの青い子供のような謝り方をされてもなんとも思いませんよ、誠意を見せなさい誠意を」
このガキャァ、と眉をピクピクと動かすバルトロマイは、すぐに久々の一連の流れに腹を抱えて大きく笑いました。
「はっはっはっ! どの世界のマリアでも、マリアである事には変わりねぇんだな」
「当たり前です、どの世界の貴方でも私は愛していたでしょう」
すまねぇな、と後ろから私を抱き締める彼の腕はとても温かいものでした。
「んん……邪魔したか?」
私達が口を混じり合わそうとしたその時、開いた扉にもたれかかり、咳払いをするティーゲルの姿がありました。
「夫婦の目合いに水を差すたぁ不粋な虎野郎だな」
「俺ぁ「入るぞ」とちゃんと確認したんだがなぁ? まぁいい、ちょいと問題が発生しちまってな」
そう言うとティーゲルは私達を甲板へと連れていきました。そこには真っ黒な世界が広がっていました。
夜になったわけでもなく、天気が荒れたわけでもありませんでした。本当に真っ暗なのです、ユスティーツが放つ光以外何も見えません。
「……真っ暗ってだけで他は何も問題はねぇんだ、進路もちゃんと北方大陸に向かっているし、誰か不具合が出たわけでもねぇ……」
しかし、この光景は異常過ぎる、ですか。確かにその通りですね。正常ではありませんよね。
私はこの黒い世界をじっと見つめていると、これは世界が黒いのでは無くて、黒い霧のようなモノであると、その霧の中をユスティーツは進んでいると気付きました。
──黒い霧、確かアイリスが以前出現させていたような──
「っ!? ティーゲル! 皆さんを艦内へと避難させてください!! 早く!!」
これは、この霧は精神を病ませる霧です。ティーゲルは私の言う通り素早く部下達を艦内へと避難させましたが、少しだけ遅かったようです。
逃げ遅れ、黒い霧に蝕まれた数人の兵が甲板で、まるで赤子のように泣き叫び始めたのです。少しの間泣き叫び、次に艦内へと続くドアに頭を何度も何度も打ち付けており、その光景は頭がかち割れ、中身が飛び散り、兵が絶命するまでの間続きました。
「おいおい……なんだよ……どうなってやがんだ……」
「この霧が晴れるまで一切甲板には出ない方がいいでしょう」
しかし、一体、誰がこれを? なんのために? まるで北方大陸へと近付かせまいと、見えない何者かの大きな力が動いているようでした。いえ、考えるまでもありませんでした、神の仕業でしょう。
「とりあえずレオとフェーゲライン中将閣下に報告しなきゃならねぇ、対応はそれからだ」
──黒い霧発生から五時間経過──
「ケホッ……ゲホッ……」
「おいマリア、大丈夫か?」
何でしょうか、少しずつですが体調が悪くなっていくのが分かります。黒い霧のせいでしょうか。
意識が軽く朦朧とし体も重く、咳も多くなっていき、熱もあるようです。
「……私は大丈夫ですよ、バルトロマイは変わりはないですか」
「無事だ、ちょっと寝とけや。着いたら起こしてやるからよ」
彼は紙を読む私から紙を取り上げて、ベッドへ寝転ばせて眠るように言ってきました。私はしかし、と言いましたが彼は取り合ってくれません。
「良いから寝とけ、俺は水でも貰ってくるわ」
そう、ですね、と返事をする気力も無い私は、バルトロマイが部屋から出るのを見ながら、自然と深い深い眠りに落ちていきそうになりました。
ですが、どうやらそう簡単に眠らせてはくれないようですね。喉に何かつっかえる感覚を覚えて、起き上がりながら思い切り咳き込むと、口から赤黒い血の塊が吐き出されました。なんですか、これは。
「っ……胸が……締め付けられるようです……なんだと言うんですか……これはっ」
水を貰って戻ってきたバルトロマイが、この状態の私を見て、医者でもあるフェーゲラインの元へと急いで連れて行ってくれました。
原因はこの彫られた魔術式、幼い頃から体に負荷を与え続けた為に、既に体が限界を迎えていたそうです。それでも魔法が使えなくなった十年間、進行は遅くなっていたようです。
「……ふむ、負荷を与え続けていたのならば、十年も、いや、五年も生きられなかっただろう」
「……あとどれぐらい持ちますか?」
ふむ、とバルトロマイの顔を見るフェーゲラインは静かに頷き、私の余命を淡々と述べました。
「……私の見立てでは、良くて数ヶ月、悪くて明日にでも」
なるほど、この体は既にそこまで壊れていましたか。とは言うものの、意外と私自身驚いてはいません。なぜなら、それを承知で幼い私はこの力を選んだのですから。後悔なんてしていません。短命になることは覚悟していましたから。
「……死とは平等に訪れるものですから、それが早いか遅いか、穏やかか、苦しむかの些細な違いです」
私はお礼をして、フェーゲラインの部屋を後にしました。だいぶ落ち着き、今は一人でも歩けますがバルトロマイは私の横を、心配そうにしながら歩いていました。
