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魔帝顕現
第四話
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──北方大陸、諸王議場──
北方大陸に現れた脅威は、我々を団結させるのには充分過ぎるほど、強大な力を持つ恐ろしい存在だ。かつてこの世界を支配しようとした魔王が復活した、と言うのだから我々は焦るほかなかった。
ピリピリとした雰囲気だ。それもそのはずだろう。なんせここにいる王達の国のほとんどは、魔王と交戦中なのだ。故に一刻も早く体制を整え、来る決戦に備えなければならない。
だからこそ、今回私は皆を集めた。なんとかせねば、北方大陸全土が魔王の手に落ちてしまう。それは避けなければならない、そして全武力を持って魔王を討ち滅ぼさなければならない。五百年前と同じように。
「魔王討伐隊を結成したいと思うのだが」
「不可能だろう。厳冬期に入る時期であり越冬の準備をしなくてはならない。そこを突かれたのは痛い」
「それに魔王の軍勢は死を恐れぬ穢らわしい魔物共だ。豪雪の中でもお構い無しの進軍……我々は吹雪の中での戦いは慣れてはいるが、進軍速度は遅くなり、兵站も滞りまともな合戦なんぞ出来るはずもない」
そう、魔王の軍は我々があまり戦闘行為を行わず、お互い越冬をしているこの時期に、まるで狙ったかのようなこの時期に戦争を仕掛けてきた。勝機があるということだろう。
「だが、我々は古くからこの地にて厳しい冬と戦いつつ生き抜いてきた……それを易々と……無血開城など出来るはすがない。故に魔王には倒れてもらわなければいけない」
共に力を合わせ、魔王を討ち滅ぼそうではないか、と私は机を叩き訴えた。渋い顔をする王達、やはり熱意だけでは、頷かせる事は出来ないのか。
そう思い、席に座ろうとしたその時、一人の王がやろう、と手を挙げた。我が王国と長年争っていた王だ。
「俺達は時にいがみ合い、時に手を取り合ってきた……今は手を取り合う時じゃぁねぇのか? 一国では太刀打ち出来ないかもしれねぇが、皆で協力すりゃぁ、その限りじゃねぇはずだ」
俺達はただ狩られるを待つ子羊か? ちげぇだろう、と携える剣を抜きテーブルに突き刺した。私と彼は目を合わせ、私も同じようにテーブルに己の剣を突き立てた。
「北の大地の勇猛さを、穢らわしき悪魔共に見せつけてやろうぞ!!」
次々とテーブルに剣が突き立てられていき、残るは一人の王だけとなった。深く考え込んでいるのか、腕を組み目を瞑っていた。
注目がその者に集まる中、その王は目をおもむろに開いた。
「……既に我の喉元に魔王の剣が突き付けられ、思うように動けぬのが現状だ」
「だからこそ……」
「あろうことか我が娘を差し出せばこれ以上の進軍は行わないと、そう言ってきたのだ」
魔王の脅しにも近い条件を呑むか呑まないか、そんな脅迫紛いな事を出せれて、その王は悩んでいたそうだ。
「まだ十五歳になった可愛い盛りの我が娘を、そう易々と魔王なんかにくれてやるわけにもいかぬ……だが、そうしなければ我が国は滅ばされてしまう……期日は今月末までだが、そんな事を決められるわけがないだろう!!」
涙を流す王の隣に移動し肩に手を乗せた。そして、ならば同じ娘を持つ者として共に、共に魔王を倒そうぞ、と力強く私はそう言った。その言葉にその王は、ゆっくりと立ち上がりおもむろに頷いた。
これから忙しくなるぞ。
──北方大陸、魔帝城──
「オスカル、例の国王から返事、返ってきた?」
「いんや、なんの音沙汰もなしですね」
「そっかぁ……まぁまだ一週間だしねもうちょい待ってみよっか」
アイリスさんはタバコの煙で輪っかを作ると、肩を竦めてそう言った。碌でもないことを考えつくお人だ。
最愛の娘か、自身の国民か。はっ、恐ろしいな。だが、悪い条件じゃねぇはずだ。一人の命でその他大勢が助かるんだからな。
そんな時、一人の竜騎兵が報告を伝えに来た。
「アシュヴィ帝国からの使者が、隊長に会いたいとか抜かしてます」
