生まれるはずだった人

ふぁ

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プロローグ

生まれますように

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赤ちゃんってどこから生まれるのか知りたくない?
私たちってどこから来たのか知りたくない?


これは私たちの生命の境界線で起こる物語性


「神様…、これから彼女に悲劇が起きませんように。彼女に祝福を」






一人の少年は手を合わせて祈った
そして、彼女を連れて彼女の母親の元の近くへ案内した。


「ここからは一人で行け。くれぐれも迷わないように。」


彼女は頷くと一人で母親の元へ行った





彼女は優しそうな母親を見つめた




母親は短いスカートを履いていてツインテールでとても若く見えた。
父親は少し怖い顔をしていて歩いていた。

彼女は思った






私はこの人たちの子供になるんだ

どんな人生を送ることができるのかとても楽しみだ




そして、母親のお腹の中に入っていった



ここは母親のお腹の中

とても暖かくて気持ちよかった
暗かったけれどみずのなかで
いつも母親と父親の声を聞いていた






「優しそうな声」






「嬉しそうな声」





「楽しそうな声」






早く出たいなぁ

早く会いたいなぁ

まだかなぁ






でもあるときそのような時間が無くなった

母親が不安になっているのが伝わる

どうしたんだろ

何かあったのかな

苦しそう






…苦しい

私の母親の苦しみは私にも襲いかかってきた




私のいる場所も狭くなっていく

狭い!狭いよ!

押し潰されちゃうよ!

怖いよ、怖いよぉ






そんなことが何度か続いて大分落ち着いた頃




たまに母親が思っていることが解るようになってきた

母親はいつも父親のご飯のことを考えていた




母親はいつも洗濯をしながら父親の仕事の事を考えていた





母親はいつも部屋を掃除しながらわたしの事を考えていた





母親は夜に涙を流していた





私も泣いた







母親の私が生まれてくることが嫌だと思っている気持ちが伝わってくるから





なんでこうなってしまったんだろうって思っているから




父親と出会わなければ良かったと思っているから





私に会いたくないのかな?…


私は早くここから出ようと毎日頑張っていた

そして、母親を助けようと思った






時に母親は誰かに暴力を振るわれるようになった。
その時、私のいる場所はどんどん狭くなっていって…






痛いよぉー!痛い!苦しい!誰か助けて!
早く!ここから出して!



何度も何度も一人必死に叫んでいた



父親も泣いて母親も泣いて、私も泣いて

皆泣いている

そんな日が続いた

私が生まれる二日前まで



急に狭くなくなった





また、暖かくなった。私に平穏が来た。




母親も父親も笑っている声が聞こえる。




でも母親は寂しい思いをしているのが伝わる

なんでだろう

こんなに嬉しそうに幸せそうにしているのに



そんなことよりも、私を撫でるようにお腹を撫でてくれること。私の近くで音楽を流してくれること。声をかけてくれること。






確かよく「ありがとう。」って聞こえた。




幸せだった。家族みんな

早く生まれたかった
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