「楽に死ねそうにありませんね」
「ったく……人の気も知らねぇで」
部屋に着いた私はバルトロマイをベッドの上に押し倒しました。すいません、この世界の私。
「……私は貴方の知っている私ではありませんが、私はどの世界の貴方でも愛すると言いました」
「最期の思い出なんて言ってくれるなよ、また可愛がってやるからよ」
私とバルトロマイはシーツの中へと潜っていきました。
そしてその魔力を調査するために、帝国は北方大陸へと兵を動かしましたが、結果は知っての通り。それ以来北方大陸には近付くことすらしていないそうですが、もしかすると術が発動出来るかもしれません。
推測の域を出ませんが、神が絡んでいるのかもしれません。フェーゲライン曰く、何処かに濃い魔力が溜まっており、そこから漏れているのかもしれない、という事を言っていました。
まぁ、それよりも今はバルトロマイの方が先決ですね。
北方大陸へと向かう為、ティーゲルの戦車に乗って移動して居るのですが、どうにも空気が悪いですね。まぁ、それは私がこの世界の私ではなく、この世界の私が消えたと言われると、こうなってしまうのも仕方ないことなのかもしれません。
「あんたら喧嘩でもしたのか?」
「まぁ、そんな感じ、ですかね」
その空気を見かねたティーゲルはやれやれ、と言った感じでこちらを見つつ、そう聞いてきました。
異世界から私は来ました、なんて事を言えるはずも無く、はぐらかしましたがバルトロマイはボーッと遠い目をしていました。声をかけようとしましたがそれも出来ず、戦車の上には再び気まずい雰囲気が流れ始めました。
──アシュタドラ、波止場──
「ティーゲル大佐、物資の積み込み作業及び人員の配置が完了致しました。命令があればいつでも出航可能です」
帝国海軍の軍艦は見慣れたものと思いましたが、これは凄いですね。戦艦ユスティーツ、とある鍛冶屋が作り上げた世界最強の軍艦、全長はおよそ二百五十メートルもあるそうです。こんなものが向こうの世界で作られでもしたら、太刀打ち出来ませんよ。
「しっかし、帝国もよくこれを使うのを許可してくれたな」
「そんなに貴重なものなのですか?」
「そりゃおめぇ、莫大な資金や人員をかけ続けた代物だからなぁ、いわば帝国の象徴的存在だな」
それを使わせるという事は、この北方大陸への再出兵は帝国の威信がかかっていると見てもいいのでしょう。それほどにこの任務は重要視されているということですね。
それにしてもティーゲルはキョロキョロと、誰かを探すかのように辺りを見回していました。誰を探しているのですかね、と見ていると帝国軍の馬車が目の前に立ち止まりました。
中から現れたのはフェーゲラインとレオンハルトの二人でした。
「待たせてしまったか。ユスティーツの使用許可に少々手間取ってしまってな……此度の北方大陸出兵、私も同行する事となった。レオンハルト少将もな」
「……アンタが無理矢理連れてこさせたんでしょう」
やれやれ、と言った感じでレオンハルトはユスティーツに乗り込み、フェーゲラインは一つの紙を私に手渡してきました。
中に書かれていたのは件の術に関しての事でした。これは? と聞くと、どうやら保険だそうです。
「もし術の発動が可能であれば、私が発動する予定だが……物事はそう上手くいかんものだ。あそこでは何が起こるかわからん、その為の保険だ」
一理ありますね、と私はその紙を握り締めて船に乗り込みました。北方大陸には二日ほどで辿り着くらしいです。その間に、これを全て覚えるとしましょうか。
私達も船に乗り込むと、すぐに舫いが解かれユスティーツは北方大陸へ向けて進み始めたのです。
ユスティーツが進み始めてから数時間後、私は艦内の一室のベッドの上で、先程渡された紙に集中していました。
「……なぁ、マリア……さっきは、その、なんだすまねぇ」
「急にどうしたんですか? そんなしおらしい貴方は見た事がありませんが?」
「……俺が素直に謝ってるつうのにてめぇは相変わらず可愛くねぇな、二十八歳にもなってまだ高飛車お嬢様か」
「いえいえ、五十代手前の方に、ケツの青い子供のような謝り方をされてもなんとも思いませんよ、誠意を見せなさい誠意を」
このガキャァ、と眉をピクピクと動かすバルトロマイは、すぐに久々の一連の流れに腹を抱えて大きく笑いました。
「はっはっはっ! どの世界のマリアでも、マリアである事には変わりねぇんだな」
「当たり前です、どの世界の貴方でも私は愛していたでしょう」
すまねぇな、と後ろから私を抱き締める彼の腕はとても温かいものでした。
「んん……邪魔したか?」
私達が口を混じり合わそうとしたその時、開いた扉にもたれかかり、咳払いをするティーゲルの姿がありました。
「夫婦の目合いに水を差すたぁ不粋な虎野郎だな」
「俺ぁ「入るぞ」とちゃんと確認したんだがなぁ? まぁいい、ちょいと問題が発生しちまってな」
そう言うとティーゲルは私達を甲板へと連れていきました。そこには真っ黒な世界が広がっていました。
夜になったわけでもなく、天気が荒れたわけでもありませんでした。本当に真っ暗なのです、ユスティーツが放つ光以外何も見えません。
「……真っ暗ってだけで他は何も問題はねぇんだ、進路もちゃんと北方大陸に向かっているし、誰か不具合が出たわけでもねぇ……」
しかし、この光景は異常過ぎる、ですか。確かにその通りですね。正常ではありませんよね。
私はこの黒い世界をじっと見つめていると、これは世界が黒いのでは無くて、黒い霧のようなモノであると、その霧の中をユスティーツは進んでいると気付きました。
──黒い霧、確かアイリスが以前出現させていたような──
「っ!? ティーゲル! 皆さんを艦内へと避難させてください!! 早く!!」
これは、この霧は精神を病ませる霧です。ティーゲルは私の言う通り素早く部下達を艦内へと避難させましたが、少しだけ遅かったようです。
逃げ遅れ、黒い霧に蝕まれた数人の兵が甲板で、まるで赤子のように泣き叫び始めたのです。少しの間泣き叫び、次に艦内へと続くドアに頭を何度も何度も打ち付けており、その光景は頭がかち割れ、中身が飛び散り、兵が絶命するまでの間続きました。
「おいおい……なんだよ……どうなってやがんだ……」
「この霧が晴れるまで一切甲板には出ない方がいいでしょう」
しかし、一体、誰がこれを? なんのために? まるで北方大陸へと近付かせまいと、見えない何者かの大きな力が動いているようでした。いえ、考えるまでもありませんでした、神の仕業でしょう。
「とりあえずレオとフェーゲライン中将閣下に報告しなきゃならねぇ、対応はそれからだ」
──黒い霧発生から五時間経過──
「ケホッ……ゲホッ……」
「おいマリア、大丈夫か?」
何でしょうか、少しずつですが体調が悪くなっていくのが分かります。黒い霧のせいでしょうか。
意識が軽く朦朧とし体も重く、咳も多くなっていき、熱もあるようです。
「……私は大丈夫ですよ、バルトロマイは変わりはないですか」
「無事だ、ちょっと寝とけや。着いたら起こしてやるからよ」
彼は紙を読む私から紙を取り上げて、ベッドへ寝転ばせて眠るように言ってきました。私はしかし、と言いましたが彼は取り合ってくれません。
「良いから寝とけ、俺は水でも貰ってくるわ」
そう、ですね、と返事をする気力も無い私は、バルトロマイが部屋から出るのを見ながら、自然と深い深い眠りに落ちていきそうになりました。
ですが、どうやらそう簡単に眠らせてはくれないようですね。喉に何かつっかえる感覚を覚えて、起き上がりながら思い切り咳き込むと、口から赤黒い血の塊が吐き出されました。なんですか、これは。
「っ……胸が……締め付けられるようです……なんだと言うんですか……これはっ」
水を貰って戻ってきたバルトロマイが、この状態の私を見て、医者でもあるフェーゲラインの元へと急いで連れて行ってくれました。
原因はこの彫られた魔術式、幼い頃から体に負荷を与え続けた為に、既に体が限界を迎えていたそうです。それでも魔法が使えなくなった十年間、進行は遅くなっていたようです。
「……ふむ、負荷を与え続けていたのならば、十年も、いや、五年も生きられなかっただろう」
「……あとどれぐらい持ちますか?」
ふむ、とバルトロマイの顔を見るフェーゲラインは静かに頷き、私の余命を淡々と述べました。
「……私の見立てでは、良くて数ヶ月、悪くて明日にでも」
なるほど、この体は既にそこまで壊れていましたか。とは言うものの、意外と私自身驚いてはいません。なぜなら、それを承知で幼い私はこの力を選んだのですから。後悔なんてしていません。短命になることは覚悟していましたから。
「……死とは平等に訪れるものですから、それが早いか遅いか、穏やかか、苦しむかの些細な違いです」
私はお礼をして、フェーゲラインの部屋を後にしました。だいぶ落ち着き、今は一人でも歩けますがバルトロマイは私の横を、心配そうにしながら歩いていました。
「楽に死ねそうにありませんね」
「ったく……人の気も知らねぇで」
部屋に着いた私はバルトロマイをベッドの上に押し倒しました。すいません、この世界の私。
「……私は貴方の知っている私ではありませんが、私はどの世界の貴方でも愛すると言いました」
「最期の思い出なんて言ってくれるなよ、また可愛がってやるからよ」
私とバルトロマイはシーツの中へと潜っていきました。
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