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12.片想い
しおりを挟む「どーゆーつもり? あやかに近づいて俺の個人情報でもさらすの?」
――俺はひまりを体育館扉の外に連れ出してから、強い口調で問い詰めた。
彼女がこの学校に来てからというものの、いつ爆弾が投下されるのかとヒヤヒヤしている。
「そんなことしないよ。ただ、あやかちゃんと仲良くしたいなぁと思って」
「どうだか」
あやかに近づいたのは単に偶然なのか。
それとも、俺を意識してそうしてるのか。
意図がつかめない。
「それに、どうして俺がいる高校へ? お前はとっくに期間終了してるだろ」
「藍に会いたくなったからパパに頼んだの。しばらく会えないなんて辛かったから」
ひまりがオーストラリアから追ってくるなんて思いもしなかった。
これだけは唯一の計算外に。
離れたいと思っても離れられない現実が俺にまとわりついている。
「俺は変わらないよ。お前がなんと言おうとも昔からの目標は達成させたいから」
「なによ、それ。聞いてない」
「別にお前には関係ない」
「関係なくはない! だって、私は……」
ひまりは強い口調になって手を引っ張ってきたが、俺は眉一つ揺らさずに彼女を見た。
すると、なにかを感じ取ったのか彼女の力が弱まる。
「……もしかして、あやかちゃんのことが本気で好きなの?」
「好きだよ。何年経っても忘れられないくらいにね」
「何年って……。なにそれ。私、知らないんだけど……」
俺は人に何を言われようともあやかが好きだ。
何年も、何年も何年も……、あやかだけを一途に想い続けている。
だから、これから先どんなことがあっても誰にも邪魔されたくない。
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