Re.start ~学校一イケメンの元彼が死に物狂いで復縁を迫ってきます~

風音

文字の大きさ
上 下
153 / 184
第二十一章

153.怒りが収まらない大和

しおりを挟む



  ーー梓が体育館の用具室で襲われそうになった日の、翌朝。



「ほら、梓に謝れよ!  昨日自分達が何したか覚えてるだろ。当然たっぷり反省したんだよな?」



  大和と奏は、昨日梓を用具室に監禁した主犯格の男三人と、梓を用具室へ行くように伝達した小山を人影のない体育館裏に並べて、梓の目の前にひざまずかせた。
  雨雲の隙間からパラパラと降り注ぐ小雨が、この場に集まる七人の身体に染み込んでいく。

  大和は奏にヘルプを頼んで一人も逃げ出さぬように男達を囲い込んでこの場へやって来た。


  男達は大和に逆らえないが、謝罪をする様子もない。
  まるで自分達には無関係のように目線を合わせず沈黙を続けている。
  だが、大和も黙っちゃいない。



「あっ、そう。謝る気がないなら……、誰から片付けていこっかな。……まぁ、誰が先でもいっか。どうせ一人残らず地獄行きにしてやるつもりだし」



  大和は挑発的な態度で指の関節をボキボキ鳴らしながら、男達を上目遣いで睨みつける。
  隣にいる私まで震え上がってしまうほど、昨日に劣らず憤慨している。
  すると、奏が横から軽い口調で言った。



「ねぇねぇ、君達早く謝った方がいいよ~。大和はキックボクシングの県大会三位の実力者だから。四人同時にかかってきても負けないからねぇ」

「文句があるならいつでもかかってこい。顔が変形するくらいボッコボコにしてやるから」

「ちょっ……。奏、大和。そこまでしなくても……」



  梓が大和の間に割って入った瞬間、男達のうちの一人が先導を切った。



「菊池……。昨日はゴメン。菊池は何も悪くないのに嫌な想いをさせて悪かった」



  左端の一人が頭を下げて謝った後、立て続けに残りの三人は「ごめん」と言って頭を下げた。
  すると、大和の目線は梓へ。



大和「こいつらは謝ってきたけど、どうしたい?  俺が今ここで殺る?」

梓「ちょっ、殺らなくていいって!  謝ってくれただけで十分だから……」


大和「だってよ?  オメェら、梓に命救われたな。俺がこいつの立場だったら間違いなく殺ってるけど?」

男達「……」

奏「蓮への腹いせなんてみっともないね。しっかり男磨いて女の気持ちを括りつけておきなよ。女の気持ちが揺れたという事は、君達にも欠陥があるんだからね。……それから、二度と梓に手ぇ出すなよ。次は無いからね~」



  大和が顎でクイッと教室に戻るように合図をすると、男達は無言のまま走って校舎へと戻って行った。



  実は昨日の件があって学校に来るのが怖かった。
  あの男達に報復されたらどうしようとか、変な噂を流されたら困るなとか、色々考えてた。

  でも、学校に行く事を決心して最寄駅へ到着すると、大和と奏が改札の奥で待っていて警護するみたいに学校まで送り届けてくれた。
  二人が問題を解決してくれたお陰で残り少ない登校への不安から解消された。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

日下奈緒
恋愛
仕事の契約を打ち切られ、年末をあと1か月残して就職活動に入ったつむぎ。ある日街で車に轢かれそうになるところを助けて貰ったのだが、突然週末婚を持ち出され……

忘れられたら苦労しない

菅井群青
恋愛
結婚を考えていた彼氏に突然振られ、二年間引きずる女と同じく過去の恋に囚われている男が出会う。 似ている、私たち…… でもそれは全然違った……私なんかより彼の方が心を囚われたままだ。 別れた恋人を忘れられない女と、運命によって引き裂かれ突然亡くなった彼女の思い出の中で生きる男の物語 「……まだいいよ──会えたら……」 「え?」 あなたには忘れらない人が、いますか?──

月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜

白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳 yayoi × 月城尊 29歳 takeru 母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司 彼は、母が持っていた指輪を探しているという。 指輪を巡る秘密を探し、 私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。

アンジェリーヌは一人じゃない

れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。 メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。 そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。 まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。 実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。 それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。 新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。 アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。 果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。 *タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*) (なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。 だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。 車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。 あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。

睡蓮

樫野 珠代
恋愛
入社して3か月、いきなり異動を命じられたなぎさ。 そこにいたのは、出来れば会いたくなかった、会うなんて二度とないはずだった人。 どうしてこんな形の再会なの?

処理中です...