妄想女子はレベル‪✕‬‪✕‬!? ~学校一のイケメンと秘密の同居をすることになりました♡~

風音

文字の大きさ
上 下
10 / 23

10.大失恋

しおりを挟む


 ーー放課後。
 今日は日直だったため、職員室まで日誌を届けに行ってから学校を出た。

 午前中は晴れていたのに、いまは薄暗い雲に覆われている。
 それに加えて普段よりも生徒数が少ない帰り道。
 お気に入りのワイヤレスイヤホンが壊れているから虫の音がいまのBGMに。
 徒歩で家路に向かっていると、20メートルほど前方に降谷くんが一人で歩いていた。

 降谷くんはいま一人だし誰も見てないから、……声をかけちゃおうかな。
 学校じゃないから気軽に声をかけてもそんなに嫌がられないよね。
 そう考えているうちに、彼は分かれ道で自宅と反対方面を曲がった。

「あ、あれっ? 寄り道でもするのかな」

 もしかしたら近所に住んでいた可能性もあるけど、彼が私の家に来てからまだ1週間弱。
 それなのに、地図アプリで道を検索する様子もなく足を進めていることに違和感を覚えて尾行する。


 5分ほど歩いて到着したのは保育園の前。
 外遊びをしている園児たちの元気な声が辺りを賑やかせている。

 どうして降谷くんが保育園へ? 実は保育士に憧れているとか?
 うーん……。絵を描くことが好きなのは知ってるけど、子ども好きだとは感じなかったなぁ。
 彼と少し距離を置いて遠目から眺めていたが、目は一点方向しか見つめていない。
 そこに何かを感じて彼のとなりについた。

「ねぇ、どこを見てるの? もしかして、室内にいるあの美人な保育士さん?」

 足音を立てなかったせいか、彼は私がとなりにいることにひどく驚く。

「……なに、俺のストーカーしてんの?」

 彼はそう言うと、不機嫌そうにUターンする。
 私は置いて行かれないように急ぎ足で追いつく。

「そっ、そういうわけじゃなくてたまたま気になったというか……」
「なわけ無いだろ。何度も言ったけど、俺はお前に気がないから」
「そんなに何度も言わなくてもわかってるよ(ちぇっ)。でもさ、園内にいた保育士さんめっちゃキレイな人だったよね。色白で、細くて、髪を後ろでアップにしていて、目鼻立ちがくっきりしていて、遠目から見てもパッと目を引く存在だよね」
「うん、そう。……あいつ、俺の好きな人」
「えっ」
「だから、もう俺につきまとわないで」

 彼は吐き捨てるようにそう言うと、歩く速度を上げた。
 取り残された私はポツンと置いてけぼりに。

 ガアアアァァァアン……。
 失恋決定。既にしてるけど、決定……。
 先日焼津くんに、降谷くんは女につきまとわれるのが苦手と聞いたばかりだったから、てっきり好きな人はいないんじゃないかと思っていたのに。
 しかも、その好きな人がレベチの美人なんて。
 トホホ……。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

契約妻ですが極甘御曹司の執愛に溺れそうです

冬野まゆ
恋愛
経営難に陥った実家の酒造を救うため、最悪の縁談を受けてしまったOLの千春。そんな彼女を助けてくれたのは、密かに思いを寄せていた大企業の御曹司・涼弥だった。結婚に関する面倒事を避けたい彼から、援助と引き換えの契約結婚を提案された千春は、藁にも縋る思いでそれを了承する。しかし旧知の仲とはいえ、本来なら結ばれるはずのない雲の上の人。たとえ愛されなくても彼の良き妻になろうと決意する千春だったが……「可愛い千春。もっと俺のことだけ考えて」いざ始まった新婚生活は至れり尽くせりの溺愛の日々で!? 拗らせ両片思い夫婦の、じれじれすれ違いラブ!

処理中です...