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第四章
33.気になって仕方ない怜
しおりを挟むーー翌朝。
場所はブラウンのタイルが敷き詰められている十二階建ての夏都のマンション。
怜は2人で話をする為に通学前にマンションの下で待ち伏せた。
エントランスのドアが開いて夏都が出てくると、ポケットに手を突っ込みながらすかさず傍に寄って声をかける。
「夏都! 昨日美那っちが家に来てなかった?」
「……どうしてお前がそれを?」
「昨晩ランニングでここを通りかかった時に美那っちがマンションから出てくる所を見たんだよ。どうしてお前んちに? ……ってか、おかしくない?」
「何がおかしいの?」
「付き合ってもないのにマンションから出てきてさ」
「そう? 昔はお前も出入りしてたよ。付き合ってなかったけど」
夏都は平然とした顔で冗談を言うと、怜は逆にそれが気にさわって声を荒げた。
「そーゆー事じゃなくてっっ! お前は一人暮らしだろ? 手作り弁当をもらったり、家に遊びに来たり。2人は一体どーゆー関係なんだよ」
怜は感情が爆発するあまり夏都の腕を掴んで自分の方へ向かせた。
ところが、夏都は眉ひとつ動かさずに答える。
「別に、普通に友達。それより、どうしてそんなに気になるの? 美那はお前の彼女でもないのに」
「……っ!」
「俺が仲良くしてたら何か不都合でも? それならもーっと仲良くしようかな」
「夏都~っ! お前っっ!」
クール表情を乱さない夏都に、真実を知りたい怜。
2人のやりとりは学校に到着するまでの20分間行われていた。
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