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第四章
89.プレゼント
しおりを挟む今日は待ちに待った、二回目の農作業の日。
そして、拓真と長時間一緒に過ごせる日でもある。
髪はこれ以上お婆さんにいじられないように後ろでゆる結びに。
服装も白いTシャツ、スキニーデニムに、赤いスニーカーと、普段よりは地味目のスタイル。
マニキュアを落としてきたから爪もOK!
でも、メイクと付けまつげはいつも通りに可愛くバッチリ。
ちなみに昨日はバイト先から直帰したから、先週みたいに二日酔いじゃない。
気合い十分
準備万端
超絶美人の笑顔の準備はオッケー!
長時間電車に揺られている間は寝過ごさないようにアラームをセットしてから、目を閉じて軽く仮眠をとった。
車内で仮眠をとった理由は、我が身を守る為。
お昼寝悲劇は軽くトラウマになった。
拓真が狼のように迫ってくるようなラブハプニングならいいんだけど、先週は座敷童子に変身させられてしまったから、昼寝に関しては非常に警戒心が強い。
今日は可能な限り隙を見せないつもりでいる。
駅から5分歩いて拓真家に到着すると、玄関まで出迎えたお婆さんに呼ばれて、そのままお婆さんの部屋へ通された。
お婆さんの部屋は、古めかしい木製タンスと、小さな鏡台と、籐の椅子に囲まれている。
正面に正座しているお婆さんに合わせて、自分も足を組み直して慣れない正座をした。
前回、勝手に金髪が奪われた事もあって、若干警戒している。
畳の香りが漂う二人きりの部屋で、先に口を開いたのはお婆さんの方。
「お名前は和葉ちゃんと伺ってるけど、合ってるかしら?」
「あ、はい。一ノ瀬 和葉です」
「畑のお手伝いどうもありがとう。こんな若いお嬢さんに畑のお手伝いしてもらう事になるなんて、悪いわね」
「……まだ、全然大した事はしてないけど」
視線を床に落とした和葉の語尾は細々と消えて行く。
その理由は、お婆さんの顔を見た途端、座敷童子ヘアーになった時の自分の姿がフラッシュバックしてしまったから。
「農作業のお礼と言ってはなんだけど、和葉ちゃんの力になるかなと思って、今日はこれをプレゼントをする事にしたの。早速使ってくれるかしら?」
「……え、この私にプレゼント?」
お婆さんは真横に置いている唐草模様の風呂敷を和葉の前にスッと差し出した。
和葉は正座しているお尻を浮かせて、両手で風呂敷を受け取る。
ところが、心がひねくれてるせいもあって、急遽受け取ったプレゼントに少し戸惑う。
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