「ん、通していいよ。何かな、宣戦布告? やだなぁ、戦争は嫌いなのになぁ」
「なんでこう、うちの隊員は隊長含めて荒っぽいやつばっかなんだ……」
やれやれと肩を竦めてその使者様を待っていると、獅子の頭を持つデミヒューマンと、黒い長髪のイブニングドレスを着た姉ちゃんが、扉を開けて入ってきた。この二人が使者、ねぇ。
ん? アイリスさんの様子がおかしいな。なんだか気まずそうだな。
「アイリス、久しぶりね。元気だったかしら」
「そうだねアリスさん。久しぶりだね」
あぁ、なるほど。顔見知りだったのか。という事はお隣の獅子頭のおっさんも、か。
「どうして、どうして突然消えたの?」
「どうして……? どうしてって……アリスさんが私を拒絶したからだよ」
「私が? ちょっと待ちなさい。私はアイリスを拒絶なんてしてないわ!」
アイリスさんは悲しそうな笑みを浮かべ、魔王と呼ばれていたアリスの名を持つ女を見ていた。
この三人がどういう関係なのかは分からない。だが、俺達からすればアイリスさんを悲しませる奴らは、全員敵だ。
「……ならもういい、もうこの話は終わり、ここに来た本来の目的を話して」
仕方ねぇな、と獅子の戦士は一つの契約を提示してきた。それはアシュヴィ帝国との軍事同盟、どうやら帝国は魔帝様を一つの、新しい国としてとらえているようだ。実に立ち回りの上手い帝国だ。脅威となる前に排除するのではなく、味方に引き込もうと言うんだからな。
「中央大陸と北方大陸は各大陸の中でも距離が一番離れてるし、今の私達には帝国と同盟を結ぶメリットも無いようにも思えるよ。それに……」
指をパチンと鳴らすアイリスさん。すると何処からともなく魔物が、ワラワラとアイリスさんの座る玉座の周りに集まり始めた。
「帝国の力なんて私には必要ないし、何なら今ここで帝国に対して宣戦布告をしてもいいぐらいだよ。ね? オスカル」
「俺に振らんでください……まぁ、俺達に任せてくれりゃぁ週を跨がず帝国の首都を、皇帝の居城を、火の海に変えることすら容易い」
「おいおい、それじゃぁ世界を敵に──」
三日月のような笑みを浮かべる我らが御大将を見て、獅子のおっさんは理解したようで言葉を途中で止めた。そして、あぁ、そうかよ、と拳を握り締めた。
「アイリス……本当に分からないわ……なんで?」
「まだ言ってるの? 分かったよ。アリスさん、アリスさんは私の事を気持ち悪い、って言ったよね? あの時だよあの時」
「え……? あれ本気だったの……?」
アリスはそこで本当に引いたような顔を作った。そうか、この女のせいか。
そこでマリアさんが玉座の後ろから出てきた。いつから居たんですかね。
「あぁ、お久しぶりですね。アリス、アシュタドラ以来ですかね」
「マリア……!」
おぉ、どうやらマリアさんとも面識があるようだが、何だか険しい空気が流れ始めた。すげぇ胃が痛くなってきたぞ。なんなら早く自室に帰りたい。この空気はただの人間である俺には、少々重たすぎる。
「貴女はアイリスの事を否定したそうですね」
「違う……私はただ──」
「黙りなさい!! この期に及んで言い訳など見苦しいだけですよ!」
貴女が使者でなければこの場で殺している所ですが、と続けてマリアさんはアイリスさんの座る玉座の肘掛けに腰掛けて、俯くアイリスさんの頭を撫で始めた。
「どれだけ貴女の事を想っていたか、貴女にはわからないでしょう、どれだけ泣いていたか……」
「そ、そんなの……分かるわけないじゃない!! 私に同じ女が好きな気持ち悪い女の気持ちなんて分かるわけないじゃない!! 自分が悲劇のヒロインだなんて勘違いはやめなさいよアイリス!!」
「おいアリス! 言い過ぎだ!!」
あぁこのクソアマ──気が付くと、玉座の間には殺気が溢れていた。まるで部屋自体が放っている一つの気だと錯覚してしまうような殺気の濃さ。
今にでも飛びかかってしまいそうな竜騎兵達を腕で抑えつつ、俺は言葉を挟んだ。
「なぁ帝国の使者様、この城で俺らの主を、俺の隊長の悪口は言わんでくださいや。この城にゃ血の気の荒い奴が多いんでねぇ……ぶっ殺すぞクソアマ」
