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第二章
35.付き合いたい理由
しおりを挟む正直なところ、急に現れても気持ちが追いつかない。
頭の中が混乱してるし、まだ心の準備が……。
モテ経験しか積んで来なかったせいか、フラれた直後はどんな表情をして相手に会えばいいかわからないし、まさかこんなすぐに顔を合わせるなんて思ってもいなかった。
しかも、奴が自身の意思で初めて私のところに会いに来たのに、どう反応したらいいかわからない。
和葉が目を赤く腫らしながら黙り込んでいると、拓真はブスッっとした表情のまま腕組んでソッポを向いた。
「ばーか。あんなにド派手な事をやらかすなよ。猛烈に飛び火を食らっただろ」
「……ごめん、迷惑だった?」
「当たり前だろ。……って言うか、誰がどう見ても迷惑行為だろ」
拓真は和葉に目線を戻すと、一つため息をついた後に困り果てた顔を向けた。
そもそも、最初から聞く耳を持ってくれれば、ここまで最悪な事態には至らなかった。
奴が意地悪さえ言わなければムキにならずに済んだのに……。
確かに、自分に非があったかもしれないけど、出会ってすぐに結果を求めてた訳じゃない。
ここ二週間は僅かな時間さえも犠牲にして地道に頑張ってきた。
努力の経過も見て欲しかったのに。
「だって、私がどんなに頑張っても拓真は見向きもしてくれないじゃん……。だから、聞く耳を持ってくれる方法を考えただけ。そしたら、意識が向いてくれるんじゃないかと思って」
「……ったく。全校生徒の前で告白はないだろ。迷惑かけるなって昨日忠告したばかりなのに」
「振り向いてもらうのに必死だったから、一方的な忠告なんて忘れた」
「俺の悲痛な叫びをあっさり忘れんなよ」
「だって、だって……」
「でも、すげぇ根性。お前さ、そんなに自分に自信あるの?」
「なっ……」
「どうしてそこまでして俺と付き合いたいの? まだ、理由を聞いてないけど」
拓真は腕を組んでマジマジと顔を近付けた。
昨日は『俺とお前の距離は3メートル以上だ』と言いきっていたのに、今は40センチ内まで距離を縮めている。
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