生まれるはずだった人

大切な時間

やっぱり先輩はやさしい

泣きじゃくる赤ちゃんと研修生の前でクハクはこう言った

クハク「は？意味がわからん」



そう言うとクハクは地面に置かれた赤ちゃんをそっと包み込むように抱き上げた


そして、睨み付けながらサポーターに言った


クハク「赤ちゃんを大切にしないお前にこの仕事をやる権利はない」



サポーター「んだと、オメエ、…誰に向かって口聞いてんだ！」



考えるよりも、行動の方が先な私にとって、この状況は動かざるを得なかったと言ってもよい。
あのときはそれくらい、先輩が大切に思えた
あのままでは先輩が怪我してしまうと思った私は花瓶の恩返しとして先輩を庇った



私のお腹にサポーターさんの拳が当った


クハクも目を見開いて口を開けて
サポーターさんも驚いていた

私はニヤリと笑ってその場に倒れ
それから目の前が、真っ暗になった…









目を開けると見たこともない天井が…
ふと横をみるとクハクが心配していなさそうな顔で私を見ていた


クハク「…起きたか…」



ヨサク「…ここどこ？」



クハク「ここは俺の家だ」

訳もわからず混乱した私は

ヨサク「…なんだ…夢か…現実に戻りますように、お休み」

また寝ることにした

クハク「…はぁ？」





鳥「チュンチュン」


ヨサク「チュンチュン、チュンチュン五月蝿いなぁー」



クハク「五月蝿いのはお前だコラ、イビキかきやがって」



ヨサク「…ここ、先輩の部屋？綺麗ー」


クハク「…当たり前だ」



ヨサク「……………あのあと、どうなったか聞きたいです…」



クハク「…赤ちゃんを泣かせたかわりに、今度は俺があいつを泣かしてやった」



ヨサク「…流石ぁ…ふぁー」



クハク「…また余計な事をしてくれたなクソ下簿」



ヨサク「…先輩の殴られた後見たくなかったので、とっさに庇いました…」

クハク「お前、俺の方が弱いと思ってるだろ」




ヨサク「正解です、はぁ…眠い…」




クハク「昨日寝坊するくらい寝ただろ」


ヨサク「先輩とは違うんですよ。私の体って力入れる時だけ無敵になるの、ほら、包丁の時に怪我したでしょ？
それは力入れてなかったから…で
力入れるとそのあとすんごい眠くなる…の…で…お休みなさい」



クハク「だからって放棄すんな」



ヨサク「放棄しません。…休みを…ください！」


クハク「…だめだ」


ヨサク「一応これでも、痛みは感じてるんですよぉー…」


クハク「あいつと同類になりたくなければ、早く起きろ下僕」



ヨサク「えーーー、あっ！この布団先輩の匂いする！！」



クハク「嗅ぐな！起きろコラ！早く赤ちゃんの世話しに行くぞ！」