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第四章
98.急増したライバル
しおりを挟む不意に壊してしまったメガネの件は悪いと思いつつも、その反面素顔が見放題になった。
……そう、あんなに切実に願っていた事が叶って、本当に本当に嬉しいんだけど。
「弘崎くん、因数分解がよく分からないから教えてくれない?」
「いいよ。えーっと、これは……」
「ねぇ、弘崎くん。私はこの英文の翻訳がわからないんだけど聞いてもいい?」
「どこがわかんないの? 見せて」
そのお陰でライバルが激増した。
つい先日、休み時間の度にウロつくなと釘を刺されたばかりだけど、懲りずに会いに来てしまった。
扉の奥から遠目で中を覗き見すると、メスどもがノートや教科書を持って拓真の周りにわんさか群がっている。
浅はかだった。
自らの失態により0人だったはずのライバルは両手で数えきれないほど。
拓真との恋は更に苦戦を強いられる事に。
身を潜めながら群がるメスどもを一人一人目でなぞっていくと、自分と同じくハンターの目をしている。
そうとも知らない拓真はバカ正直に質問に答えている。
だから、その光景が余計憎くて仕方ない。
拓真、お願い気付いて。
あんたを取り囲んでいるメスどもは、勉強するフリをしてるだけで話を聞いちゃいないよ。
その上、性根腐ってるし、気を引く為にぶりっ子をして存在感をアピールしてるだけ。
普段私にしているように、無視したり放ったらかしていいの。
デレは無駄だし要らないのよ。
ピンチな時に限って接近禁止の身。
本当は、今すぐに輪の中に乱入してメスどもをひっぺがしてやりたい。
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