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第二章
58.LOVE HUNTERになった理由
しおりを挟む拓真家が所有する畑で農作業を終えてから電車を乗り継いで帰宅し、いつも通り自宅のインターフォンを押すと……。
ガチャ……
「お帰り、和葉ちゃん」
明るい玄関から今日もいつも通り暖かい笑顔で出迎えてくれた。
「おじさん、ただいま。ちょっと遅くなっちゃった。……お母さんは?」
「仕事に行ったよ。今日の夕飯はお手製のハンバーグだよ。先に手を洗っておいで」
「はぁ~い」
母親のように出迎えてくれた人は、四人目の父親で、三ヶ月前に家族になったばかり。
彼は小柄で少しぽっちゃり体型。
性格は穏やかで家庭的な人。
笑顔になると目尻が垂れ下がる。
職業は、ごく普通のサラリーマン。
母親よりも一回り年上の大人の男性。
聞くところによるとバツイチだそう。
母とは、祖母が営むキャバクラで知り合ったとか。
「ハンバーグの付け合わせの汁物は今日もお味噌汁?」
「正解! 和葉ちゃんには家庭の味を伝えてあげたくてね」
彼は放任主義の母に代わって身の回りの世話をしてくれる。
朝晩の食事に加え、お昼のお弁当の準備まで。
彼は母子家庭で育った心情を察してくれるのか、若しくは彼自身が離婚を経験してきたせいか、本物の家族のような温かみを与えてくれる人。
ちなみに母親の年齢は34歳。
私の年齢の時に出産した。
同級生の母親と比較しても圧倒的に若い。
その上、すらりと長身で美人。
友達か姉妹に間違われるせいか、二人で街を歩くとよくナンパされる。
若くて美人で自慢のお母さんかって?
ううん、それは違う。
どちらかと言えば、最低最悪な方。
私がLOVE HUNTERになってしまったのは、自由奔放な母親が影響している。
夜はキャバクラ勤務。
昼間は家で寝てるか、男に夢中になってるか、ショッピングに出掛けるかのどれかだった。
放置教育をされた結果、私はいつしか愛の知らない子に。
でも、唯一の肉親だから生きてるだけでも感謝してる。
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