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源次郎おじいちゃんへ
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源次郎おじいちゃんへ
実家の居間の鴨居に
立てかけられた遺影
源次郎おじいちゃん
私が生まれてくるのを
とても
楽しみに待っていたという
けれど 源次郎おじいちゃんは
私が生まれる一ヶ月前に
風邪をこじらせて
亡くなってしまった
枕元に
臨月間近の母を呼び寄せて
いい子を産めよと 言い残して
私は
源次郎おじいちゃんが待ち望んだ
いい子だったのかなあ
お嫁に来た母に
とても良くしてくれたという
母の口から語られる
源次郎おじいちゃんは
いつも 優しくて 働き者で
生まれてくる子は女の子だと
言い当てて
子どもが生まれたら
乳母車に乗せて
家の近所を散歩するんだと
話していたという
もう少し長生きしてくれていたら と
遺影を見上げたこともあったけれど
源次郎おじいちゃんは
いつも 鴨居の上から 私のことを
見守ってくれているような
気がしていた
源次郎おじいちゃん
私はあと何十年か
この世で粘ってみます
けれど いつか
会うことがあったなら
赤ん坊の姿に戻った私を乗せて
乳母車 押してください
実家の居間の鴨居に
立てかけられた遺影
源次郎おじいちゃん
私が生まれてくるのを
とても
楽しみに待っていたという
けれど 源次郎おじいちゃんは
私が生まれる一ヶ月前に
風邪をこじらせて
亡くなってしまった
枕元に
臨月間近の母を呼び寄せて
いい子を産めよと 言い残して
私は
源次郎おじいちゃんが待ち望んだ
いい子だったのかなあ
お嫁に来た母に
とても良くしてくれたという
母の口から語られる
源次郎おじいちゃんは
いつも 優しくて 働き者で
生まれてくる子は女の子だと
言い当てて
子どもが生まれたら
乳母車に乗せて
家の近所を散歩するんだと
話していたという
もう少し長生きしてくれていたら と
遺影を見上げたこともあったけれど
源次郎おじいちゃんは
いつも 鴨居の上から 私のことを
見守ってくれているような
気がしていた
源次郎おじいちゃん
私はあと何十年か
この世で粘ってみます
けれど いつか
会うことがあったなら
赤ん坊の姿に戻った私を乗せて
乳母車 押してください
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