イケメン変態王子様が、嫌われ者の好色暴君王にドスケベ雄交尾♡で求婚する話

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　あるところに、傍若無人の王がいた。名をカルロといって、どうしようもない色狂いで、50歳を過ぎたというのに正妻を持たず、見目の麗しい若者を男女問わず愛人として囲っては夜な夜な乱交パーティーを繰り広げている男であった。

　カルロ王は乱暴なセックスを好み、おまけに、決して美しいとは言えない――むしろ田舎臭く野蛮に見えるような顔立ちの醜男で、ブクブクと豚のように肥え太ったうえにハゲだったので、好きこのんで愛人に立候補する者はいない。皆、金や権力を使って無理矢理に連れてこられて、レイプ同然に貞操を奪われ、泣く泣く愛人になるしかなかった者ばかりだ。
　困ったことに、暴君でありながらも王としては有能で、その国は大いに栄えていた。飢える者や露頭に迷う者のいない今の国は、暴君カルロのおかげで成り立っているとわかっているので、彼に逆らう民はいないのだった。


　そんなある日――遠く離れた国の王子だという男が、カルロ王に結婚を申し込んできた。この世界では魔法を使えば男女問わず子をなせることもあり、同性での婚姻は珍しくもない。ましてや王族同士ならば政略結婚としてよくあることだ。
　問題は、かの王子の国とカルロ王の国になんら接点がなく政略結婚の旨味もないことと、求婚してきた側の王子がカルロ王とは親子ほど年が離れた若者だったことである。

「お初にお目にかかります！　私はシャルル・ド・ルージェと申します。海の彼方にありますルージェ王国の第三王子です。カルロ様の噂を聞きつけ、まさに私の理想の殿方だと、こうして求婚に参った次第です」

　シャルル王子は絶世の美男子だった。ほどよく引き締まった、男らしく筋肉質な細マッチョボディに、人形のように麗しい顔立ち。「王子様」を絵に描いたような金髪碧眼は、とてもではないが、ハゲデブ色ボケ親父のカルロ王と釣り合うとは思えない。
　絶対に裏になにかある、と、カルロ王も、その側近たちも思っていた。

　そもそもカルロ王は、こういう何もしなくてもモテまくりそうな男は大嫌いだった。
　彼が美男美女を愛人にして性処理をさせるのは、自分よりも見目が整った人間を、無様に貶めて屈服させてやりたいという欲望からである。
　絶対にこの小生意気なクソガキを汚してやろう……と心に決めながらも、そんなことは微塵も感じさせない笑顔で、カルロは問う。

「……ワシの噂とな？　いったい何を聞いたのやら知らぬが、実物を見てがっかりしたであろう？」
「いいえ、まさか！！　お噂通りのムッチムチでドスケベ……もとい、風格に溢れたお姿に、思わず見惚れておりました」
　ざわっ、と、カルロ王の側近たちにどよめきがおきた。王子が思わず溢した『ムッチムチでドスケベ』というツッコミどころ満載の発言もそうだが、そもそも、この国では中性的で華奢な者ほど麗しいとされていた。ハゲデブで顔も怖いカルロ王はモテとは真逆。真剣に愛を乞うた相手にすら気持ちが悪いと突っぱねられまくった結果、性格と性癖が拗れに拗れまくって今の暴君エロオヤジのカルロ王になったのを、古くからの家臣はよく知っている。

　シャルルの真剣な声すら信用できないカルロは、フン、と小さく鼻を鳴らしただけだった。
「くだらぬ世辞は止せ、素直に目的を話すが良い。でなければ、言葉通りにワシのモノにしてしまうぞ」
「お世辞ではありませんッ！！　あなたは俺・の理想ッ！　夢にまでみた運命の人なんです……っ！　正直想像の5億倍ドエロくて理性を保つのに必死ですっ！！」
「は？」
「……はっ！！　すみません取り乱しました」
　勢い余って素の一人称を漏らした様子のシャルルは、取り繕うように咳払いをした。
「信じていただけないのも無理はありません……ですので！　この際いきなり結婚とは申しませんっ！！　一夜のお情けをくださいませんか！？　とりあえず一発ズッコンバッコンしてからご検討くださいませんでしょうか！？」
「……えぇえ……？」
　さすがのカルロ王もドン引きだった。ハニートラップにしてはあけすけすぎて誘惑する気があるのかと呆れるレベルだが、シャルル王子の顔は真剣そのものである。

　しばらく思案していた様子のカルロ王だが、やがて、警戒するのも馬鹿馬鹿しくなったのか。
「……そこまで言うなら試してみるか？　そなたから望んだのだ……途中で逃げるなど許さぬぞ」
「は、はいっ！！　ありがとうございます！！」
　まあ、顔はいいし、ヤれるもんはヤッとくか。くらいの気軽さで、お試しセックスと相成ったのである。