22 / 340
第一章
22.急展開
しおりを挟む拓真の教室に定期的に姿を現わすようになった和葉は、すっかりこのクラスの常連者に。
上履きの学年カラー色が違う和葉が教室に入り浸っても、誰も何も驚かない。
拓真が教室に居れば目の色を変えて近付き。
不在時は追跡する為に、まるで探偵のように他の生徒に聞き取り調査。
きっとこのクラスの生徒達には、自分は拓真の追っかけ的存在なんじゃないかと思われているに違いない。
まだ口すら利いてもらえず苦味を噛み締めながらも、毎日健気にアピールを続けているから一途と言えば一途かもしれない。
だが、強いて言うならお金に一途。
好きなのはメガネくんじゃない。
まだまだ二万円をゲットする前段階であり、先にメガネくんの心をゲットしなければならないだけ。
しかし、それが超最難関だから苦戦を強いられている。
ところが、メガネくんを追いかけているうちに、意中の異性の心を射止めるのには労力が必要だと知った。
毎日顔を合わせていても平行線な勝負が続くが故に、お互いのストレスは溜まっていく一方。
つい二週間前まで赤の他人同士だったが、 日常的に隣で過ごした和葉は拓真の顔のほくろの位置まで覚えるようになり、拓真は和葉が10メートル先にいても声に反応するように。
ーーしかし、そんなある日。
事態は急展開を迎える事に。
「拓真ぁ、お願い。和葉と一度だけでもいいからデートしてよぉ。こんなに毎日必死にお願いしてるでしょ。……ね、1時間でいいから」
人通りの少ない学校階段で無視をし続ける拓真の腕を後ろからグイグイ引いた和葉は、いつも通りデートの約束にこぎつくようにお願いしていた。
すると、突然拓真は歯をむき出しにして鬼の形相を向ける。
「もういい加減にしろ!」
ワナワナと身を震わせながら和葉の手を乱雑に振りほどくと、ギロッと睨みつけた。
二週間前に下駄箱で『俺たち、一度会った事ありましたっけ?』と、衝撃的に冷たくあしらわれてしまったあの日から、拓真は初めて口を開いた。
和葉は反応があったことに驚いて目を見開く。
今まではどんなに苦労しても一人相撲だったが、反応があったこの瞬間は二週間努力を重ねた成果とも言える。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる