LOVE HUNTER

風音

文字の大きさ
上 下
157 / 340
第六章

157.強引な男

しおりを挟む



  バイト先が決まった日の、翌日の朝。
  他の生徒に紛れながら校門を過ぎると……。



「こんにちは、一ノ瀬さん」



  校内で一度も見た事もない男子生徒が、横からヒョイと現れてナンパ口調で声をかけてきた。
  少し馴れ馴れしい態度に思わず足が止まる。



  笑顔で近付いてきた男の特徴は、ブラウンの髪で後ろで髪を一つに束ねているけど、多分肩くらいの長さ。
  アイブロウで書き整えた眉が印象的で、目がキリッとしたそこそこのイケメンだ。

  拓真がイケメンレベルの5段階のうちのMAXの5とするなら、彼は4。
  拓真ほど好みじゃないけど、個性があってまた違った持ち味がある。




  名前を呼ばれた瞬間、知り合いかと思った。
  だけど、思考回路を巡らせても知り合った記憶がない。



「どうして私の名前を知ってるの?」

「ね、君に話があるからちょっと一緒に来て。大事な話なの」


「えっ……えっ……?」



  彼は知り合いでもないのに、私の手首を掴んでいきなり校舎へと走り出した。
  有無を言わせない強引な態度で何故か一緒に走らされる事に。



  え……。
  何この人。
  まだうんともすんとも言ってないのに話を聞かせようとしてるの?



  和葉はNOと言う以前に手首を掴まれて、出会ったばかりの知らない男と一緒に人混みの中をかき分けて走らされている。



「ちょっ……、何?  あなた誰?」

「いいから。君が素直に言う事を聞いてくれれば、すぐに話は終わるよ」



  男はそう言うと、校舎の端に設置されている外へと続く非常階段の扉を開けた。
  和葉は一緒に階段を一段一段上らされている。
  自分の意思で上ってる訳じゃないから、次に進ませる足がなまりのようだ。



  和葉は見知らぬ男と二人きりで走っている姿が拓真に見られていないかがとても気になって、手を引かれながらもキョロキョロと周りを確認していた。



「とうちゃ~く!」



  男はワントーン高い声でそう言うと、ようやく手を離した。


  場所は非常階段の2階の踊り場。
  この場所は、階段のすぐ向かいに大木が生えているので、外からも校舎からも目が行き届かない死角となっている場所。

  手首を解放されたばかりの和葉は呆れた目で深いため息をつく。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~ その後

菱沼あゆ
恋愛
その後のみんなの日記です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

俺は彼女に養われたい

のあはむら
恋愛
働かずに楽して生きる――それが主人公・桐崎霧の昔からの夢。幼い頃から貧しい家庭で育った霧は、「将来はお金持ちの女性と結婚してヒモになる」という不純極まりない目標を胸に抱いていた。だが、その夢を実現するためには、まず金持ちの女性と出会わなければならない。 そこで霧が目をつけたのは、大金持ちしか通えない超名門校「桜華院学園」。家庭の経済状況では到底通えないはずだったが、死に物狂いで勉強を重ね、特待生として入学を勝ち取った。 ところが、いざ入学してみるとそこはセレブだらけの異世界。性格のクセが強く一筋縄ではいかない相手ばかりだ。おまけに霧を敵視する女子も出現し、霧の前途は波乱だらけ! 「ヒモになるのも楽じゃない……!」 果たして桐崎はお金持ち女子と付き合い、夢のヒモライフを手に入れられるのか? ※他のサイトでも掲載しています。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...