ポンコツヴァンパイアが貧血男子を好きになってもいいですか?

風音

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第三章

23.レクレーション係になった理由

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  ーーある日の放課後。
  レクレーション係は4人集まってファミレスへ向かった。
  ドリンクを置いたまま、先日配布されたばかりの校外学習のしおりを片手に話を進める。
  


夏都「レクレーション何時から?」

美那「えっとねぇ……、しおりには19時から1時間って書いてある」

紗彩「1時間しか枠がないなら準備も簡単なものがいいね」

怜「じゃあ、肝試しにしよ!  準備も簡単だし、手っ取り早く終わるし。……俺、お化け役やる~。ねっ、美那っちも一緒にやろ!」


美那「えっ!  私がお化け役に?  無理無理、そーゆーの苦手。裏方でいいよ」

怜「美那っちのお化け姿見てみたいよ~!  きっとかわいいんだろうなぁ~。俺、美那っちに驚かされたい」

紗彩「どうせ、どさくさに紛れて佐川さんに抱きつくつもりなんでしょ」


美那・怜・夏都「……」



  河合さんは相変わらず毒舌だ。

  すると、滝原くんは頬杖をついて資料を眺めたまま口を開いた。



夏都「初めて行く場所なのに暗闇の中の肝試しは危険じゃないかな。何かあった場合、対処出来るかどうか……。違う出し物の方がいいんじゃない」

怜「例えば?」


夏都「豪華景品を出したビンゴゲームとか」

怜「それ、クソつまんない」


夏都「……っ!  じゃあ、お前も一緒に考えろよ!」

怜「俺は肝試しって提案しただろ!  お前が嫌だって言うから話が徐行運転になるんだよ」

美那「まぁまぁ、ケンカしないで。多数決で決めればいいじゃん」

紗彩「多数決いいね」


夏都「わかった。平等にいこう」

美那「じゃあ、肝試しがいい人。手を挙げて~」



  多数決をとった私が一番先に手を挙げると、怜くんと河合さんも手を挙げた。
  唯一手を挙げなかったのは滝原くんだけ。



怜「多数決の結果、肝試しに決定ね!」

夏都「……」

紗彩「じゃあ、次は買い出しの日程決めないとね」

美那「買い出しは何処に行こうか」



  私は暗闇なら吸血のチャンスがあるかもしれないと思いながら、話し合いに積極的に参加する。
  ドリンクバーのドリンクを何度も入れ直して1時間半ほど話し合った後、店の前で解散した。

  私は怜くんと一緒に帰る事になって、入学当初から気になっていた事を聞いた。



「怜くんと滝原くんって、もしかして犬猿の仲なの?  今日もケンカっぽくなってたし」

「……実はさ、中一の三学期あたりから急にあいつに避けられだして。同じサッカー部に入ってたんだけど、あいつ中二の夏に辞めちゃったから、避けられてる理由もわからないまま」


「えっ……」

「あいつが避ける理由を言ってくれれば対処出来ると思うんだけど、何も言ってくれないから未だに解決してなくて」


「滝原くんは衝突を避けたいのかな」

「それもわかんない。人の心の中は目に見えないからね……。でも、多分原因は俺にある」


「それなのにどうしてレク係を?」

「……鈍感」


「えっ?」

「その話はまた今度ね。……あっ、そうだ!  土曜日に学校で他校とのサッカーの試合があるから時間があったら見に来て。実は俺、レギュラーに選出されたんだ」


「うそぉ!  一年生でレギュラーなんて凄い!」

「美那っちにカッコイイところ見せてあげる!」


「あはは……。私だけじゃなくてみんなに見せてよ~。土曜日は予定がないから澪を誘って見にいくね!」

「待ってる。俺のスーパートリプルプレイを見せたる。絶対惚れるからな!」


「そのスーパートリプルプレイが本物かどうかこの目で確かめに行くね!」



  怜は美那の笑顔を目に焼き付けると無邪気に笑った。
  一方の美那は、そんな気持ちなど知らないままに……。

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