俺とした事がらしくもなく、激昴してしまったようだ。だが仕方がない。何たって一人の魔法使いとして、一人の戦士として敬愛する隊長様の悪口だ。黙って聞いていられるわけがない。
「おい、お前今アリスの事をクソアマっつったか……黙って聞いてりゃぁ調子に乗りやがってよ……金髪の兄ちゃん」
俺と獅子のおっさんは眉間の皺を深めつつゆっくりと距離を縮めていった。
俺は拳を握り締め、獅子のおっさんの顔を思い切り殴り付けた。そこからゴングが鳴ったようにお互い拳の応酬だ。
それが止まる頃には、俺達の顔は腫れ上がっていた。
「オスカル」
「レオンハルト」
お互いの怒りの元である女に止められ、俺達は何事も無かったかのように大事な女の隣に移動した。
アイリスさんは膨れ上がった顔を魔法で癒してくれながら、私の為に怒ってくれてありがとう、と涙目になっていた。少し小っ恥ずかしいが、いいんですよと歯を見せて俺は笑った。
「さて、このままでは埒が開きませんね。レオンハルト、アイリスとお二人でお話をされてはいかがですか? その方が進みやすいかと」
「おう、そうさせてもらう」
別室に移動する二人を見送りながら、俺はアリスを見ていた。俯いたままで元気がない。まぁ、仕方ねぇけどさ。
その時、ミアさんが一人の少女を胸で抱きながら蕩けた顔で、玉座の間に入ってきた。
「あいりすがちっちゃくなってるぅ! かあぁいい!!」
「ちくしょうはなしやがれ!! このカスが!」
うぉ、マジで小さい隊長じゃないか。口はかなり悪いが、隊長をそのまま小さくしたような姿で、同じような服装だった。
「アリスー! 助けてくれぇ!」
「アリス……? 貴様が何故ここにいる」
ミアさんの蕩けた顔が一瞬にして怒気に満ちた表情になり、ちっちゃいアイリスさんを離すと凄まじい気迫で、アリスに食ってかかった。
いかん、止めろ! と竜騎兵総出でミアとアリスを引き離した。
「落ち着いてくださいミアさん!」
「落ち着いてなどいられるか! この偽善で塗固まったゲスを、私が許せるわけがないだろう! 友殺しの裏切り者をな!!」
おいおい、いつもクールなミアさんはどこに行ったって言うんだ。とりあえずミアさんを落ち着かせてから、一体何故あそこまで怒り狂ったのかをアリスに聞いたが、全く分からないらしくなんなら初対面だそうだ。
落ち着いたミアさんに問いかけると、ちっちゃいアイリスさん、アイというらしい。アイ再び抱き抱えながら答えた。
「ふん、何を白々しい……貴様は五百年前、あいりすを殺した本人そのものだろう! 忘れたとは言わさんぞ!! 勇者アリス!」
「ゆう、しゃ……? 私が? 何を言ってるの? 私は魔王よ? 五百年前からずっとよ」
「……ちょっと待てよ。一体になにがどうなってやがんだ?」
アイの疑問が正しかった。どういう状況だ? アリスは自身を魔王だと思っているが、ミアさんはアリスを勇者だと言う。
五百年生きているミアさんが正しいのだろうが、何かがおかしい。マリアも以前はアリスからは強大な魔力を感じていました、と腕を組みそう言った。
「……しかし、その顔は……」
「知ってる人に聞くのが、一番手っ取り早いかと」
だが、そんな方が何処に? と問い掛けると丁度戻ってきたアイリスと獅子のおっさんは、物々しい雰囲気に首を傾げていた。
「アイリス、お母様とお話出来ますか?」
「え? どうだろう……でもどうしたの?」
俺が今あった出来事を説明すると、驚いたような表情を作るアイリスさんは、目を瞑り集中し始めた。そして次に目を開けた時、それはアイリスさんでは無かった。
「──全く、死者をそんなホイホイ呼び出すものじゃないよ?」
「お久しぶりですね、お母様」
どうやらアイリスさんの母上殿らしいが、確かにアイリスさんとはまた違う雰囲気を持っていた。
アイリスさんは無邪気の中にちょっとした狂気を感じるが、母上殿は確立した狂気を放ちそれが恐ろしい。部屋の空気が凍りつくのが手に取るように分かる。変な汗が流れてくるな。
「……あいりすの子供? てことはぁ……みあはあいりすのお姉ちゃん……?」
