44 / 66
第六章
43.ミーティング
しおりを挟むーー夜6時。
レクレーションの開始時刻の1時間前になり、レク係の4人はホテルのロビーに集まって手作りした地図を開いて話し合いを始めた。
夏都「10分間のルートにキーワードの紙を5箇所に設置する。お化け担当の3人には6時50分にここの定位置についてもらう。ここまでが事前準備。開始時刻になったら2人1組のペアを3分刻みで出発させて、キーワードの間にいるお化け担当に驚かせてもらって到着時間を遅らせてもらう。参加者が時間内に戻ってキーワードを正解したら景品を渡す。その景品を渡す係が美那と河合さんね」
美那「了解」
紗彩「わかった」
夏都「今から俺と怜で手分けをして肝試しのルートにキーワードの紙を貼り付けてくる。その間、美那と河合さんはお化け役の人への衣装とメイクをお願い。終わったらスタート地点でスタンバイしてて」
紗彩「お化け役を引き受けてくれる男子がいてよかったね」
美那「あはは、てっきり私達がやるかと思ったよ」
怜「残念~。美那っちのセクシーお化け姿見たかったなぁ」
美那「何よ、それー! 買ってきた衣装は白い着物と三角巾とボサボサ頭のカツラなんだけど~」
紗彩・夏都「……」
怜「冗談言っただけだって。そんなにシラけるなよ。……じゃ、気合いを入れる為に円陣でも組みますか。『やるぞ~、おー!』みたいな」
紗彩「スポーツの試合じゃないんだから、やらなくてもいいでしょ……」
それから私達はホテルの娯楽室でお化け担当の男子4人にメイクを始めて、滝原くん達はキーワードの紙を設置する為に山林へ向かった。
空はまだ少し明るいが、2人は懐中電灯を足元に照らしながら先を進む。
怜が山林方向へつながっている小さな橋を渡ろうとして飛び出た葉っぱを手でよけると、ふわりと舞い落ちた葉っぱが川へと流れて行った。
「あれ? 夕方雨が降ったから川の流れが早いのかな」怜は葉っぱを目で追いながらそう言う。
「地面が濡れてるから肝試しに出発する際に注意を呼びかけないと」
「肝試しの時間は暗闇だから注意しないと転ぶかも」
「だから俺は肝試しに反対だったんだ。誰かが怪我をしたらどうするんだよ」
「企画を考えた時は誰だって晴れを予想してただろ。いちいちうるさいなぁ」
「うるさっ?! ……まぁ、いいや。お前と言い争う気はないから」
夏都は一つ目の木にキーワードの紙をすずらんテープでぐるりと縛りつけてると、怜は背中に向かって言った。
「……俺、美那っちに本気だから今日告白するつもり」
夏都は驚いた目で振り返ると、怜はいつになく真剣な眼差しで見ていた。
「どうしてそれを俺に? もしかして自信ないの?」
「は? お前に言われたくねーよ。……ってか、俺たちが上手くいってもぜってぇ文句言うなよ。いいな!」
怜は茶化された事に腹を立ててずかずかと次のルートへ向かった。
その場に取り残された夏都はふぅとため息をつく。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
女子に間違えられました、、
夜碧ひな
青春
1:文化祭で女装コンテストに強制的に出場させられた有川 日向。コンテスト終了後、日向を可愛い女子だと間違えた1年先輩の朝日 滉太から告白を受ける。猛アピールをしてくる滉太に仕方なくOKしてしまう日向。
果たして2人の運命とは?
2:そこから数ヶ月。また新たなスタートをきった日向たち。が、そこに新たな人物が!?
そして周りの人物達が引き起こすハチャメチャストーリーとは!
ちょっと不思議なヒューマンラブコメディー。
※この物語はフィクション作品です。個名、団体などは現実世界において一切関係ありません。
ラブ×リープ×ループ!
虚仮橋陣屋(こけばしじんや)
青春
【完結・1話1500文字程度でサクサク読めちゃう!】
40歳独身、童貞。鬱に苦しみ間もなく自動退職寸前のゲーム会社勤務の主人公・古ノ森健太。
どんづまりの彼のスマホを鳴らしたのは、中学・高校時代の親友だった渋田だった。
「今度の同窓会、来るよね?」
「……は?」
不本意ながら参加した中学2年の同窓会。実に26年ぶりの再会だが、ひたすら憂鬱で苦痛だった。そこに遅れて姿を現したのは、当時絶大な人気を誇っていた学年1、2を争う美少女・上ノ原広子。だが、その姿は見る影もなく、おまけにひどく酔っぱらっていた。彼女の酔いを醒ましてくる、と逃げ出す口実を見つけた健太は広子を担いで裏手にある神社へと足を進める。
ご近所さんで幼馴染み。また兄貴分でもあり師匠でもあった広子。それがなぜ……?
二人は互いの恵まれない境遇について話すうち意気投合するものの、つい広子が漏らした一言でもみ合いに発展し、神社の石段から転げ落ちてしまう。
「………………これ、マジ?」
そして、気がつけばそこは、中学二年の始業式の朝だったのだ。
こうなったら、ターニングポイントになったこの一年間をやり直し、ついでに憧れのあの子と付き合って、人生の勝ち組になってやる!
見た目は多感な中学生、中身は40男(童貞)、タイムリープでチャンスを手にした主人公のノスタルジック・ラブコメディー開幕!
港西高校山岳部物語
小里 雪
青春
登山未経験ですが、どうしても北アルプスの剱岳に登りたい主人公が、高校で山岳部に入ります。しかし、その山岳部には上級生と同級生が一人ずつ、主人公をあわせても、三人しか部員がいません。しかも、どうやらその部に入るだけで変わり者扱いされてしまうようです。
高校の山岳部やワンダーフォーゲル部は、インターハイや国体などの、いわゆる「競技登山」をメインに行っているところが多いのですが、港西高校の山岳部は、そういう競技登山ではなく、純粋に山を楽しみ、山に行く技術と体力を身に着けることを目標としている部です。
厳しいトレーニング、ゆったりと部室で流れる時間、山の美しさと険しさ、そして、恋心。上級生や同級生、先生、家族との関わりの中で、主人公が成長していく物語です。
登山に興味がある人にとってはもちろんですが、そうでない人が読んでも分かるように書いたつもりです。
この作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
【完結】±Days
空月
青春
次々かかってくる幼馴染ズからの電話。恋愛相談?なんでそんなもの持ち込んでくるんだおまえらは…!しかも内容馬鹿らしすぎて頭痛がするっての!――自称平々凡々一般人の、平凡から遠ざかる日常のお話。初恋に右往左往な幼馴染ズにアドバイザーとして無理やり転校させられたり、その先で変人な知り合いにばったりしたり、結局転校もアドバイザーの立場も受け入れたり。
一部お題使用の変則的な小説と言えるかも疑問な代物です。基本地の文なしで進行します。逆ハーを脇から見てみようがコンセプト(多分)。
後々はシリアス色強めの話もあります。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
クリスマスに奇跡は、もう起こらない
東郷しのぶ
青春
杏は、一八歳の少女。ずっと一人で生きてきた。
クリスマスの一週間前、杏は教会で不思議な少女に出会う。
天使と聖母――二人の少女が織りなす、クリスマス・ストーリーです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
リセット
桐条京介
青春
六十余年の人生に疲れた男が、ひょんなことから手に入れたのは過去へ戻れるスイッチだった。
過去に戻って、自らの人生をやり直す男が辿り着くゴールは至上の幸福か、それとも――
※この作品は、小説家になろう他でも公開している重複投稿作品になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる