LOVE HUNTER

風音

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第二章

42.奴の部屋

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  ここは、奴の部屋?

  ブラウンのカーペット。
  右側にはナチュラルブラウンの机。
  その隣は本棚。
  奥は背の低いタンス。
  向かい側には紺色のベッドカバーが被さっているベッド。

  男の部屋に入るのはかれこれ一カ月ぶりの事。



  和葉は落ち着きがなくなり辺りをキョロキョロと見回すと、背の低いタンスの上にいくつかの写真が飾ってある。



  まだ奴についてよく知らない。
  今わかっているのは、クラスと見たまんまの姿形と、ツンデレで意地悪な性格と、暮らしてる家のみ。
  もっと知らなければ交際まで発展しない。

だから、情報源になりそうな写真立てを手に取った。



  ここは拓真の部屋だと思ったけど、写真に写っているのは年下の子?

  もしかして弟かな。
  だとしたら、ここは弟の部屋?
  写真の子はまだあどけない感じが残ってるから、中学生くらいかな。

  顔は拓真そっくりだけど、タイプが全く違う。
  多分拓真じゃない。



  だって、写真に写ってる人達はみんな派手なバイクにまたがっていて、お揃いの特攻服を着ているから。



  写真立てをタンスの上に戻すと、ガチャっと扉が開く音が耳に飛び込み、思わず背筋がピンと伸びる。

  心臓は異常なくらい大きな伸縮運動を繰り返して、額から冷や汗が滝のように一斉に溢れ出した。



  ……ついに、時は来た。
  私は今から奴のモノになる。
  抱かれると想像するだけで胸がドキドキする。

  筋肉質で逞しい腕の中に包み込まれる日が、想像以上に早く訪れるなんて……。


  素直に受け入れた方がいいかな。
  それとも、今回はじらして付き合えるかどうか様子を見た方がいいのかな。


  賭け金三万円の境界線がわからないよ。



  拓真は身体が硬直している和葉の前に立ち、スポーツ洋品店の店名が書かれている白いビニール袋を右手で目の前に差し出した。



「今すぐこれに着替えて」



  拓真はピンと張りめぐらせたロープのように真っ直ぐに見つめて偉そうに言った。



  これに着替えろという事は、奴が持ってるビニール袋の中に入ってるのは恐らく何らかの衣装だと思われる。

  そう思った瞬間、サーっと血の気が引いた。

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