この人はやばい顔をしながら一体何を言っているんだ? という言葉を胸に留めた。
そして、この場にいる皆が分かっていないアリスの事を、ゆっくりとした口調で話し始めた。
「確かに、そこにいるアリスという人は勇者本人、だけど君からは何か呪い的な魔術の力を感じるね……ちょっと触るよ」
アイリスさんの母上殿はアリスの身体中にくまなく触れて、後頭部に触れた時に動きを止めた。
そして、軍服の袖を捲りアリスの側頭部を両手で掴んだ。
「古い古い呪い、なぁんでこんなモノが……それに魔法による記憶の改竄、これは魔術に似た術式だけど、この世界の術式じゃぁないね……」
「……おいおい、一体どういう事だ?」
「簡単だよライオンの亜人君、彼女の本来の記憶は頭の奥底で眠っているってだけ、それは本人が解かないと解けない類のモノだよ」
なんだか知らんが、とりあえずアリスが勇者であるというのは確定したようだが、アイとアリスは納得がいっていない、といった顔だった。
「勇者は魔法が使えないと聞きましたが、以前まで彼女はアイリスに勝るとも劣らない魔力を有していました。何故でしょうか?」
「これは推測でしかないけど、五百年間生きていたら魔力生成回路の一つや二つ、新しく出来るかもしれないし、呪いの副作用なのかもしれない」
何も分からないって言うのが本音だろうな。だが、もしアリスが勇者としての力や記憶を戻した際、それに対処出来るのか。
かつての魔帝やドラクルさんも一度敗北しているんだからな。
「……私が勇者? 冗談もほどほどにしなさい」
「そうかな? オスカル……だっけ? ちょっと剣、受けてあげなよ」
母上殿はアリスに剣を投げ渡すと俺にそう言った。嫌っすよ、とは言えない眼光に辟易しながら、自身が帯剣していた剣を鞘から抜きとりあえず構えた。
「……私、剣なんて使えないわ」
「いいから、打ち込んでみなよ」
まっ、どっからでも来てくださいな、と余裕の態度で、少し馬鹿にしたような顔をしていた俺だが、その顔はすぐに焦ったものになるとは思わなかった。
アリスが剣を構えた次の瞬間、俺の目の前にはアリスの顔がすぐそこにあった。
ただの袈裟斬りを受け流すのに全体力を使ったんじゃないか、と思えるほどの素早さと正確さの斬撃を、俺は本当にギリギリの所で受け流す事が出来た。やっべぇ、あれまともに受け止めたら俺の服が、おしゃれな胸開きになる所だった。
「──え? あ、あら……何をしたのかしら私」
「怖ぇ……女怖ぇ……」
「今の動き、一朝一夕で手に入れられるもんじゃねぇ……動いた事を悟らせず、間合いを瞬間的に詰める、やるな」
ありゃぁ魔法使いにとって大変まずい。アイリスさんやマリアさんと違い、、俺ら一般的な魔法使いが接近を許すとそれはもはやただのカカシであり、魔法というアドバンテージが無くなっちまう。
「あはは、面白いねぇ……あ、そうだ。そこのちっちゃい私」
「なんだよ大きいあたし」
そしてもう一つの疑問だ。アイとアイリス、似すぎている。血縁関係なのかと思っていたが、どうやらそういう訳じゃなさそうだ。
「私が唯一思い出せない、勇者と一緒に過ごした時期の姿をしている君、君も不思議だよねぇ。何故その姿をしているのか、何故私がその期間を思い出せないのか……その時の記憶は返して欲しいんだけど、まぁいっか! 今はアイリスに任せるとしよう!」
一瞬目を瞑る母上殿、次に目を開けるとそこには元のアイリスさんが居た。
無言で玉座に向かい座り込むアイリスさんは、ニコニコと笑顔を浮かべてゆっくりと腰を下ろした。だが、先程の話には触れなかった。
「……オスカル、マリア、ミア、文字通りの全軍を率いて北方大陸の速やかな制圧、その後アシュヴィ帝国への進撃を──」
「アイリス!! 魔帝城の周囲を敵が囲んでいるぞ!」
勢いよくドラクルさんが帰宅し、そんな事を言うもんだから、虫の居所がよろしくないアイリスさんははぁ? と明らかな不機嫌を珍しく顔に出した。だからこそ、俺達は気を引き締めなくてはならない。
こうなってしまった隊長は何をしでかすか、全くもって予想だにしない。あぁ、戦争か。本格的な。はっ、面白くなってきやがったなぁ。
北方大陸に現れた脅威は、我々を団結させるのには充分過ぎるほど、強大な力を持つ恐ろしい存在だ。かつてこの世界を支配しようとした魔王が復活した、と言うのだから我々は焦るほかなかった。
ピリピリとした雰囲気だ。それもそのはずだろう。なんせここにいる王達の国のほとんどは、魔王と交戦中なのだ。故に一刻も早く体制を整え、来る決戦に備えなければならない。
だからこそ、今回私は皆を集めた。なんとかせねば、北方大陸全土が魔王の手に落ちてしまう。それは避けなければならない、そして全武力を持って魔王を討ち滅ぼさなければならない。五百年前と同じように。
「魔王討伐隊を結成したいと思うのだが」
「不可能だろう。厳冬期に入る時期であり越冬の準備をしなくてはならない。そこを突かれたのは痛い」
「それに魔王の軍勢は死を恐れぬ穢らわしい魔物共だ。豪雪の中でもお構い無しの進軍……我々は吹雪の中での戦いは慣れてはいるが、進軍速度は遅くなり、兵站も滞りまともな合戦なんぞ出来るはずもない」
そう、魔王の軍は我々があまり戦闘行為を行わず、お互い越冬をしているこの時期に、まるで狙ったかのようなこの時期に戦争を仕掛けてきた。勝機があるということだろう。
「だが、我々は古くからこの地にて厳しい冬と戦いつつ生き抜いてきた……それを易々と……無血開城など出来るはすがない。故に魔王には倒れてもらわなければいけない」
共に力を合わせ、魔王を討ち滅ぼそうではないか、と私は机を叩き訴えた。渋い顔をする王達、やはり熱意だけでは、頷かせる事は出来ないのか。
そう思い、席に座ろうとしたその時、一人の王がやろう、と手を挙げた。我が王国と長年争っていた王だ。
「俺達は時にいがみ合い、時に手を取り合ってきた……今は手を取り合う時じゃぁねぇのか? 一国では太刀打ち出来ないかもしれねぇが、皆で協力すりゃぁ、その限りじゃねぇはずだ」
俺達はただ狩られるを待つ子羊か? ちげぇだろう、と携える剣を抜きテーブルに突き刺した。私と彼は目を合わせ、私も同じようにテーブルに己の剣を突き立てた。
「北の大地の勇猛さを、穢らわしき悪魔共に見せつけてやろうぞ!!」
次々とテーブルに剣が突き立てられていき、残るは一人の王だけとなった。深く考え込んでいるのか、腕を組み目を瞑っていた。
注目がその者に集まる中、その王は目をおもむろに開いた。
「……既に我の喉元に魔王の剣が突き付けられ、思うように動けぬのが現状だ」
「だからこそ……」
「あろうことか我が娘を差し出せばこれ以上の進軍は行わないと、そう言ってきたのだ」
魔王の脅しにも近い条件を呑むか呑まないか、そんな脅迫紛いな事を出せれて、その王は悩んでいたそうだ。
「まだ十五歳になった可愛い盛りの我が娘を、そう易々と魔王なんかにくれてやるわけにもいかぬ……だが、そうしなければ我が国は滅ばされてしまう……期日は今月末までだが、そんな事を決められるわけがないだろう!!」
涙を流す王の隣に移動し肩に手を乗せた。そして、ならば同じ娘を持つ者として共に、共に魔王を倒そうぞ、と力強く私はそう言った。その言葉にその王は、ゆっくりと立ち上がりおもむろに頷いた。
これから忙しくなるぞ。
──北方大陸、魔帝城──
「オスカル、例の国王から返事、返ってきた?」
「いんや、なんの音沙汰もなしですね」
「そっかぁ……まぁまだ一週間だしねもうちょい待ってみよっか」
アイリスさんはタバコの煙で輪っかを作ると、肩を竦めてそう言った。碌でもないことを考えつくお人だ。
最愛の娘か、自身の国民か。はっ、恐ろしいな。だが、悪い条件じゃねぇはずだ。一人の命でその他大勢が助かるんだからな。
そんな時、一人の竜騎兵が報告を伝えに来た。
「アシュヴィ帝国からの使者が、隊長に会いたいとか抜かしてます」
「ん、通していいよ。何かな、宣戦布告? やだなぁ、戦争は嫌いなのになぁ」
「なんでこう、うちの隊員は隊長含めて荒っぽいやつばっかなんだ……」
