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第五章
114.ラブチャンス
しおりを挟む昼食を終えてお婆さんと1時間以上談話していても、拓真は自分の部屋に閉じこもったまま居間に戻って来ない。
拓真、拗ねちゃったのかな。
うどんは食べ途中だったのに、戻って来ないから冷えちゃったよ。
お腹は満たされのかなぁ。
和葉は心配になって腰を上げた。
「お婆さん。私、拓真の様子を見てくるね」
「よろしくね」
和葉は居間を離れてから、階段を上って二階の拓真の部屋へと向かった。
コンコン…
部屋の扉に軽くノックをしても無反応。
「拓真~。部屋の中に居るんでしょ? 扉を開けるよ」
扉の外から問いかけても返事がないから、ドアノブを握って扉を開けた。
ガチャ……
部屋の中からは、拓真の独特な香りが漂って来た。
洗面所で着替える事になったから、この部屋に入るのは当分お預けになったかと思ったけど案外早く入れたな。
早速中に入ると、拓真はベッドに寝そべっている。
ベッドの脇に移動して穏やかな声で背中側から問いかけた。
「ねぇ、拓真。まだ怒ってるの?」
「……」
呼びかけに反応がない。
もしかして、ふて寝しちゃったのかな?
でも、念の為にもう一度呼んだ。
「ねぇねぇ。寝ちゃったの?」
やっぱり無反応。
横になっている身体を手前に倒すと、拓真は目を閉じて寝息を立てていた。
午前中の農作業で結構疲れていたし、不機嫌な状態で寝そべっているうちに眠っちゃったのかな。
でも、もしかしたら……。
これはラブチャンスなのでは?
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拓真が寝ているという事は、ひょっとしたら私の思惑通りの時間が訪れたのかもしれない。
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