笑っていたいから ～ポエムの森にようこそ

いのち定め

母から　聞いた話だけれど
昔　母の育った田舎では
親戚やご近所で
はしかにかかった子どもが出たら
その子のかじったリンゴを
自分の子どもにも食べさせて
わざわざ　はしかを移してもらったという

一度かかれば　二度とはかからないし
はしかは　子どものうちにかかっておけば
比較的軽症で済むからだろうか

リンゴをかじらせたのは
当時　母の育った田舎では
リンゴが栄養のある食べものと
信じられていたから　らしい

かつて
はしかは　いのち定め
そう言われていたと　聞いたとき
身震いがした

ひょっとしたら
試したのだろうか　我が子の命を
無情にも
切り捨てられるかもしれないのに

天然痘　はしか　インフルエンザ
様々な疫病とともに
私たちの先祖は生き抜いてきた

避けようがないのではないか
ともに　生き延びるしか
ないのではないか

度々起こるパンデミックは
試しているのではないだろうか
私たちの
生き抜く知恵を　ちからを
無情にも