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第二章
44.好みの香り
しおりを挟む制服を脱いでから、手渡された四点セットを言われるがまま身に付けてみた。
体重41キロの細身の私には、ベージュの花柄のシャツと紺色のストライプのモンペは、上下ともブカブカ。
タンス横のスタンドミラーに姿を映し出してみたけど……。
青春真っ盛りな女子高生とは程遠い。
簡潔に言い表すと…。
『ババア』だ。
こんなど田舎まで連れて来られた挙句に、ババア衣装を言われるがまま身に纏ってしまうなんて……。
こんな自分は心底から馬鹿馬鹿しいと思っているけど……。
ま、私はスタイル抜群だし文句の付け所がないくらい美人だから、何着てもキマってるでしょう。
自慢のEカップの胸が、ババくさい花柄シャツで隠れちゃうのが残念。
プライドが高い和葉は、鏡の前で軽く髪をかきあげてポージングして開き直るほか、自分を慰める方法が見つからない。
いま気付いたけど、この部屋すごく個性的な香りがする。
とってもいい匂い。
でも、一体何処から香ってくるのだろう。
こっちかなぁ。
クンクン……
和葉は鼻を犬のようにピクピクさせながら足を進ませ、部屋中の匂いを嗅ぎまわった。
暫く探った後、香りの元に辿り着いて足を止めた。
その場所は、紺色のベッドカバーが被さっているシングルベッド。
ベッドにヌッと顔を近づけて、間近で匂いを嗅いでみると、やっぱり気になる香りの元はベッドと判明。
鼻を掃除機のように布団に密着させ、思いっきり香りを吸い込む。
あっ、コレだコレ!
ん~、好みの男の香りがする。
あー、どうしよ。
この香りが最高に好きでたまんなぁい。
和葉は香りに酔いしれて興奮すると、思わず布団に両手を添えて頬ずりをした。
もう二度とこんな機会は訪れないかもしれないし、この香りを全身に包み込みたいなぁ。
奴は私が着替えてると思ってるから、当分部屋には入って来ないだろうし、今ならこの香りを存分に楽しむチャンスかも。
我を忘れ欲求が我慢出来ずに、不敵な笑いが漏れて肩が震えた。
そして、行儀悪く右足をベッドにかけて、少しずつ躙り寄るようにベッドの上へとよじ昇った。
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