やれやれと肩を竦めてその使者様を待っていると、獅子の頭を持つデミヒューマンと、黒い長髪のイブニングドレスを着た姉ちゃんが、扉を開けて入ってきた。この二人が使者、ねぇ。
ん? アイリスさんの様子がおかしいな。なんだか気まずそうだな。
「アイリス、久しぶりね。元気だったかしら」
「そうだねアリスさん。久しぶりだね」
あぁ、なるほど。顔見知りだったのか。という事はお隣の獅子頭のおっさんも、か。
「どうして、どうして突然消えたの?」
「どうして……? どうしてって……アリスさんが私を拒絶したからだよ」
「私が? ちょっと待ちなさい。私はアイリスを拒絶なんてしてないわ!」
アイリスさんは悲しそうな笑みを浮かべ、魔王と呼ばれていたアリスの名を持つ女を見ていた。
この三人がどういう関係なのかは分からない。だが、俺達からすればアイリスさんを悲しませる奴らは、全員敵だ。
「……ならもういい、もうこの話は終わり、ここに来た本来の目的を話して」
仕方ねぇな、と獅子の戦士は一つの契約を提示してきた。それはアシュヴィ帝国との軍事同盟、どうやら帝国は魔帝様を一つの、新しい国としてとらえているようだ。実に立ち回りの上手い帝国だ。脅威となる前に排除するのではなく、味方に引き込もうと言うんだからな。
「中央大陸と北方大陸は各大陸の中でも距離が一番離れてるし、今の私達には帝国と同盟を結ぶメリットも無いようにも思えるよ。それに……」
指をパチンと鳴らすアイリスさん。すると何処からともなく魔物が、ワラワラとアイリスさんの座る玉座の周りに集まり始めた。
「帝国の力なんて私には必要ないし、何なら今ここで帝国に対して宣戦布告をしてもいいぐらいだよ。ね? オスカル」
「俺に振らんでください……まぁ、俺達に任せてくれりゃぁ週を跨がず帝国の首都を、皇帝の居城を、火の海に変えることすら容易い」
「おいおい、それじゃぁ世界を敵に──」
三日月のような笑みを浮かべる我らが御大将を見て、獅子のおっさんは理解したようで言葉を途中で止めた。そして、あぁ、そうかよ、と拳を握り締めた。
「アイリス……本当に分からないわ……なんで?」
「まだ言ってるの? 分かったよ。アリスさん、アリスさんは私の事を気持ち悪い、って言ったよね? あの時だよあの時」
「え……? あれ本気だったの……?」
アリスはそこで本当に引いたような顔を作った。そうか、この女のせいか。
そこでマリアさんが玉座の後ろから出てきた。いつから居たんですかね。
「あぁ、お久しぶりですね。アリス、アシュタドラ以来ですかね」
「マリア……!」
おぉ、どうやらマリアさんとも面識があるようだが、何だか険しい空気が流れ始めた。すげぇ胃が痛くなってきたぞ。なんなら早く自室に帰りたい。この空気はただの人間である俺には、少々重たすぎる。
「貴女はアイリスの事を否定したそうですね」
「違う……私はただ──」
「黙りなさい!! この期に及んで言い訳など見苦しいだけですよ!」
貴女が使者でなければこの場で殺している所ですが、と続けてマリアさんはアイリスさんの座る玉座の肘掛けに腰掛けて、俯くアイリスさんの頭を撫で始めた。
「どれだけ貴女の事を想っていたか、貴女にはわからないでしょう、どれだけ泣いていたか……」
「そ、そんなの……分かるわけないじゃない!! 私に同じ女が好きな気持ち悪い女の気持ちなんて分かるわけないじゃない!! 自分が悲劇のヒロインだなんて勘違いはやめなさいよアイリス!!」
「おいアリス! 言い過ぎだ!!」
あぁこのクソアマ──気が付くと、玉座の間には殺気が溢れていた。まるで部屋自体が放っている一つの気だと錯覚してしまうような殺気の濃さ。
今にでも飛びかかってしまいそうな竜騎兵達を腕で抑えつつ、俺は言葉を挟んだ。
「なぁ帝国の使者様、この城で俺らの主を、俺の隊長の悪口は言わんでくださいや。この城にゃ血の気の荒い奴が多いんでねぇ……ぶっ殺すぞクソアマ」
俺とした事がらしくもなく、激昴してしまったようだ。だが仕方がない。何たって一人の魔法使いとして、一人の戦士として敬愛する隊長様の悪口だ。黙って聞いていられるわけがない。
