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第九章
104.大切な仲間
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颯斗が右手で勢いよく扉を開けると、そこには従業員二名を引き止めてる右京の姿が。
右京は二人の姿が視界に捉えるなり大声で叫んだ。
「んごー! (行けー!)」
颯斗達は右京の合図でお互いの顔を見合わせてウンと頷くと、右京の横を駆け抜けていく。
だが、ホテル側からトラブルの一報を受けた別の従業員が正面から二名やって来た。
チャペルはホテルの中庭に位置していて、柵に囲まれた敷地内にある為、ホテル内を通過する以外逃げ道はない。
迫り来る従業員に観念しようと思った、次の瞬間。
従業員の背後から左京と菅が現れて、従業員の腕を引いて行く手を阻んだ。
颯斗と沙耶香は思わぬ助っ人の登場に目を驚かせる。
左京「お嬢様、颯斗様、ここは我々にお任せ下さい。さぁ、今のうちに……」
菅「我々はお嬢様の幸せを一番に願っています」
沙耶香は颯斗に手を引かれながらも、従業員を懸命に引き止めている二人の顔をしっかり目に焼きつかせていた。
「ありがとう。右京、左京、菅……」
颯斗との幸せを願って協力し合う三人に感激するあまり、じわじわと込み上げてくる涙が止まらない。
二人はようやくホテル内に足を踏み入れるが、ロビーで待機していた黒服のスーツ姿の男二人が現れたと同時に駆け寄ってきた。
「サヤ、こっちだ」
「はっ、はい!」
颯斗は反応するなり左側へ足を進ませて、エレベーターのボタンを連打。
すぐに扉は開かれたが、エレベーター内には別の側近らしきスーツ姿の男性二人が乗っている。
もう、ダメだ……。
逃げきるのはここまでが限界かと諦めかかった、次の瞬間。
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