LOVE HUNTER

風音

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第一章

12.ツマラナイ書類

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  和葉は不機嫌な足どりで先ほど持ち出した書類を手に職員室のスガオのところまで返却に行った。



「これ、返す。もう要らない」



  事務仕事をしているスガオは真横からブスっとした表情のまま現れた和葉から、先ほどの書類を目の前に突き出された。

  ちなみに和葉が返しに来たその書類とは、午後に使用する予定の会議資料で、スガオが前日夜10時まで残業して仕上げたもの。


  書類内容の一部は、二月に予定している遠足の提案書が含まれていた。
  つまり、二年生に遠足を楽しんでもらう為に、行き先をあれこれ調べ上げて、悩みに悩んだ挙句に作成した大事な書類だった。


  万が一、書類が手元に戻って来なければ、もう一度最初から印刷をし直して、全てホチキス止めをしなければならないなと思って、焦っていたところだった。



「おぉ、一ノ瀬。さっきは書類を持ち出してどこへ行ったかと思ったよ。ちゃんと返しに来てくれたんだな。偉いぞ」



  しかし、心がひねくれ中の和葉にとってスガオの笑顔は、何故か先ほどのみっともない自分の姿が笑われてるように思えてしまい、不機嫌により一層拍車がかかる。



「これ、平凡でツマラナイ書類だから」

「え……?  何の事……」
「興味ない」


「一ノ瀬、興味ない……って……」
「私、こんな平凡でツマンナイ書類なんて興味ないから」



  これは、先ほど拓真から伝えられたばかりの言葉のほぼパクリ。
  和葉にとって拓真の言葉は、忘れもしないほど嫌みたらしかったから。


  当然、自己中な和葉はこれがバチ当たりだとは思っていない。
  和葉はスガオにはっきりそう伝えた後、尖らせた口のままプイッと顔を背けて、職員室を出て行った。





  一方、その場に残されたスガオは、まだ職員に披露していない書類を和葉が先に目を通してしまったのたかと思い焦っていた。

  その上、和葉の心無いひと言により、一週間前から構想を練っていた二年生の遠足の行き先が、平凡でツマラナイと言われてしまったかと思い込みショックを受けた。

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