「おい、お前今アリスの事をクソアマっつったか……黙って聞いてりゃぁ調子に乗りやがってよ……金髪の兄ちゃん」
俺と獅子のおっさんは眉間の皺を深めつつゆっくりと距離を縮めていった。
俺は拳を握り締め、獅子のおっさんの顔を思い切り殴り付けた。そこからゴングが鳴ったようにお互い拳の応酬だ。
それが止まる頃には、俺達の顔は腫れ上がっていた。
「オスカル」
「レオンハルト」
お互いの怒りの元である女に止められ、俺達は何事も無かったかのように大事な女の隣に移動した。
アイリスさんは膨れ上がった顔を魔法で癒してくれながら、私の為に怒ってくれてありがとう、と涙目になっていた。少し小っ恥ずかしいが、いいんですよと歯を見せて俺は笑った。
「さて、このままでは埒が開きませんね。レオンハルト、アイリスとお二人でお話をされてはいかがですか? その方が進みやすいかと」
「おう、そうさせてもらう」
別室に移動する二人を見送りながら、俺はアリスを見ていた。俯いたままで元気がない。まぁ、仕方ねぇけどさ。
その時、ミアさんが一人の少女を胸で抱きながら蕩けた顔で、玉座の間に入ってきた。
「あいりすがちっちゃくなってるぅ! かあぁいい!!」
「ちくしょうはなしやがれ!! このカスが!」
うぉ、マジで小さい隊長じゃないか。口はかなり悪いが、隊長をそのまま小さくしたような姿で、同じような服装だった。
「アリスー! 助けてくれぇ!」
「アリス……? 貴様が何故ここにいる」
ミアさんの蕩けた顔が一瞬にして怒気に満ちた表情になり、ちっちゃいアイリスさんを離すと凄まじい気迫で、アリスに食ってかかった。
いかん、止めろ! と竜騎兵総出でミアとアリスを引き離した。
「落ち着いてくださいミアさん!」
「落ち着いてなどいられるか! この偽善で塗固まったゲスを、私が許せるわけがないだろう! 友殺しの裏切り者をな!!」
おいおい、いつもクールなミアさんはどこに行ったって言うんだ。とりあえずミアさんを落ち着かせてから、一体何故あそこまで怒り狂ったのかをアリスに聞いたが、全く分からないらしくなんなら初対面だそうだ。
落ち着いたミアさんに問いかけると、ちっちゃいアイリスさん、アイというらしい。アイ再び抱き抱えながら答えた。
「ふん、何を白々しい……貴様は五百年前、あいりすを殺した本人そのものだろう! 忘れたとは言わさんぞ!! 勇者アリス!」
「ゆう、しゃ……? 私が? 何を言ってるの? 私は魔王よ? 五百年前からずっとよ」
「……ちょっと待てよ。一体になにがどうなってやがんだ?」
アイの疑問が正しかった。どういう状況だ? アリスは自身を魔王だと思っているが、ミアさんはアリスを勇者だと言う。
五百年生きているミアさんが正しいのだろうが、何かがおかしい。マリアも以前はアリスからは強大な魔力を感じていました、と腕を組みそう言った。
「……しかし、その顔は……」
「知ってる人に聞くのが、一番手っ取り早いかと」
だが、そんな方が何処に? と問い掛けると丁度戻ってきたアイリスと獅子のおっさんは、物々しい雰囲気に首を傾げていた。
「アイリス、お母様とお話出来ますか?」
「え? どうだろう……でもどうしたの?」
俺が今あった出来事を説明すると、驚いたような表情を作るアイリスさんは、目を瞑り集中し始めた。そして次に目を開けた時、それはアイリスさんでは無かった。
「──全く、死者をそんなホイホイ呼び出すものじゃないよ?」
「お久しぶりですね、お母様」
どうやらアイリスさんの母上殿らしいが、確かにアイリスさんとはまた違う雰囲気を持っていた。
アイリスさんは無邪気の中にちょっとした狂気を感じるが、母上殿は確立した狂気を放ちそれが恐ろしい。部屋の空気が凍りつくのが手に取るように分かる。変な汗が流れてくるな。
「……あいりすの子供? てことはぁ……みあはあいりすのお姉ちゃん……?」
この人はやばい顔をしながら一体何を言っているんだ? という言葉を胸に留めた。
そして、この場にいる皆が分かっていないアリスの事を、ゆっくりとした口調で話し始めた。
