LOVE HUNTER

風音

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第六章

167.失ったチャンス

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  ガーーーーーン!!
  週末の予定は白菜の収穫作業じゃなくて、拓真との初デートだった。

  一ヶ月前からあんなに待ちわびていたのに……。
  しかも、お試しの農作業をしたあの日に拓真とデートが出来ると思って浮かれながらスケジュールアプリに入力した事を覚えている。



  その間、いろんな出来事や障害があったし、最近は他の事で気を取られてしまったせいか、こんなに重要かつ大事な予定を忘れてしまっていた。




  くうぅ……。
  デートの日の為だけに、計六回も農作業を頑張ってきたのに、デートの日を目前にして忘れてしまうなんて……。
  私ったら、バカバカバカーーーー!



  和葉は失言を悔やむあまりに、心の中が酷く荒れた。



「ま、お前がそこまで言うなら仕方ない。白菜を収穫するしかないな」

「へっ!!」



  意地悪は加速していく一方。
  非常に残念だけど、結局拓真はデートをする気が更々ないと気付かされた。

  ひょっとしたら、これが本来の狙いだったかもしれない。
  たった一度ぽっきりのデートの交換条件として、五回も農作業するなんてあり得ないでしょ。
  農作業がサボれないから、デートは出来ないと知らしめるつもりだったのかも。



  キーン コーン カーン コーン


  拓真に反論する前にチャイムが鳴った。

  チャイムはいつもタイミングが悪い。
  知らない組織の誰かが私を何処かで観察していて、拓真との仲を引き裂く為にわざとチャイムを鳴らしてるのかもしれない。


  しかも、チャイムが鳴った途端、拓真は身体を起こして「じゃ、また」と言って、そそくさと教室へ戻って行ってしまった。



「ああっ……。待って……拓真」



  半べそ状態のまま小さくなっていく背中に伝えてみたが、拓真は当然振り返らない。





  私はLOVE HUNTER

  狙った獲物は逃さない私が、あれだけ楽しみにしていた拓真との初デートを痛恨のミスによって白菜の収穫作業と引き換えになってしまった。
  習慣とは怖いものだ。

  次回のデートのチャンスは、一体いつ訪れるのだろうか。

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