37 / 340
第二章
37.SBO
しおりを挟むそれにしても……。
年下のお子ちゃまのクセに、お姉様の私に向かって生意気な口を叩くなんて許せない。
日焼け止めクリームのパッケージにSPFとか印字されてるのは知ってるけど、それとは無関係かな。
奴が私に感じているSBOって何だろう。
S……エス……。
ひょっとして、スレンダーの略かな?
そうそう、いい調子!
何となく答えが見えてきたかも。
難題に思考を巡らせながらボーッと一点を見つめて考え込んだ和葉だったが、案外早く一つの答えが導き出された。
和葉は答えに辿り着いたと同時にハッと目を見開いて、左へ座る拓真へと目線を向けた。
もしかして、鋭い勘が当たっていれば……。
ふっ……ふふふふ。
やっだぁ、拓真ったら。
いつも私の事をそんな風に見ていたの?
恥ずかしくて素直に口に出せないから、わざと遠回しにわかりにくいように省略したの?
何だかんだ言っても超絶美人の私に気があるのね。
全校生徒の前で興味ないって言ったのは、恥じらいを隠す為?
本当に興味がなければ、わざわざ全校集会をサボってまでフった相手のところに会いに来ないよね。
ふーん。
最初は年下って生意気だと思ったけど、結構ウブでかわいいところがあるんだぁ。
奴隷のように懐いたら、もっと可愛いのかもしれない。
妄想に暴走を重ねて企み深く口元が緩んだ和葉は、この勝負が戦勝したと勘違いして沸き立つ笑いで肩が揺れた。
和葉は手ぐしでセクシーに前髪をかき分けて、照れ臭く口を開いた。
「えへへ。……そっかぁ、お姉さんちょっと参ったなぁ」
「何故笑ってる」
睨みを効かせる拓真からは何故か言葉の温かみを感じない。
多分、これが彼なりの照れ隠しだろうと思い、気分良く話を続けた。
「だって、その答えがわかっちゃったんだもん」
「じゃあ、答えろ」
「SBOとは S=スレンダー B=美人 O=お色気満載 の略でしょ。もう、素直じゃないんだからぁ。あ、B=美ボディだったかなぁ。スレンダー美ボディでお色気満載? それだと美人が抜けちゃうかぁ」
「……お前の頭ん中はお花畑だな。勝手にそう思ってろ」
「え、違うの? じゃあ、答えは何よ」
「【最高にバカでオカシイ】の略に決まってるだろ。それ以外ないだろ」
「……っ!!」
和葉はとんだ意地悪に沸々と込み上げた怒りに収拾がつかなくなり、唇を強く噛み締めた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?
おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。
『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』
※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる