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最終章
117.不機嫌な右京
しおりを挟む沙耶香の家から車で送迎してもらった颯斗と沙耶香。
アパート付近で車から降りて、左京、右京、菅達と向かい合わせになったところで颯斗は口を開いた。
「右京さん、左京さん、運転手さん。結婚式の時は力を貸してくれてありがとうございました。……なんか、俺のせいで皆さんに業務停止を食らわせちゃったみたいで……」
菅「いいんですよ。お嬢様が幸せになってくれるのが我々の願いですから」
左京「大切なお嬢様をあんなロクデナシ男には渡せません。これからはお嬢様をよろしくお願いします」
菅と左京は快い返事をしたが、隣にいる右京は何故か機嫌が悪い。
サングラスの下から睨み上げる表情。
颯斗は目があった途端、まるで蛇に睨まれた蛙のように背筋が凍りついた。
右京「うぐぐぐ……」
颯斗「えっ! なっ……、なんだなんだ。何で怒ってるんですか?」
結婚式の時は自宅まで迎えに来てくれるなど協力的な姿勢を見せていたから、てっきり左京さん達と同様温厚な返事を期待していたのに、どうして怒っているのか……。
颯斗が動揺していると、右京は左ポケットに手を入れて銀色の何かを光らせた。
それは、一ヶ月前に見たある物と同じ。
胸の内ポケットから怪しく光る銀色の物体。
確か、その物体を初めて見たのは一ヶ月前。
コンビニに現れた日に沙耶香の事を覚えてないと言った瞬間だった。
以前、左京さんは小声で言っていた。
右京さんは沙耶香に恋心を寄せていると。
つまり、俺が恋人になったからヤキモチを妬いて怒ってるのではないかと思った。
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