「確かに、そこにいるアリスという人は勇者本人、だけど君からは何か呪い的な魔術の力を感じるね……ちょっと触るよ」
アイリスさんの母上殿はアリスの身体中にくまなく触れて、後頭部に触れた時に動きを止めた。
そして、軍服の袖を捲りアリスの側頭部を両手で掴んだ。
「古い古い呪い、なぁんでこんなモノが……それに魔法による記憶の改竄、これは魔術に似た術式だけど、この世界の術式じゃぁないね……」
「……おいおい、一体どういう事だ?」
「簡単だよライオンの亜人君、彼女の本来の記憶は頭の奥底で眠っているってだけ、それは本人が解かないと解けない類のモノだよ」
なんだか知らんが、とりあえずアリスが勇者であるというのは確定したようだが、アイとアリスは納得がいっていない、といった顔だった。
「勇者は魔法が使えないと聞きましたが、以前まで彼女はアイリスに勝るとも劣らない魔力を有していました。何故でしょうか?」
「これは推測でしかないけど、五百年間生きていたら魔力生成回路の一つや二つ、新しく出来るかもしれないし、呪いの副作用なのかもしれない」
何も分からないって言うのが本音だろうな。だが、もしアリスが勇者としての力や記憶を戻した際、それに対処出来るのか。
かつての魔帝やドラクルさんも一度敗北しているんだからな。
「……私が勇者? 冗談もほどほどにしなさい」
「そうかな? オスカル……だっけ? ちょっと剣、受けてあげなよ」
母上殿はアリスに剣を投げ渡すと俺にそう言った。嫌っすよ、とは言えない眼光に辟易しながら、自身が帯剣していた剣を鞘から抜きとりあえず構えた。
「……私、剣なんて使えないわ」
「いいから、打ち込んでみなよ」
まっ、どっからでも来てくださいな、と余裕の態度で、少し馬鹿にしたような顔をしていた俺だが、その顔はすぐに焦ったものになるとは思わなかった。
アリスが剣を構えた次の瞬間、俺の目の前にはアリスの顔がすぐそこにあった。
ただの袈裟斬りを受け流すのに全体力を使ったんじゃないか、と思えるほどの素早さと正確さの斬撃を、俺は本当にギリギリの所で受け流す事が出来た。やっべぇ、あれまともに受け止めたら俺の服が、おしゃれな胸開きになる所だった。
「──え? あ、あら……何をしたのかしら私」
「怖ぇ……女怖ぇ……」
「今の動き、一朝一夕で手に入れられるもんじゃねぇ……動いた事を悟らせず、間合いを瞬間的に詰める、やるな」
ありゃぁ魔法使いにとって大変まずい。アイリスさんやマリアさんと違い、、俺ら一般的な魔法使いが接近を許すとそれはもはやただのカカシであり、魔法というアドバンテージが無くなっちまう。
「あはは、面白いねぇ……あ、そうだ。そこのちっちゃい私」
「なんだよ大きいあたし」
そしてもう一つの疑問だ。アイとアイリス、似すぎている。血縁関係なのかと思っていたが、どうやらそういう訳じゃなさそうだ。
「私が唯一思い出せない、勇者と一緒に過ごした時期の姿をしている君、君も不思議だよねぇ。何故その姿をしているのか、何故私がその期間を思い出せないのか……その時の記憶は返して欲しいんだけど、まぁいっか! 今はアイリスに任せるとしよう!」
一瞬目を瞑る母上殿、次に目を開けるとそこには元のアイリスさんが居た。
無言で玉座に向かい座り込むアイリスさんは、ニコニコと笑顔を浮かべてゆっくりと腰を下ろした。だが、先程の話には触れなかった。
「……オスカル、マリア、ミア、文字通りの全軍を率いて北方大陸の速やかな制圧、その後アシュヴィ帝国への進撃を──」
「アイリス!! 魔帝城の周囲を敵が囲んでいるぞ!」
勢いよくドラクルさんが帰宅し、そんな事を言うもんだから、虫の居所がよろしくないアイリスさんははぁ? と明らかな不機嫌を珍しく顔に出した。だからこそ、俺達は気を引き締めなくてはならない。
こうなってしまった隊長は何をしでかすか、全くもって予想だにしない。あぁ、戦争か。本格的な。はっ、面白くなってきやがったなぁ。
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