LOVE HUNTER

風音

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第五章

141.既読

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  就寝支度を終えて部屋のベッドにゴロンと寝転ぶと、先ほど携帯番号を交換したばかりの拓真にSNSメッセージを送った。



《今日は助けてくれて本当にありがとう。おやすみ♡》



  きっと、往復4時間近くの道のりは長かったに違いない。
  あれから、無事に家に帰れたのかな。

  さっきは長距離電車がちょっと苦手そうだったから、帰りの電車に乗ってる姿を想像すると、ちょっと可笑しくなってフいた。




  番号交換をした時に返事はしないって言っていたから、返事は期待していない。
  それでも今日は重ねてお礼の言葉を伝えたかった。


  そう、確かにあの時は返事をしないって言っていたけど……。
  スマホを天井に向けて送信したLINEページを見つめていたら、既読の文字のポンッと表示された。

  私にはそれが拓真なりの返事だと思った。

  全然大した事じゃないのに、繋がり合ってるように思えて嬉しい。





  結局、カラオケ店のアルバイトは代わりの人を見つけて辞めた。

  拓真が心配してくれたから。


  クラブには遊びに行かない。

  翌日の農作業の時間に間に合わなくなって、拓真に迷惑がかかるから。


  他の男とは遊ばない。

  拓真以外の男に興味がなくなったから。


  爪は伸ばさない。
  髪は染め直さない。

  拓真と約束したから。





  ずっと探していた。
  真実の目で本当の自分を見抜いてくれる人を……。


  優しく見守ってくれる目も。
  心を救い出してくれた唇も。
  身を守ってくれた指先も。

  全部全部、拓真が好き。


  今まで想い苦しむような恋愛をした事がないから、どんな言葉や想いを重ねたら気持ちが伝わるのかわからないや。

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