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第五章
116.緊張のピーク
しおりを挟むうそおぉぉぉ……。
拓真の寝込みを襲うつもりが、まさか逆転するなんて。
普段なら絶っっっ対あり得ないのに。
……もしかして、寝ぼけてる?
それとも、さっきまでエッチな夢でも見ていたとか。
若しくは、私が服を脱がし始めたから野獣モードがスイッチオンになってしまったとか。
急に迫られても今の服装は唐草モンペのババファッション。
ムードの欠片もないけど、それ以前に心の準備が……。
まるで暴走を始めた機関銃のように、胸がバクバクいっている。
偶然にも喜ばしい展開に結び付いたのに、混乱しているせいか身体は硬直状態に。
「何がお望み?」
「えっ……、あのっ……」
「それとも、俺の好きなようにしていいの?」
と、拓真は稀に見るほどドSな一面を発揮。
今までに見せた事のないようなセクシーな眼差し。
力強く掴む手。
真っ正面から降りかかる息。
それが、あまりにも近くて強引だから窒息しそうなほど緊張している。
バックンバックン……
今にも心臓が胸を突き破りそう。
こんな展開なんて何度も経験してきたけど、今日の私は何か変。
まるで催眠術でもかけられてしまったかのように身体が動かない。
はだけた胸元からチラリと見える鍛えられた胸筋に触れたくても、頑丈に固定された手首はピクリとも動けない。
本当は野獣ちっくにグイグイ迫りたいのに。
拓真が寝ている間にリードしようと思っていたのに、いざ立場が逆転すると頭が真っ白に。
しかも、今の拓真はまるで別人のように攻め込んでくる。
ま、まさか……。
午前中に話した種蒔きの冗談を真に受けたのかな。
もしかして、今から本当に種蒔きを?
さっきは少しでも笑ってもらおうと思って軽い冗談を言っただけなのに。
和葉はこの先の展開を想像するだけで緊張がピークに達して、思わず喉が鳴ってしまうくらい勢いよく息を飲んだ。
見つめ合う瞳は外せない。
枕の上で両手首を押さえられている和葉は表情を強張らせていると、拓真の身体がゆっくりと下りて顔が徐々に接近してくる。
うそーーっ!
『俺の好きなようにしていいの?』って言ってたのは本気だったの?
下ネタ嫌いのカタブツくんが、これから私に……キキキ……キスを……?!
その後は……。
その後はっ!!
拓真の息が直接顔に触れると、妙にくすぐったく感じてしまい、思わず目をギュッと閉じた。
そこには、勝気でプライドの高い私はいない。
ベッドに上がった時点で覚悟は決めていたけど、いざ拓真が迫ってくると緊張はピークに。
拓真はスレスレまで身体を密着させて、和葉の耳元の2センチ手前まで顔を近付けると小さく囁いた。
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