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最終章
111.久しぶりの彼
しおりを挟むオーナー「瞬がこんなに情けなくても私の大切な孫には変わりない。沙耶香ちゃんのような素敵な女性を嫁に迎えられなくなるのは残念だが、瞬の結婚は時期尚早だったようだ。……そこで、黒崎さん」
黒崎父「はい!」
オーナー「この結婚は白紙に戻して頂けませんか?」
黒崎父「えっ…」
瞬「じいちゃん!」
田所父「お父様!」
沙耶香「オーナー……」
オーナー「安心して下さい。業務提携の件は従来通り進めさせていただきます。瞬が多大なご迷惑をおかけしたお詫びをさせて頂きたい」
黒崎父「お詫びだなんて、そんな……。ありがとうございます」
オーナー「それと、私が大切にしている人から大事な話がある。……来なさい」
オーナーがそう言って合図を送ると、縁側の向こうからホテルで監禁していたはずの颯斗が別れたあの日のままの姿で現れた。
沙耶香は三日ぶりに会えた颯斗の姿を見たと同時に感極まって思わず涙を滲ませた。
颯斗はオーナーの隣に座ると、深々と皆に土下座する。
颯斗「この度は、大変なご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございませんでした」
瞬「てめぇ!」
オーナー「瞬!」
オーナーは、腰を半分上げて突っかかろうとしていた瞬にピシャリと喝を入れた。
瞬は今回の挙式妨害によって自身の評判がガタ落ちしてしまったのだから、怒るのも無理はない。
オーナー「彼が直接謝罪したいという事でここに連れて来た。皆にとっては許せない気持ちでいっぱいかもしれないが、彼は沙耶香ちゃんの命の恩人。……それに加えて、心豊かで愛情を持ってお客様に接客出来る私の大切な仲間。左手の傷跡は沙耶香ちゃんを全力で守り抜いた証。今回の件は、私に免じて許してやってくれないか」
オーナーはそう言うと、姿勢を正して皆に頭を下げた。
映像を見た直後の甲斐あって、誰一人反論する者はいない。
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