笑っていたいから ~ポエムの森にようこそ

森に花ひらく

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魔弾の行方   ~歌劇「魔弾の射手」を鑑賞して~     

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打ち勝つのは 絶望か
それとも 希望なのか

狙った的には 必ず命中するという魔弾
ただし それは七発中六発まで
残り一発の魔弾の行く先を決めるのは
悪魔ザミエル

射撃の名手マックスは アガーテとの結婚を前にして
スランプに陥り カスパーに唆される
狼谷に行き 魔弾を手に入れよう、と
カスパーは 悪魔に望む
マックスの放つ最後の魔弾を アガーテに命中させて
マックスを絶望させることを

アガーテは 不吉な予感に恐れ慄く
婚礼用に届けられたのは 死者の冠だったので
森の隠者から授けられた 白いバラの花で
花嫁の冠を作る

森に響く 狩人の合唱
最後の魔弾は
何故 カスパーに命中したのか
全てを打ち明けたマックスは
領主の命で 追放されそうになりながら
何故 赦されたのか

人は弱いもの 迷うもの
いっときの激情に駆られて 道を踏み外す
たった一度の過ちで そこまで罰するのは重すぎる、と
森の隠者は 領主に諭したのだった

大団円となったのは
聴衆が それを望んでいたからか
魔弾の行方を決めたのは
悪魔でもなく 隠者でもなく 聴衆だったのか
美しい音楽に 変わりはなかったとしても
基になった物語の結末どおりに
悲劇のまま 終わっていたなら
この歌劇は ここまで愛されていたのだろか
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