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第二十四章
184.大学生になった私達
しおりを挟むーー卒業式から、1ヶ月半後。
新緑の隙間から眩しい光が差し込んで右手で日差しを遮る。
春の温かい日差しに包まれた通学路。
見慣れない景色に足を進めていく。
到着したのは彼が通う大学。
私達二人はそれぞれ志望していた大学で新しい学生生活をスタートさせていた。
蓮と離れ離れの大学は不安がつきもの。
時には大学までこっそり様子を見に行く事がある。
ちょうど今日はそんな気分の日だった。
大学は私服だから忍び込んでも全くバレない。
だから、今日も学生に紛れてキャンパスでキョロキョロと辺りを見回して女子の人集りを探す。
え……。
私が何故女子の人集りを探すかって?
それは、女子の人集りの中心に蓮がいる事が多いから。
蓮はまるで台風の目のような存在。
中心は穏やか。
だけど、周りは勢力的に渦を巻いている。
梓は挙動不審気味にキャンパス内をウロついていると、突然背後から誰かにガシッと肩を掴まれた。
「おい!」
「……えっ?」
梓はビックリしながら振り返ると、そこには仏頂面の蓮の姿が。
「お前……。また大学まで俺を探しに来たのかよ」
「だって、蓮が他の女に狙われてないか心配なんだもん」
「お前は自分が通う大学があるだろ」
「自分の大学に行っても蓮がいないし……」
「少しは我慢しろよ。学校が終わってから会えばいいだろ」
「だって、1分1秒でも早く蓮に会いたいから」
「まぁ、俺も早くお前に会いたかったけど……」
……と、言ってニカっと笑う彼の顔は今日も完璧。
だけど、中身はエロでバカで自分勝手でどうしようもない。
でも、私は今日もそんな彼に夢中だ。
3年前に始まりを迎えた私達の恋は、卒業式の日に再出発を迎えた。
変な告白を受け入れてもらった後は、度重なる障害ばかり。
浮気が原因で一度は喧嘩別れをしてしまったけど、離れている間に彼しかいないと実感していた。
最終的に私にはこの人しかいないから、もう二度と手を離さぬように、照れながら頭をかきむしってる彼の腕に手を絡めた。
……いや、ちょっとやそっとじゃ離れないくらい力を込めた。
お互いの心がもう二度と迷子にならないように……。
【完】
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