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第九章
243.八つ当たり
しおりを挟む人生で初めて男にフラれて地獄の果てを経験して一晩中泣き尽くしたこの私が頑張って職場に来ているのに、熱々の恋愛話で笑わせようとでもしてるの?
それとも、ここぞとばかりにケンカを売ってんのかな。
コンビニで働き始めてから一通り仕事も覚えたし、無断欠勤なんて一度もしていないし、金曜日は無理を言ってシフトを交代してもらったけど、それ以上の迷惑はかけてないつもり。
それなのに。
それなのに……。
こんな仕打ち酷すぎるよ。
人生で二人目の彼女が出来て気分が天国まで舞い上がってるようなその惚気話。
……私には全っ然笑えないんだけど。
幸せタンクが今にも溢れ返りそうな山田に対して苛立ちが隠せなくなった途端、我慢が限界を迎えた。
「そんなクダらない浮かれ話ばかりしてないで、黙って手ぇ動かしな」
「えっ……」
「給料もらって働いてる立場なんだからサボらないでくれる? しかも、さっきから荷捌きしろって言ってんのに聞こえなかった?」
レジに背中を向けたまま別人のように低い声でそう言うと、山田は怖くて思わず身体が硬直した。
「あっ、ハイ。すいません……。今すぐやりますから。(僕の方が先輩なのに)」
「しかも、あんたのアドバイスを受け取った後から、私の恋愛の何もかもが上手くいかなくなったんだからね。半分はあんたのせいだからね」
山田はとんだ飛び火を食うと、怖くなって口にチャックをしながら冷凍品の入っているダンボールを開けた。
一方、怒りが冷め止まぬ和葉も震えた指先のまま、黙っておにぎりを冷蔵棚に陳列した。
はぁ……。
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