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第二章

19.猛アタック

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「悪いけど、もう話す気はないから」



  颯斗は不機嫌にレジカウンターから出ると、沙耶香の手首を掴んで店の外へ。
  背後のサングラスの男達も沙耶香の後を追って店を出て行く。



  俺は再びレジに戻り、天井を見上げてふぅと声が漏れるくらい深いため息をついた。



  なんだよあいつ。
いきなり300万円を差し出してきて、一ヶ月間だけ契約彼氏になってくれだなんて。
  常識ってもんを知らないのかよ。




  でも……。
女の子から好きだと言われたのは久しぶりだった。

  しかも、メガネの奥は二重のまんまるの目で丸顔で薄ピンクのほっぺ。
見た目が女の子らしくてかわいい年下の子に好きと言われるなんて。


  あの子は眉一つすら動かさずに終始無表情だったけど、本当は猛アタックに弱かったりもした。




  颯斗に店を追い出された三人は駐車場に停めているリムジンに乗り込んだ。
  車中で待機していた菅は後部座席へと振り返る。



菅「お嬢様、これからどちらに向かわれますか?」

沙耶香「いつものホテルに向かって下さい。誰に何を言われても自宅には戻りませんから。明日またチャレンジしてみます」


菅「かしこまりました」

右京「うっぐっぐっ……(あいつめ)」



  沙耶香の泣きそうな表情を助手席から振り返って見ていた左京は心配するあまりに口を挟んだ。



左京「お嬢様。今回を機に諦めましょう。彼とは暮らしっぷりが雲泥の差です」

沙耶香「いえ、絶対に諦めません。颯斗さんと一ヶ月間の恋人契約を結ぶって心に決めたんです」


右京「ふぬっふんぐっ…、うんぐっ…。(どうしてそんなに彼に拘るんですか?  ご主人様に謝って自宅に戻りましょう)」

沙耶香「それだけは嫌。沙耶香は決心したんです。だから、右京も左京も沙耶香に口を挟まないで下さい」



  沙耶香から揺るぎない決意が届くと、右京と左京は心配そうに互いの目を見合わせた。



  二人の本音は反対だった。
二週間ほど毎日3分間の恋を見守っていたとは言えども、沙耶香が傷付く姿を見たくなかったから。



左京「分かりました。それなら明日、彼の私生活を見に行きましょう」



  颯斗の情報リサーチ担当の左京は、無謀な挑戦に終止符を打たせる為に現実を見せる事にした。

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