笑っていたいから ～ポエムの森にようこそ

妙子さんの音楽 ～私が愛したあなたのすべて

　ため息をつくかわり深呼吸した
　　　　　　　　　（エトランゼ）
お気に入りの曲
聴いている
シンガーソングライターの
大貫妙子さん
聴き始めたのは
高校生の頃

　燃えるような恋に
　身をまかせて抱かれる
　すべてを失って
　しまうことに気付いても
　　　　　　　　　（幻惑）

シティ・ポップと呼ばれる
都会的でお洒落なメロディと
澄んだ歌声に　こころ惹かれた

　いつか風にくちてしまう
　思い出も　港も
　走り去った時の中で
　夕映えが永遠をうつす
　　　　　　　　　（黒のクレール）
　あなたを縛る
　想い出を
　そっと解いてあげるのに
　　　　　　　　（夏色の服）

妙子さんの音楽に触れるたび
波だった心が
凪いでいった

「たえこ」という自分の名前が
好きになれた
私と同じ名前の人が
こんな素敵な曲を書いている
憧れだった
その気持ちは　今も変わらない

　私の愛した
　あなたのすべてが
　崩れてしまうのが
　恐いだけ
　だから　何も言えない
　　　　　　　　　（新しいシャツ）
　今では他人と
　呼ばれるふたりに
　決して譲れぬ
　生き方があった
　　　　　　　　　（風の道）

悲しみや　愛おしさを
剥き出しにさらけ出すのではなくて
気高いものに昇華させようとする
妙子さんの詞の世界

　待つ人がない　今も
　愛が　生きている
　いつまでも
　鮮やかに
　愛が　生きている　
　　　　　　　　　（雨の夜明け）

今も　日々の生活の中で
迷子になりそうなとき
聴きたくなる　妙子さんの音楽



（注釈）
新しいシャツ、雨の夜明け
　　　　『romantique　ロマンティック』1980　より

黒のクレール、夏色の服、風の道
　　　　『Cliché　クリシェ』1982　より

幻惑
　　　　『SIGNIFIE　シニフィエ』1983　より

エトランゼ～etranger 
　　　　『ensemble　アンサンブル』2000　より